種苗法違反事件:刑事裁判で判決:平成30年1月24日(水)

常緑キリンソウに関する重要なお知らせ:種苗法違反事件・裁判情報・判決

種苗法違反事件
刑事裁判の判決:平成30年1月24日(水曜日)

常緑キリンソウ種苗法違反事件
屋上緑化メーカーと社長に対する刑事裁判の判決

日時:平成30年1月24日(水曜日)10:00〜
場所:鳥取地方裁判所(第32号法廷)
内容:判決言渡し
事件番号・事件名:平成27年(わ)第7号・種苗法違反

*2017年9月25日、鳥取地方裁判所で行われていた種苗法違反事件において検察は「不正な栽培で多額の利益を得る犯行は、開発者の権利保護を根底から揺るがすものだ」として被告に懲役1年6か月、会社に罰金200万を求刑しました。
一方、弁護側は、2015年9月29日〜2017年9月25日までの裁判の中で「植物を栽培したのは事実だが、後払いするつもりだった」 「種苗管理センターが実施した栽培比較試験は信用性に乏しい」 「大学のDNA鑑定結果は信用性に乏しい」 「弁護側が民間で実施したDNA鑑定結果は正しい」 「品種登録が無効だ」*1 「販売したのは別の品種だ」 「捜査機関の理解不足で冤罪事件だ」 などとして無罪を主張しています。この事件では植物を不正に栽培していたとして農場経営者の男に対して執行猶予のついた有罪判決が言い渡され、すでに確定しています。

*1 現在、常緑キリンソウ(トットリフジタ1号及び2号)の品種登録は維持されています。また、今回の裁判の中で、農林水産省は品種登録には何も問題がないとしています。平成25年〜28年に弁護側関係者・その他から常緑キリンソウ(トットリフジタ1号及び2号)の品種登録に関する異議申立が行われましたが、全て却下されています。現在、品種登録の異議申立は行われていません。

次回の判決公判で、裁判官から、判決の結論と理由が宣告され、第一審は終了となります。内容に応じ、控訴するかどうかを検討することになりますが、控訴をしないのであれば、そこで刑事裁判は終わりです。控訴する場合には、控訴の手続きを行い、高等裁判所で第二審が実施されることになります。
(刑事裁判の流れ(公判の流れ)もご覧下さい。)

*法廷は、事前に申し込まなくても傍聴する事が出来ます。傍聴希望者が多い裁判では傍聴券交付手続が行われる場合もあります。

*裁判の日程につきましては、裁判所に問い合わせをすれば教えてもらえます。
まず代表に電話して刑事事件を傍聴したい旨を伝えると、電話が刑事受付に回されます。
事件番号を伝えると、次回の日程を教えてもらえます。
*傍聴の手引き・傍聴する際の注意事項

2015年7月6日の有罪判決を受けた緑化会社の農場経営者に続き、屋上緑化メーカーと社長に対する種苗法違反の刑事裁判を継続中。次回判決言渡し。
種苗法・育成者権・育成者権侵害に対する罰則・各種注意事項についてもご覧ください。


 

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鳥取イベント(セミナー)参加募集のご案内

鳥取イベント(セミナー)参加募集のご案内

テーマ1:常緑キリンソウとは?
テーマ2:国内外における品種保護をめぐる現状について
テーマ3:育成者権って何?


日時:平成30年1月24日(水)18:00〜

場所:鳥取県鳥取市末広温泉町165

定員:20名(定員になり次第締め切らせていただきます。

参加ご希望の方は常緑キリンソウ.com(お問合せフォーム)からご連絡下さい。

セミナー概要

農業の発展のためには、病気に強くてたくさんの収穫物が得ることができる、味がいい、形や色がとてもきれいなどの優れた形質を有した品種が必要であり、消費者にとっても食料の安定供給や豊かな食生活、彩りある暮らし等の大きな利益につながります。
しかし、その一方で、それらの植物の新品種を開発・育成するためには、通常、多大な資金や労力を費やして、長期にわたって研究開発をすることが必要となります。
そのため、植物の新品種を育成した者(育成者)に対して、“権利”(育成者権)を付与して、その権利を保護することにより、植物の新品種育成の振興を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする制度が各国で運用されています。
この制度を、“植物品種保護制度”といいますが、あまり一般には知られていない制度ですので、この制度の概要とみなさんとの身近な関わりなどについてご紹介いたします。また、国内外における育成者権の侵害事例について具体的にご紹介すると共に品種保護の重要性を解説いたします。
この機会に“常緑キリンソウ(トットリフジタ1号)”と“育成者権”について知っていただくとともに、常緑キリンソウ普及協会の活動などもご紹介します。

 

 

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常緑キリンソウ普及協会 組織概要と活動内容

常緑キリンソウ普及協会 組織概要 

 

【目的】 
常緑キリンソウ普及協会(以下「本会」という。)は、環境事業の重要性を認識し、緑化技術の向上を図り、地域社会の発展に寄与する事及び常緑キリンソウ(トットリフジタ1号:品種番号第15866号及トットリフジタ2号:品種番号第15867号)(以下「常緑キリンソウ」という。)の普及活動を行うと共に、相互の親睦を深めるための活動を目的としています。
また、種苗法の第1条には、「この法律は、新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする。」と記載があります。
常緑キリンソウは、種苗法における登録品種ですから、一般的には認知度の低い種苗法に関しての啓蒙活動を社会的義務・社会的責任だと捉え、活動しています。

 

【活動内容】
本会は下記に示します事業を行う為に必要となる知識、技術等を習得する為のサポート及び常緑キリンソウの普及活動を行います。又、種苗法上の品種登録制度や育成者権に関する啓蒙活動を推進しています。

(1)常緑キリンソウ緑化の普及に関する事業
(2)環境事業の技術向上に関する事業
(3)緑化事業の企画、設計、施工に関する事業
(4)緑化資材の研究、開発、販売に関する事業
(5)緑化工法の研究、開発に関する事業
(6)緑化による環境事業の技術指導に関する事業
(7)会員相互の親睦、団結を図る事業
(8)その他、本会の目的を達成するための必要な事業


【窓口】
本会の窓口を部門毎に以下に設置しています。

植物部門:株式会社 フジタ パラダイスパーク

〒681-0052 鳥取県岩美郡岩美町岩常360
TEL:0857-72-0087 FAX:0857-72-0341

土木部門:株式会社 田中緑化研究所
〒689-2205 鳥取県東伯郡北栄町瀬戸848
TEL:0858-37-4555 FAX:0858-37-4555

建築部門:株式会社 緑化計画研究所
〒220-0061 神奈川県横浜市西区久保町36-8 
TEL:045-326-6587 FAX:045-326-6588

【会員資格】
本会の会員は、下記条件を全て満たした個人又は法人とします。
(1)本会会則に同意いただける方
(2)常緑キリンソウに係る業務を3年以上経験し、役員が認める知識・技術等を有する方
(3)役員面接を受け、本会にふさわしいと承認が得られた方

【活動紹介】
本会で行っている活動の一部をご紹介します。
各ファイルをご覧になる場合には、以下の各PDFアイコンをクリックして下さい。

常緑キリンソウ普及協会展示会の実績報告
常緑キリンソウ普及協会業務サポート内容
風洞実験報告書
東北復興支援プロジェクトの取組がニュースで紹介されました。

東北復興支援プロジェクトの概要版
アフリカ改善プロジェクト-鳥取県を訪問した時の様子がニュースで紹介されました。

アフリカ改善プロジェクト-常緑キリンソウの紹介(英語版)

アフリカ改善プロジェクト-常緑キリンソウのカタログ(英語版)

 

 

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種苗法:品種育成者権とは・育成者権侵害に対する罰則

種苗法とは

種苗法(しゅびょうほう)とは、植物の新品種の創作に対する保護を定めた日本の法律であり、植物の新たな品種(花や農産物等)の創作をした者は、その新品種を登録することで、植物の新品種を育成する権利(育成者権)を占有することができる旨が定められています。

植物の品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制などを定めています。いわゆる植物特許を保護するものです。

種苗法によって保護されるのは、既存の品種に見られない優れた特徴を備えた植物の種や苗などです。新品種の開発者が農林水産省に申請し、審査を経て、登録を受けると「育成者権」としての権利が保護されます。

常緑キリンソウ【トットリフジタ1号(品種番号第15866号)、トットリフジタ2号(品種番号第15867号)】は、これまでのキリンソウとは違う性質、性状により新品種として登録を受けました。


品種育成者権

 育成者権は、品種登録により育成者等に与えられる法的権利で、知的財産権の一種です。

 育成者権を有する者(育成者権者)は、業として、登録品種及び登録品種と明確に区別されない品種の種苗、収穫物及び一定の加工品を利用(生産、譲渡等)する権利を専有(独占)します。育成者権者以外の者は、原則として育成者権者の許諾を得なければ登録品種等を増殖、販売など利用することはできません。


育成者権の存続期間

育成者権には期限が付いています。この期限を過ぎると育成者権は消滅し、登録品種は育成者権者の承諾なしに誰でも販売や増殖ができるようになります。

育成者権の存続期間は下記の通りです。

◆品種登録の日から25年間
◆永年性植物(樹木など)は登録の日から30年間育成者


生産など種苗の利用行為(育成者権者の許諾が必要な行為)とは

登録品種の利用は育成者権の効力が及ぶ行為であり、登録品種を業として利用する場合は、育成者権者の許諾が必要となります。

利用権の具体的内容は、

1.種苗に係わる行為

◆生産:種苗(苗木、穂木など)を生産することです。
◆調整:夾雑物の除去、精選、種子の洗浄、乾燥、薬品処理、コーティング等です。
◆譲渡の申し出:カタログを需用者に配布し、注文を受けられるようにすることや店頭に
   品種名及び価格等を提示することです。
◆譲渡:種苗の販売、植物園での入場者への配布等です。
◆輸出:種苗を海外に向け送り出すことです。
◆輸入:外国にある種苗を国内に搬入することです。
◆保管:上記の利用行為のために保管することです。

種苗の段階で権利を行使する適当な機会がなかった場合には収穫物に権利が及びます。


2.収穫物に係わる行為

種苗と同様の行為に以下の項目が加わります。
ただし、「調整」は収穫物では考えられないため除かれます。

◆貸渡しの申出:カタログを需用者に配布し、苗木や観賞用植物のリースなどの注文
   を受けられるようにすることです。店頭に品種名及び店頭に品種名及び価格等を提
   示することです。
◆貸渡し:例えば植木や観賞用植物等のリースなどです。


業としての意味とは

登録品種を「業として」利用する場合とは、営利目的かどうか、1回きりか何度行ったかも関係なく、個人的(又は家庭的)と言えない利用の仕方を言います。

例えば、品種登録されている種苗を使って、家庭菜園で果実を栽培する場合は「業として」にあたりません。

しかし、収穫した果実を近所の人に配ると「業として」に当たり種苗法違反となります。一般的に行われている行為ではありますが、れっきとした種苗法違反ということですね。
なお、農家の場合は一定の範囲の自家増殖は種苗法違反とはなりません。



育成者権侵害に対する罰則

育成者権者又は専用利用権者に無断で登録品種を利用した場合、育成者権を侵害したことになります。育成者権者等は、侵害者に対し、民事上、以下のことを請求できます。

◆侵害行為を止めること、侵害行為において作られた種苗、収穫物若しくは加工品の廃棄を
   求めること等(差止請求)
◆損害の賠償を求めること(損害賠償請求)
◆信用の回復に必要な措置等を求めること(信用回復の措置請求)

故意に育成者権を侵害した場合には、以下の刑事罰が科されます。

◆個人:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金
   又はこれらの併科(懲役と罰金の両方を科す)
◆法人:3億円以下の罰金

 

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種苗法:従属品種とは・交雑品種とは

従属品種とは

従属品種とは、ある登録品種を親品種として、当該登録品種に主として由来し、そのわずかな特性のみを変化させて育成された品種です。

従属品種は、@変異体の選抜(枝変わり等)、A戻し交雑、B遺伝子組換え、C細胞融合の方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種をいいます。
これは、従属品種がそれ自体登録可能であることが前提である事から、必要とされる条件です。

@変異体の選抜
 変異体の選抜とは、自然的又は人為的に生じた変異体を選抜する方法をいう。

A戻し交配
 戻し交配とは、交雑に用いた一方の親(反復親)を数代にわたって繰り返し交雑し、
 選抜を重ねることにより、導入しようとする特定の特性以外のほとんどを反復親の
 特性と同じものに近づけていく方法をいう。

B遺伝子組換え
 ある植物に別の遺伝子を導入し、形質を転換させた植物を得る方法をいう。

C細胞融合(非対称融合に限る)
 細胞融合のうち非対称融合とは、一方又は双方の細胞を放射線等で処理し、遺伝
 子的に不完全な状態にして細胞融合を行い、両者の親の性質を均等に伝える融合
 方法をいう。

従属品種は、もとの登録品種とは特性によって区別できるものですので、未譲渡性等の要件を満たせば、従属品種の育成者はもとの登録品種とは別に品種登録を受けて権利を取得することが可能です。ただし、もとの登録品種が登録されている間は、従属品種の種苗の生産、譲渡等の利用にあたっては、もとの登録品種の育成者権者の許諾を受ける必要がありますので、ご注意下さい。


従属品種の育成と利用

従属品種は既に品種登録されている親品種を使用し、遺伝子組み換えなどを行えば他人が簡単に育成できます。こうしてできた従属品種を他人が利用できることにすると、親品種の育成者の権利は簡単に侵害されることになります。

こうしたことを防ぐため、種苗法では、従属品種にも親品種の育成者としての権利が及ぶことと定められています。このため、他人が従属品種を利用する場合は登録品種の育成者の許諾が必用となります。


交雑品種とは

「F1品種」と呼ばれ、繁殖のために常に登録品種の使用が繰り返し必要な品種のことをいいます。

例えば、品種Bの種子を作る場合、必ず登録品種である品種Aと品種Cと交配(A×C)しなければならない場合、品種Bは、品種A又は品種Cの交雑品種に当たります。
親品種Aが品種登録を受けた場合、その育成者権の効力は、交雑品種Bにも及びます。このため、交雑品種Bを利用しようとする者は、登録品種Aの育成者権者の許諾を得なければなりません。


交雑品種の育成と利用

従属品種と同じく、他人が交雑品種を容易に育成できるため、種苗法では、交雑品種に関しても品種登録されている親品種の育成者としての権利が及ぶと定められています。

登録品種を掛け合わせてできた交雑品種を利用する場合は、登録品種の育成者の許諾が必用となります。


他人のそら似

「登録品種と特性により明確に区別されない品種」とは、仮に、登録品種とは別に育成された品種であったとしても、特性(重要な形質に係る特性)の全部又は一部について品種登録の要件である区別性が認められる程度の差がないものをいいます。(他人のそら似)
この他人のそら似の品種にも育成者権が及びます。

詳しくは、別途解説【確認事項1】をご覧下さい。



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種苗法:権利の消尽・権利の消尽の例外

権利の消尽とは

登録品種等(登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種、従属品種及び交雑品種)の種苗、収穫物又は加工品が育成者権者(専用利用権者、通常利用権者を含む)の意思に基づいて譲渡された場合(例えば、育成者権が登録品種の種苗を自ら販売した場合)には、登録品種等の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及びません。(種苗法第21条第4項本文)。これを権利の消尽といいます。

したがって、育成者権者が譲渡した種苗、収穫物又は加工品を譲り受けた者(卸売業者、小売業者、農家等)が、その種苗、収穫物又は加工品自体を譲渡する際に、育成者権者の許諾を得る必要はありません。

ただし、育成者権の効力が及ばなくなるのは、育成者権者等の意思に基づいて譲渡された場合です。第三者が育成者権者等に無断で増殖した種苗(正規品でない種苗)を購入したような場合には、その育成者権者等の意思に基づいて譲渡されたとは言えず、その種苗には育成者権者の効力が及んでいますので、注意が必要です。


権利の消尽の例外

育成者権者等から正規に種苗又は収穫物を購入してきた場合であっても、以下の場合には、育成者権は消尽せず、再度育成者権者等の許諾を得る必要があります。(種苗法21条第4項ただし書)。

@登録品種等の種苗の生産(種苗の増殖、収穫物からの転用)
A当該登録品種について品種の育成に関する保護を認めていない国に対し、登録品種等の
 輸出する行為又は最終消費以外の目的で収穫物を輸出する行為

種苗法逐条解説には、「育成者権者から登録品種の苗木10本を購入し、その購入した苗木10本を転売する行為については、育成者権の効力は及ばず、育成者権者の許諾は不要である。権利の消尽が生ずるためには、流通の各段階において種苗の数を増やさないことが必要である。

例えば、育成者権者から苗木10本を購入して植栽し、その木から10本の穂木を採って譲渡する場合には、流通本数は増加していないものの、植栽した10本に加えて譲渡する10本があり、種苗自体は10本から20本に増加していることから、採取した苗木10本については育成者権の効力が及ぶことになる。

「登録品種等の種苗を生産する行為が権利の消尽の例外とされているのは、植物には増殖能力があることから、譲受人が種苗を生産することにより、育成者権者が譲渡した種苗の個体数が増大し、育成者権者が自ら生産した種苗の販売の機会を失うおそれがあることから、そのような不都合を防止する必要があるためである。

「種苗の生産」とは、種苗の増殖のほか、収穫物からの転用を含む(特に、種苗と収穫物が同形態の場合。法第2条第5項)。これは、育成者権者により収穫物として譲渡されたものを種苗に転用する行為については、転用された分だけ、育成者権者は自己が種苗を販売する機会を失うことになり、種苗の増殖の場合と同視することができるからであるとの説明がされています。



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種苗法:権利侵害

育成者権が侵害された場合

登録品種を利用する場合には、原則として、育成者権者又は専用利用権者の許諾を受ける
必要が有ります。この許諾を受けずに、無断で登録品種を利用した場合、育成者権の侵害と
なります。

育成者権が侵害された場合、育成者権者等は、侵害者に対し、民事上

@侵害行為を止めること、侵害行為において作られた種苗、収穫物若しくは加工品の廃棄を
  求めること等(差止請求)
A損害の賠償を求めること(損害賠償請求)
B信用の回復に必要な措置を求めること(信用回復の措置請求)

が出来ます。

また、故意による育成者権の侵害者に対しては、刑事罰が科されます。

さらに、育成者権を侵害する種苗等の輸出や輸入がされようとしている場合には、関税法に基づき、税関に対し、輸出入の差止めを求める事が出来ます。


差止請求権

第33条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

2 育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

本条は、育成者権者又は専用利用権者が侵害行為に対して差止請求権を行使することが出来ることを定めています。


差止請求権(第1項)

差止請求権を行使する事が出来る者は、法により独占的な利用をすることが認められている育成者権者又は専用利用者権者です。


権利侵害の事実又はそのおそれ

差止請求権においては、侵害者の故意又は過失は不要であり、客観的な権利侵害の事実又はそのおそれを主張・立証すれば足りるとしています。
権利侵害の事実とは、育成者権者等に無断で登録品種の種苗が増殖、販売されたような場合、権利侵害のおそれとは、無断増殖に供する目的で圃場が整備されたような場合をいいます。


廃棄等請求権(第2項)

本条第2項は、育成者権者又は専用利用権者が第1項の差止請求をするに際して、侵害行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求(廃棄等請求)することが出来る事を定めています。なお、廃棄のために要する費用は、侵害者側の負担となります。

(1)侵害行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品
(2)侵害の行為に供した物
(3)その他の侵害の予防に必要な行為

育成者権者又は専用利用権者は、33条の差止請求権のほか、侵害行為について民法709条の不法行為が成立する場合には、侵害者に対し、損害賠償請求をすることが出来ます。



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種苗管理センター・品種保護Gメン

種苗管理センター

種苗管理センターは、植物の品種登録に係る栽培試験や農作物の種苗の検査、ばれいしょ及びさとうきびの種苗(原原種)の生産・配布等の業務を行っています。

独立行政法人 種苗管理センターは、平成28年4月1日に国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)に統合し、新たな組織として出発しています。


品種保護対策

「知的財産立国」を目指す政府全体の取組が進められる中、当センターでは、平成17年4月1日から品種保護Gメンを設置し、発足当初全国 2ヶ所4名体制から、平成24年4月1日現在では全国7ヶ所(本所、西日本、北海道中央、上北、八岳、雲仙、沖縄農場)20名体制と配置場所を拡大して全国的に 機動的な対応を行っています。

また、平成23年度からは新たに制定された「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律(6次産業化法) H23.3施行」に伴い、これまでの「品種保護対策相談窓口」を「品種保護活用相談窓口」に改め、品種の活用に関する相談等にも対応することとし、地域資源を活かした 新たな産業の創出等を支援していきます。


品種登録に係る栽培試験

種苗法では、植物の新品種を育成した者の権利を保護し品種育成を振興するため、品種登録制度が設けられています。種苗管理センターでは、法第15条第2項に基づき、国が行う品種登録の審査に必要な出願品種と既存品種との区別性等のデータを得るための「栽培試験」を実施しています。


品種類似性試験

近年、育成者権のある品種を無断で増殖し販売する権利侵害の事例が聞かれるようになりました。種苗管理センターでは、品種登録のための栽培試験で培った経験と技術を生かした 比較試験に加え、一部の植物についてはDNA分析による品種判別法を用いて、育成者権を侵害しているか否かの判断を支援するための品種類似性試験を実施しています。試験結果報告書は、示談交渉などのときに役立てることができます。


品種保護Gメン

育成者権侵害に関する相談などに応じる窓口として、平成17年4月1日付けで、独立行政法人種苗管理センターに設置された品種保護対策官の通称。育成者権者などからの権利侵害に関する相談などに応じています。

品種保護Gメンの主な活動は、以下の@からGです。

@育成者権侵害対策に係る相談の受付及び助言
A権利侵害に関する情報の収集及び提供
B育成者権者等からの依頼に基づいた品種類似性試験の実施
C育成者権侵害状況の記録
D証拠品(侵害品の種苗等)の寄託
E6次産業化に向けた新品種の活用方法に関する助言
F地域在来品種等の検索
G種苗の入手先や特性概要等の情報提供

登録品種が無断で販売されたなど、侵害行為に対する証拠の収集は育成者自ら行う必要があります。これには大変な労力、時間、精神的な負担がかかります。積極的に活用することをお勧めします。

しかしながら、品種保護Gメンは、権利侵害行為から育成者を守るための機関ですが、警察など国家権力ではありませんので強制捜査する権利はありません。侵害かどうかを裁判所のように決定する権利も持ちません。

品種保護Gメンには物品の押収や調査を強制する権限はありませんので、依頼により品種保護Gメンが単独で農家等侵害場所を調査することは行っていません。したがって、権利者は侵害疑義物品を商品として購入する等により入手するか、相手側が納得して同意した上で現場の調査や事情を聴取することになります。

その際、品種保護Gメンは、権利者が侵害疑義物品を入手するか侵害状況を確認する現場に立会い、その状況を客観的に記録することによって侵害を証明する資料を作成することになります。

あくまで、農林水産省の関連組織である独理行政法人種苗管理センターが設置する品種登録制度のための機関で、法律的に中立な立場にあります。



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育成者権が侵害された場合の対応例

育成者権が侵害された場合の対応例

育成者権者は、育成者権の侵害者に対し、例えば、侵害行為を中止するような警告を発した上、まずは、侵害者との間で、損害や許諾等の話合い(示談)をする対応をとることができますし、最終的には、民事上の措置として、裁判所に対し、侵害行為の中止を求める差止、損害賠償、信用回復措置を請求する訴え(民事訴訟)を提起することが出来ます。
また、育成者権者は、故意による侵害者に対しては、刑事上の措置として、刑事告訴をするといった対応を取る事が出来ます。


侵害情報の収集の必要性

このように、育成者権の侵害に対しては、法律上、民事上の救済手続と刑事上の救済手続が設けられています。もっとも、裁判においては、原則として、訴えを提起した者が相手方の違法行為について主張立証する責任を負いますので、現実的には、育成者権者としては、育成者権の侵害についての情報や証拠を有していないと、結局、侵害者に言い逃れられてしまう恐れが有ります。

このため、育成者権の侵害を発見した場合、侵害行為に関する情報(侵害物の特性の確認、登録品種との同一性の確認、販売の数量・価格等)を十分に把握することが必要であり、その上で、相手方の対応等の状況に応じて、必要な措置を講じることになると考えられます。育成者侵害の状況・違法な植物の育成状況・圃場の様子をビデオで撮影ができれば裁判における重要な証拠として使用する事ができます。
ビデオやICレコーダーの証拠能力についてもご覧ください。
育成者権侵害訴訟においては、民事訴訟の特則がありますので、そちらもご覧下さい。


育成者権侵害行為の対応例(フロー図)
画像クリックで鮮明画像で拡大されます。

侵害行為の対応例(フロー図)

種苗法違反は刑事訴訟が基本

特許や著作権などど同様に、種苗も知的財産になりますが、他の知的財産権と比べて、権利侵害の証明が非常に難しいと言われています。また、実際の裁判の判例なども少なく、権利侵害を受けた場合の対処方法について書かれた物も非常に少なく、その対応に戸惑ってしまいます。

民事訴訟では、証拠押収のために強制的に圃場に入ったりする事は出来ません。品種保護Gメンも、育成者権侵害対策に係る相談は受けてもらえますが、警察など国家権力ではありませんので強制捜査する権利はありません。

育成者権をめぐって民事訴訟を起こすと「訴えた側が同一品種であることを証明しなくてはならず大変」です。

一方刑事事件の場合は、警察が動いて立証する為に訴えた側の負担が少なくなります。刑事事件では、証拠押収のために強制捜査で圃場に入り、侵害品を押収する事が可能です。

種苗法違反は、育成者権侵害行為の対応例(フロー図)の@刑事告訴〜刑事裁判を基本に考えるてみる事も重要です。


育成者権侵害の罪は非親告罪

親告罪とは、被害者からの告訴がなければ検察が起訴(公訴の提起)をすることができない犯罪の種類を言います。つまり、捜査機関が単独で逮捕や捜査を進めることができない犯罪のことを言います。

告訴とは、砕いて説明すると、被害者が「加害者に罰を与えてください」と、処罰を求めて警察などの捜査機関に申告することです。

親告罪は被害者からの告訴がなければ検察は起訴できず、結果的に警察も加害者を逮捕し、捜査を進めることができないのです。

育成者権侵害の罪は非親告罪であり、公訴の提起に被害者の告訴は不要です。つまり、育成者権の侵害を受けた被害者は、民事訴訟での裁判所の判断や告訴は必要とせず、捜査機関が、侵害情報をつかみ逮捕や捜査を進める事が出来ます。



侵害者の対抗策

育成者権の侵害を見つけ侵害者に警告を行った場合に、示談交渉から和解へと進まない事が有ります。この場合には、侵害者はどのような対抗策を取ってくるのでしょうか。

特許無効審判(以下「無効審判」)において、その特許を無効とする審決が確定した場合は、その特許権は最初から存在しなかったものとなります(特許法第125条)。つまり、特許成立時に遡って特許権が消滅する事になります。このため、無効審判は、特許権侵害として特許権者から訴えられた場合の被告側の対抗策(防御策)として実務上よく利用される常套手段です。

これを種苗法に置き換えてみますと、育成者権(品種登録)を無効にする為に、品種登録が無効である旨の意義申立で対抗してきます。育成者権侵害行為の対応例(フロー図)のA異議申立〜行政訴訟をに該当します。品種登録が抹消されない限り、育成者権侵害に対する罰則が科せられますので理由をつけ品種登録が無効である旨の異議申立を行います。この異議申立が棄却されると、農林大臣あての行政訴訟へと進みます。

育成者権者から侵害との警告を受け取った侵害者は例えば下記@〜Cのような対抗策に出てくる場合が有ります。*これらはあくまでの一般的に考えられる対抗策の一例です。

@営業妨害等である旨の内容証明を送付する。
A営業妨害等であるとの訴訟をおこす。
B育成者権に基づく差止請求権不存在確認請求をおこす。
C品種登録に対しての異議申立を行う。

*異議申立を行うのは育成権の侵害者とは限りません。
  品種登録に異議が有る場合においては異議申立を行います。
*異議申立が棄却されたという事は、品種登録(植物の特許)が続いている事になりますので、
  登録品種の育成者権者の許諾を受ける必要がありますので、ご注意下さい。

これらの対抗策に勝つためには、侵害行為の確認・情報収集・証拠化が非常に重要となります。


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侵害情報の収集:ビデオやICレコーダーの証拠能力

侵害情報の収集:ビデオやICレコーダーの証拠能力

民事裁判においては、当事者が自白した事実及び顕著な事実以外の事項については、証拠により証明しなければならず(民訴法179条)、的確に証拠を提出できるかどうかによって訴訟の勝敗が決せられると言っても過言ではありません。そこで、ビデオが、訴訟においてどのように扱われるのかという点が争点になります。

民事訴訟法における立法例として、証拠として提出すべきものには一定の制限が課す考え方(法定証拠主義)もありますが、日本の民事訴訟では、「自由心証主義」(民事訴訟法247条)が採用されています。原則として何を証拠として提出することもできます。(証拠方法の無制限)

民事訴訟法第247条では、@証拠方法の無制限とA証明力の自由評価とを内容としています。
相手方に無断で撮影した映像や、録音したテープなどは法的に証拠とはならない、という声をよく聞きますが、これらに証拠能力があるというのは、@証拠方法の無制限の適用であり、最高裁の判例は、自由心証主義に照らして当然のことを言っているのです。

その上で、提出された証拠に証拠価値を認めるかどうか、証明力をどう評価するかについては、すべて裁判官の自由な判断に委ねるとされています。ですので、ビデオであっても、証拠能力は認められ、裁判所に証拠として提出することができることになります。

ビデオや録音も証拠となりますが、録音した会話全体の音声データを提出した上で、全部を書き起こした「反訳書」を書面として裁判所に提出する方法が一般的に取られます。育成者権の侵害の相談する場合には、あらかじめ重要な部分は書き起こした書面を作成しておくと話がスムーズに進められます。

無断で撮影する隠し撮りや録音は、相手方の人格権を侵害する恐れがあるので、いわゆる違法収集証拠と呼ばれる場合もあります。ただ、この違法収集証拠の証拠能力については、民事では一般的に認められているケースが多いようです。

いじめやDVなどで悩まされている方が、その証拠となるように相手に無断で録画・録音を行ったものにおいては法的に十分証拠となりえます。相手の家に不法に侵入して盗聴器を設置して録音した場合など、犯罪行為を伴って採取された証拠については、証拠能力が認められないことは多いにありえます。要するに、反社会的な方法で著しく人権を侵害するかたちで取得した証拠については証拠能力は否定されることもありえる、ということなのです。

民事なら、基本証拠に制限なしとされていますが、悪質な方法で撮影録音されたものであれば採用されないこともあります。悪質性については、盗撮であっても、公道など他者に見られる場所での姿を撮る程度であれば排除されることはないでしょう。他者に見られることを想定しないプライベートな空間での盗撮ならば、排除される可能性があります。


ビデオ撮影の際の注意事項

撮影したビデオが、主張するとおりの日時に撮られたものかを立証するためには、ビデオの撮影日時を残すと共に、撮影当日の新聞等を撮影しておきましょう。また、撮影は途中で中断することなく、最後まで通して撮影しておきましょう。撮影日時が不明だとか、都合の良い部分だけを撮影している等の反論を防ぐ為にも重要となります。育成者権の侵害の場合には、植物を外部で生産している事が多いので、録音の際に風の音などの影響を受けます。その為に、1つの機器に頼らず、ビデオとICレコーダー等を併用し、会話の不明瞭な部分を補う事も考えたほうが良い場合が有ります。

videoimage.jpg

どういう機種が撮影にむいているのでしょうか?

SONYのハンディカムシリーズには、オプション品としてワイヤレスマイクホンがあります。このワイヤレスマイクは、無線(Bluetooth)により、マイクとレシーバーの間(最大100m)で会話をしながらの撮影や、撮影の指示の伝達などが行えます。公道に撮影者がいて、圃場の様子撮影するような場合に活躍します。

 

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ビデオを裁判資料として提出する際に知っておきたい知識

ビデオを裁判資料として提出する際に知っておきたい知識

ビデオを育成者権侵害の証拠として、裁判に提出した際に、ビデオが分割されている、意図的に編集しているのではないか等の主張がなされ、証拠としては不同意となりしばらくの間もめる場合があります。ビデオは最初から最後まで通して撮影されていますが、なぜそのような事になるのでしょうか?

ビデオカメラの内蔵HDDやSDカードは、FAT32フォーマットを使用しているのが一般的です。FAT32は一度に最大4GB以上のファイルは記録できません。そのため、ビデオカメラは2GBごとにファイルを自動的に分割する仕組みを取っています。

映像の長さでいくと、ハイビジョンでは約10分〜15分程度毎に、標準画質では約20分〜30分毎にファイルが分割され保存されています。例えば、ハイビジョンで20分撮影した物は、実はビデオ側で自動的に2分割されて保存されています。

ビデオカメラで再生する場合には、連続して再生されますので、ファイルが分割保存されている事は全く意識しません。しかし、このビデオ画像を裁判の資料として提出する際には、DVD等にコピーして提出することになります。この場合、元のファイルが分割されていますので、当然DVD上のファイルも分割された状態となります。再生も分割された物だけが再生される事になります。

ビデオ自体の構造をよく知らない場合や、ビデオ自体を証拠とされたくない場合の理由として、ファイルが分割されている事を理由に挙げる場合がありますので、ビデオを証拠とする際には、覚えておきたい内容です。

FAT32とは
ファイル・アロケーション・テーブル【File Allocation Table:FAT】で32bit化されたものを「FAT32」といいます。主にWindows 98/Meで使用されているファイルシステムですが、2000/Xp/Vista/7などでも利用することができます。
FAT32では仕様上4GB以上のファイルを扱うことができません。

NTFSとは
NT File System【NTFS】とは、Windows NT系の標準ファイルシステムで、現在主流のファイルシステムです。NT系のシステムのためWindows NT以降のOS(2000/XP以降)で利用することができますがWindows 95、Windows 98などでは利用できません。
NTFSでは最大16TBのファイルサイズを管理可能です。



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刑事裁判の流れ(公判の流れ)

刑事裁判の流れ(公判の流れ)
 
「公判」とは、「刑事訴訟」(刑事裁判)において、裁判所、検察官、被告人(弁護人)が訴訟行為を行うために法廷で行われる手続をいいます。裁判(公判)でどのようなことを行うのかフローに沿って見て行きたいと思います。

平成26年度司法統計によれば,平成26年における「裁判を受けた人が有罪になる割合」は97%。「実体判決を受けた人が有罪になる割合」は99%程度となります。日本の刑事事件では、通常、捜査段階において慎重な捜査が行われ、決定的証拠の有無、被告人の証言の信用性、被告人の自白の信用性などを慎重に吟味した結果、裁判をするかどうかを判断しています。そして、検察において確実に有罪にできるとの結論とならない限り起訴されません。つまり、刑事裁判は慎重な操作により、プロの捜査官から見て有罪であることが間違いないと判断された場合に実施される手続であり、それ故、有罪率が極めて高いのです。(出典:刑事事件弁護士ナビ)

刑事裁判の流れ(公判の流れ)

@人定質問
裁判官が被告人に氏名、生年月日、本籍、住所を質問して、被告人が起訴された本人であるかどうかの確認をします。


A検察官の起訴状朗読
検察官が起訴状を朗読して、被告人が、いつ、どこで、どんな犯罪を行ったとして起訴されているかを確認します。


B黙秘権の告知
裁判官が被告人に黙秘権などの権利の説明をします。被告人は陳述を拒むことができることや、被告人が陳述したことは被告人に有利であると不利であることを問わず証拠となることなどを説明します。


C罪状認否
被告人・弁護人に対して、起訴状に書かれた事実に間違いがないか(被告人が実際に起訴状に書かれている犯罪をしたかどうか)意見を求めます。


D検察官の冒頭陳述
検察官が、今から証拠によって証明しようとする事実(検察官の視点から事件を見た検察側のストーリー)を明らかにして、起訴状よりも詳しく陳述します。被告人・弁護人も冒頭陳述を行ってよく、行う義務がある事件もあります。


E証拠調べ・証人尋問
証拠には、証拠物(犯行に使った凶器など)、証拠書類(供述調書や鑑定書など)、証人(被害者本人や目撃者や専門家など)の3種類があります。裁判所は、証拠調べ請求の相手側(検察官が請求した場合には被告人・弁護人、弁護人が請求した場合には検察官)の意見を聞いたうえで、証拠として取り調べるかを決定します。証拠として取り調べると決まったら、証拠調べを行います。証拠物を展示したり、証拠書類を朗読したり、証人を尋問したりします。刑事裁判は「証人尋問」を中心にして進められます。一般的な内容で無い場合には、その道の専門家や鑑定人による証人自問が続き、裁判が長くなる事があります。


F被告人質問
刑事裁判は「証人尋問」を中心にして進められますが、そんな証拠調べの最後になるのは、被告人本人に対して行う「被告人質問」です。「人定質問」や「罪状認否」では、裁判官の問いかけに被告人が答える機会がありました。しかしそれ以降の証拠調べでは、被告人は法廷にはいるものの、発言する機会は皆無です。そんな被告人に対して、事件に関する質問を直接し、被告人自身も法廷で発言できるのが「被告人質問」です。もっとも被告人質問も他の証人と同様、自由に話せるわけではなく、あくまで弁護人や検察官、あるいは裁判官の質問に対して答えるという形式で行われます。通常の証人尋問と被告人質問には大きな違いがあります。

それは、

◆被告人には黙秘権がある。
◆被告人は嘘をついても偽証罪には問われない。

という点です。

証人は、嘘をつくと最悪の場合「偽証罪」として、後日、証人本人が刑事処分を受けることになります。これは証人が質問を受ける前に「嘘偽りなく、真実を申し述べることを誓います」という「宣誓」をしているからです。

ところが被告人は、被告人質問を受ける前に宣誓をしません。これは被告人は法廷内で嘘をついても、偽証罪の対象にはならないということを意味します。もともと日本の刑事手続きは、“被告人(被疑者)は嘘をつく可能性がある”という前提で行われています。罪を少しでも軽くするために、被告人が嘘をつく事を“自己防衛権”のひとつと認めているのは、日本の司法の特徴だとも言えるでしょう。

また通常は「罪状認否」の前に裁判官から、「被告人には黙秘権があります。言いたくないことは言わなくても構いません」という“黙秘権の告知”があります。つまり法廷内でも被告人の黙秘権は有効だという事です。

とはいえ、黙秘権告知の後に裁判官は、「この法廷で被告人の話したことは、全て証拠となりますので注意してください」と言います。実際に裁判官は法廷内における被告人の言動をすべて審理の材料にします。嘘がバレれば、当然裁判官の心証は悪くなり、判決の内容に影響するわけです。特に被告人質問は刑事裁判の山場です。弁護側の証人尋問、被告人質問が終了すると、審理はほぼ終了です。


G検察官の論告・求刑
まず検察官が、証拠に基づいて検察側のストーリーを述べ、事実や法律の適用について意見を述べます。これを論告といいます。そして、「被告人には、懲役〇〇年を求刑します」として、どれくらいの刑に処するのかが相当か意見を述べます。これを求刑といいます。


H弁護人の最終弁論
検察官同様、弁護人も証拠に基づいて弁護人側のストーリーを述べ、事実や法律の適用について意見を述べます。有罪を争わない場合には、求刑が重すぎるとか、執行猶予にすべきであるとの意見を述べます。


I被告人最終陳述
審理の一番最後には、被告人が再び証言台に立ちます。裁判官から、「これで審理を終えますが、最後に何か言いたいことはありますか」と質問されます。被告人に、言い残したことや、一番伝えたいことを話す最後のチャンスを与えるためのものです。被告人の陳述が終わると、判決の言い渡し日時を裁判官が指定し、その日は終了します。


J判決言渡し
指定された判決公判で、裁判官から、判決の結論と理由が宣告され、第一審は終了となります。内容に応じ、控訴するかどうかを検討することになりますが、控訴をしないのであれば、そこで刑事裁判は終わりです。控訴する場合には、控訴の手続きを行い、高等裁判所で第二審が実施されることになります。



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育成者権侵害訴訟・民事訴訟の特則

育成者権侵害訴訟・民事訴訟の特則とは

育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害のおそれがある者に対し、民事上の措置として、裁判所に、侵害の停止又は予防の請求(差止請求)、損害賠償の請求(不法行為に基づく損害賠償請求)等の訴えを提起することが出来ます。
このような民事訴訟は、育成者権侵害訴訟と呼ばれています。


民事訴訟の特則

民法上の不法行為に基づく損害賠償請求については、原告となる育成者権者が、@侵害行為、A侵害者の故意・過失、B侵害行為と損害との因果関係、C損害額を主張・立証する責任を負うのが原則であり、この主張・立証責任を果たせないと敗訴してしまう事になります。

ところが、育成者権の侵害については、育成者権者等の知らないところで侵害行為が行われていることから、育成者権者等においては、どのように侵害行為が行われたかなどの侵害行為に関する情報を入手する事が困難です。また、育成者権者等が侵害行為によりどの程度の損害を被ったについても説明することは困難な面が有ります。

このように、育成者権侵害訴訟においては、侵害行為についての情報が侵害者側に偏在していることなどにより、育成者権者等の主張・立証活動が困難であると言えます。育成者権の保護・強化といっても、最終的な手段である民事訴訟において、主張・立証責任の困難さにより敗訴してしまうとなると、育成者権等の実効性が失われ、品種登録制度自体が意味のないものになってしまいかねません。

そこで、育成者権侵害訴訟における育成者の主張・立証を容易化し、育成者権侵害に対する損害の回復を円滑に行う事が出来るように、特許権等の他の知的財産権法における制度を踏まえ、以下のような民事訴訟法の特則規定が整備されています。

@損害額の推定規定(法第34条)
A過失の推定規定(法第35条)
B相手方の具体的態様の説明義務(法第36条)
C侵害行為の立証や損害額の計算に必要な書類の提出等(法第37条)
D損害計算のための鑑定人に対する説明義務(法第38条)
E裁判所による相当な損害額の認定(法第39条)
F秘密保持命令(法第40条ないし42条)
G当事者尋問等の公開停止(法第43条)



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異議申立・行政訴訟の経過状況につきまして

異議申立・行政訴訟の経過状況につきまして

常緑キリンソウ(トットリフジタ1号及び2号)の『品種登録は無効である』又は『品種登録は取り消されることは必至であると思科される』として活動している緑化業者が存在しているようです。常緑キリンソウ(トットリフジタ1号及び2号)の増殖品や従属品種及び交雑品種の育成者権者による許諾の無い販売は、育成者権の侵害に当たります。

屋上緑化会社及び個人から、常緑キリンソウ(トットリフジタ1号及び2号)の品種登録が無効だとして異議申立が出されましたが、全て棄却されています。また、この棄却を不服として農林水産大臣あての行政訴訟が行われましたが、棄却の判決が言渡されています。常緑キリンソウ(トットリフジタ1号、2号)の品種登録は維持されています。トットリフジタ1号(品種番号第15866号)、トットリフジタ2号(品種番号第15867号)は日本及び韓国で品種登録されています。

異議申立等の状況

@平成25年9月11日 25食産第2088号
品種登録の処分に対する異議申立てについて(通知)
屋上緑化会社Aから品種登録第15866号の品種登録を取消す事を求めた申立て。

A平成25年11月11日 25食産第3204号
品種登録の処分に対する異議申立てについて(通知)
個人Bから品種登録第15866号及び品種登録第15867号の品種登録を取消す事を求めた申立て。

B平成26年4月21日 25食産第2088号-2
25食産第2088号-2 異議申立ての決定書(棄却)
屋上緑化会社Aから品種登録第15866号の品種登録を取消す事を求めた申立ては棄却するとの決定。

C平成26年4月21日 25食産第3204号-3
25食産第3204号-3 異議申立ての決定書(棄却)
個人Bから品種登録第15866号及び品種登録第15867号の品種登録を取消す事を求めた申立ては棄却するとの決定。

D平成26年4月21日 平成26年(行ウ)第212号
異議申立棄却決定取消請求事件
25食産第3204号-3でした品種登録第15866号及び品種登録第15867号についての異議申立棄却決定を取消す事を農林水産大臣に求めた請求事件(行政訴訟)。

E平成27年9月17日 平成26年(行ウ)第212号
異議申立棄却決定取消請求事件 判決言渡(棄却)
品種登録第15866号及び品種登録第15867号についての異議申立棄却決定を取消す事を求めた請求を棄却するとの判決言渡。

F平成28年1月12日 27食産第4672号
品種登録の処分に対する異議申立てについて(通知)
個人C(個人Bの代理)から品種登録第15866号及び品種登録第15867号の品種登録を取消す事を求めた申立て。

G平成28年5月24日 27食産第4672号-3
27食産第4672号-3 異議申立ての決定書(棄却)
個人C(個人Bの代理)から品種登録第15866号及び品種登録第15867号の品種登録を取消す事を求めた申立ては棄却するとの決定。


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種苗法違反事件の事例一覧表(種苗法に関する育成権者の侵害事例)

種苗法違反事件の事例一覧 (種苗法に関する育成者権の侵害事例)

過去に起きた育成者権侵害事例(種苗法違反事件)、稲、いぐさ、菊、小豆、いんげん豆、いちご、おうとう、カーネンション等の事件概要(植物名、品種名、権利者、侵害者、侵害への対応、侵害概要)です。また、種苗法違反事件の事例一覧表(種苗法に関する育成者権の侵害事例)を作成しました。

育成者権は、品種登録により育成者等に与えられる法的権利で、知的財産権の一種です。育成者権者の許諾を得なければ登録品種等を増殖、販売など利用することはできません。

*品種名リンク:品種登録迅速化総合電子化システムにリンクしていますが、「アプリケーションでサーバー エラーが発生しました。リソースが見つかりませんでした。」とエラーメッセージが出る場合が有ります。その場合には、再度リンクをクリックして下さい。


植物名:キリンソウ
品種名:トットリフジタ1号
権利者:個人育種家
侵害者:@圃場責任者A屋上緑化会社B会社社長
対 応:@刑事裁判・種苗法違反で有罪AB裁判中
概 要:@平成27年1月25日、鳥取県警が、兵庫県神戸市の屋上緑化会社3人を種苗法違反の容疑で逮捕し、平成27年2月15日に2名と会社を起訴。平成27年7月6日、鳥取地方裁判所は、植物を生産していた圃場責任者に種苗法違反の罪で、1年2か月執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
A現在、屋上緑化会社と社長に対する種苗法違反の刑事裁判が鳥取地方裁判所(事件番号・事件名:平成27年(わ)第7号・種苗法違反)で継続中。


植物名:稲
品種名:つや姫
権利者:山形県
侵害者:個人販売者
対 応:刑事裁判・種苗法違反で有罪
概 要:平成24年7月12日、山形県警が、山形県の許諾を得ずに、その種もみを販売した愛知県内の個人を種苗法違反の容疑で逮捕。平成24年10月4日、山形地方裁判所、懲役1年6月、執行猶予3年、罰金50万円の有罪判決を言い渡した。


植物名:いぐさ
品種名:ひのみどり
権利者:熊本県
侵害者:畳表製造販売会社社長
対 応:関税法違反で有罪・罰金と懲役(執行猶予)
概 要:@中国に種苗が無断で持ち出され、栽培されているとして、平成15年12月、熊本県が、関税定率法に基づき輸入差止めを申立て。平成17年3月、長崎税関八代支署が八代港から輸入されようとした「ひのみどり」のいぐさを摘発し、刑事告発。平成17年11月7日に熊本地検が起訴し、平成18年2月1日、業者に対し罰金百万円、同社長に対し懲役1年6ヶ月執行猶予4年、イ草約8.8tの没収を命じる判決を言い渡した。
A平成23年4月、熊本県に、国内の公的施設に中国産との表示があるものの「ひのみどり」製であることが疑われる畳表があるとの連絡。熊本県の現地調査、DNA分析から当該畳が「ひのみどり」と確認。平成24年1月、熊本県は、当該畳表の輸入業者に対して是正・改善を要求し、2月にその旨を公表。


植物名:菊
品種名:鞠かざぐるま
権利者:種苗会社
侵害者:菊栽培農家
対 応:刑事告訴・警察の強制捜査・略式起訴・略式命令
概 要:平成18年3月、愛知県警半田署が、種苗法違反の容疑で強制捜査。種苗管理センターで品種類似性試験を行い同一品種と確認。半田簡易裁判所より罰金30万の略式命令。


植物名:菊
品種名:岩の白扇(H22.8満了)
権利者:種苗会社
侵害者:中国で増殖・輸入業者
対 応:警告
概 要:中国に種苗が無断で持ち出され、その収穫物が我が国に輸入。育成者権者は、平成18年6月2日、輸入業者に警告。なお、平成16年にも同様の侵害があったが、この際は両者の間に和解が成立。


植物名:小豆
品種名:きたのおとめ(H23.3満了)
権利者:北海道
侵害者:中国で増殖・輸入業者
対 応:警告
概 要:中国に種苗が無断で持ち出され、その収穫物が我が国に輸入されていたことが、平成16年に北海道が輸入品をDNA検査して判明した。北海道からの警告により、輸入業者は中国からの日本品種の小豆の輸入を自粛。


植物名:いんげん豆
品種名:雪手亡(H22.9満了)
権利者:北海道
侵害者:中国で増殖・輸入業者
対 応:警告
概 要:中国に種苗が無断で持ち出され、その収穫物が我が国に輸入、販売されていたことが、平成13年に北海道が輸入品をDNA検査して判明した。北海道からの警告により、輸入業者は中国からの高級白あん原料用いんげん豆の輸入を自粛。


植物名:いちご
品種名:アスカルビー
権利者:奈良県
侵害者:日本の種苗会社・韓国・中国で増殖
対 応:現地で焼却処分
概 要:奈良県農業振興課は平成14年10月18日、奈良県天理市の種苗業者が、苗を安く増殖するために韓国と中国に不正輸出していたとして、現地で苗をすべて廃棄させたと発表した。


植物名:いちご
品種名:章姫(H19.1満了)
権利者:個人育種家
侵害者:韓国で増殖
対 応:不明
概 要:平成8年に韓国内の一部生産者に利用を許諾したが、平成12年頃、増殖されて我が国に逆輸入。現在も韓国国内における栽培は継続中。


植物名:いちご
品種名:レッドパール(H20.11満了)
権利者:個人育種家
侵害者:韓国で増殖・輸入業者
対 応:裁判・和解
概 要:平成10年に韓国内の一部の生産者に利用を許諾したが、平成12年頃、増殖されて我が国に逆輸入、販売されていた。育成者権者が輸入業者を相手に裁判を起こし、輸入を取りやめることなどを条件に和解したが、現在も韓国国内における栽培は継続中。
育成者権者が輸入業者を相手に裁判を起こし、輸入を取りやめることなどを条件に和解。


植物名:いちご
品種名:とちおとめ(H23.11満了)
権利者:栃木県
侵害者:韓国で増殖・輸入業者
対 応:警告
概 要:韓国に種苗が無断で持ち出され、その収穫物が我が国に輸入、販売されていた。栃木県が許諾先の業者に文書で注意。


植物名:おうとう
品種名:紅秀峰(H21.9満了)
権利者:山形県
侵害者:オーストラリアの会社
対 応:刑事告訴・和解・刑事告訴取下げ
概 要:オーストラリアに種苗が違法に持ち出されたとして、平成17年11月16日、山形県が、種苗法に基づき豪州で果実の生産・販売を営む者等を刑事告訴した。平成19年7月、山形県は平成24年まで輸出しないこと等を条件に和解。中国においても、種苗が違法に持ち出され、流通しているとの情報が寄せられている。


植物名:カーネーション
品種名:@ヒルバロスAヒルチェルテスBヒリピンバーC他1品種
権利者:種苗会社(2社)
侵害者:中国で増殖・輸入業者
対 応:警告・謝罪金の支払い
概 要:中国で種苗が無断増殖され、母の日を前にその収穫物が我が国に輸入。育成者権者は、平成18年5月11日、輸入業者に警告し同年12月、輸入業者が謝罪金を支払うことで合意。さらに、平成19年5月、別の輸入業者の輸入品に同様の収穫物を発見し、輸入業者に対して警告を行っている。

 

画像クリックで鮮明な種苗法違反事件の事例一覧表(育成者権の侵害事例)が拡大表示されます。

種苗法違反事件の事例一覧表

PDF版をご覧になる場合には、以下のPDFアイコンをクリックして下さい。

種苗法違反事件の事例一覧 (種苗法に関する育成者権の侵害事例)

 

 

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常緑キリンソウ違法増殖販売者に種苗法違反との有罪判決(刑事事件)

常緑キリンソウ違法増殖販売者に種苗法違反との有罪判決

 

種苗法違反で判決

 

平素は、常緑キリンソウ普及協会の常緑キリンソウ「トットリフジタ1号:品種登録番号15866号」をご愛用いただき、誠にありがとうございます。

常緑キリンソウ「トットリフジタ1号」を違法増殖販売していた容疑(種苗法違反)で、2015年1月25日に刑事事件で逮捕され緑化会社 が、同年2月15日に起訴されました。
同年5月25日、植物を生産していた農場経営者は罪を認め、検察が求刑し、同年7月6日、種苗法違反の罪で、1年2か月執行猶予3年の有罪判決(刑事事件)が下されました。
控訴期間(2週間)が過ぎ、有罪判決が確定しています。

上記2015年7月6日の有罪判決を受けた緑化会社の農場経営者に続き、別途、屋上緑化メーカーと社長に対する種苗法違反の刑事裁判を継続中。

ホームページ上の『重要なお知らせ 常緑キリンソウの違法増殖品にご注意ください』でご案内差し上げているとおり、違法増殖品の発見以来、協会では警察に捜査を要請するとともに、違法増殖販売者の追及に協力して参りました。

常緑キリンソウ普及協会は、お客様に商品を安心してお買い求めいただけるよう、このような違法品に対して、今後も毅然とした態度で臨んで参ります。
お客様がこのような違法品の被害やトラブルに遭われることを未然に防ぐためにも、常緑キリンソウの正規の販売店でお買い求めいただきますようお願い申し上げます。

現在、違法品の使用に対してご不安な方々に対しまして、無料相談を実施しております。

 

【種苗に関する無料相談実施のお知らせ】

@種苗法違反の製品を使用しているか確認したい。
  対象:2012年以降に購入した商品
A違法品を放置しているとどうなるの?
  撤去命令により、違法品が撤去される場合があります。

B違法品を使用した造園会社やゼネコンに責任はあるの?  
  場合によっては、種苗法の適用範囲となります*1。
C違法品は撤去させられるの?

  撤去命令により撤去が実行される場合があります。*2
D解決策は? その他etc

*1 育成者権の侵害は、種苗法第35条に過失の推定の規定があり、これによって育成者権を侵害した者は、その行為について過失があったものと推定されますので、知らないうちに侵害品を取り扱ってしまった場合においても、過失がなかったことを立証しない限り、その過失責任を問われます。なお、罰則は故意の場合に限り適用されます。
*よく寄せられる質問-問36より − 農研機構HP 種苗管理センター

*2 育成者権が侵害された場合、@侵害行為を止めること、侵害行為において作られた種苗、収穫物若しくは加工品の廃棄を求めること等(差止請求)、A損害の賠償を求めること(損害賠償請求)、B信用の回復に必要な措置を求めること(信用回復の措置請求)が出来ます。
権利侵害のページをご参照下さい。


まずは、お気軽にご相談下さい。


相談窓口:常緑キリンソウ.com(ご相談・お問合せフォーム)はこちらへ

 

 

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緑化業者・ゼネコン・工務店・商社等の皆様へ注意事項

種苗法違反は、生産者や農家だけの話だと思いがちです。

種苗法の適用範囲は、工事を行った業者や流通業者も適用範囲となります。

また、下記についても十分な注意が必要となります。

 

●下請け、納品業者に違反があった場合においても元請業者にも責任
 及ぶ場合があります。


●知らないうちに侵害品を取り扱ってしまった場合においても、過失責任
 問われる場合があります。


●引渡し後の建物から、納品物(屋上緑化)の撤去が命じられる場合があ
 ります。


*下記マンガはあくまでも種苗法違反が起こった場合のイメージです。
*撤去は必ず実行されるものではありません。

施工業者の責任

*育成者権の侵害は、種苗法第35条に過失の推定の規定があり、これによって育成者権を侵害した者は、その行為について過失があったものと推定されますので、知らないうちに侵害品を取り扱ってしまった場合においても、過失がなかったことを立証しない限り、その過失責任を問われます。なお、罰則は故意の場合に限り適用されます。
*よく寄せられる質問-問36より − 農研機構HP 種苗管理センター

*育成者権が侵害された場合、@侵害行為を止めること、侵害行為において作られた種苗、収穫物若しくは加工品の廃棄を求めること等(差止請求)、A損害の賠償を求めること(損害賠償請求)、B信用の回復に必要な措置を求めること(信用回復の措置請求)が出来ます。
権利侵害のページをご参照下さい。

 

常緑キリンソウを購入する際には、必ず下記の点を確認しましょう。

 

1.常緑キリンソウの正規品・正規品取扱店なのかを確認しましょう。

2.常緑キリンソウ」(トットリフジタ:品種登録番号15866号)と違う場合には、必ず使用されて
  いる品種を確認しましょう。

3.購入先・仕入れ先の製品が種苗法上問題が無いとする文章(証明書類)を入手しましょう。

4.トットリフジタ1号との明確な特性の違いが有るかを確認しましょう。【確認事項1】

5.DNA解析等の報告書が有る場合には、試験の内容を確認しましょう【確認事項2】

 

特に3番目〜5番目は非常に重要です。
この3番目〜5番目に明確に回答できないメーカーは信用できないと思ったほうがよいでしょう。

【確認事項1】【確認事項2】につきましては別途下記に詳細がございます。

 

以上、十分に注意して登録品種を使用しましょう。

 

 

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名前が違うキリンソウ(常緑)が販売されています?【確認事項1】

名前が違うキリンソウ(常緑)が販売されていますが大丈夫ですか?

1.「登録品種と特性により明確に区別されない品種とは

「登録品種と特性により明確に区別されない品種」とは、仮に、登録品種とは別に育成された品種であったとしても、特性(重要な形質に係る特性)の全部又は一部について品種登録の要件である区別性が認められる程度の差がないものをいいます。(他人のそら似)。
*種苗法においては、他人のそら似でもNGだという事です。

 

2.具体例

具体的には、仮に、登録品種とは別に育成された品種が登録品種と特性に差があったとしても、登録品種との特性差の全部が各特性ごとに設定される階級値(特性を階級別に分類した数値)の範囲内に留まる場合等が「登録品種と特性により明確に区別されない品種」に当たります。

 

●図表 登録品種と特性により明確に区別されない品種

区別されない品種

 

仮に、品種Aと品種Bの親から、登録品種C(トットリフジタ1号)が誕生したとします。 また、全く違う親である品種Xと品種Yの親から、品種Zである〇〇キリンソウが誕生しました。しかし、親は違いますが、品種Zが登録品種Cと明確に区別できない特性でした。この場合には、品種Zに対しても登録品種Cの育成者権の効力の範囲となります。つまり、品種Zを販売すると種苗法違反となります。

落葉のキリンソウは何ら問題はありませんが、常緑と認められ品種登録されているキリンソウは、「トットリフジタ1号及び2号」のみです。

常緑キリンソウとしてトットリフジタ1号及び2号と名前が違う形で販売されている物には、特に注意が必要です。

例えば、常緑キリンソウとして、「鹿児島キリンソウ」、「横浜キリンソウ」、「韓国キリンソウ」、「ドイツキリンソウ」として売られているから大丈夫、海外産だから大丈夫だという事ではありません。

明確にトットリフジタ1号及び2号と特性が違う物でなければ販売できません。明確に区別できない物は、種苗法違反となります。

従属品種や交雑品種についても親品種の育成者としての権利が及びますので、育成者の許諾が必用となります。

 

常緑キリンソウを購入する際には、必ず以下の点を確認しましょう。
【確認事項1】

1.トットリフジタ1号又は2号であるかの確認。
2.他の名称で販売されている場合には、トットリフジタ1号及び2号と明確に特性が違うとする
  説明を受けましょう。
  *〇〇キリンソウだから大丈夫、外国産だから大丈夫という説明は通用しません。

   

 

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DNA解析の基礎知識・DNA解析の精度【確認事項2】

DAN解析の基礎知識・DNA解析の精度

 

 【DNAについての基礎知識】

 ヒトとチンパンジーに塩基配列の違いは、わずか1.23%と言われています。ヒトとチンパンジーは約99%が同じだという事です。DNAの事について、私たちは細かい点までなかなか理解していません。DNA解析の結果99%が一致したと言われると、同じだと錯覚してしまいそうですが、実はかなり違っています。人間同士で比較すると、99.9%は他の人とDNAが共通していると言われています。誰かとの顔の違い、スタイルの違いも、たった0.1%のDNAが違うだけです。驚くことに、人間のDNAの7割はナメクジと共通しています。自分の7割がナメクジだと思うとちょっと悲しくなってきてしまいますが、人間みんながそうなので諦めるしかありません。他にDNAが解析されている生物の中で、人間と7割のDNAが共通しているものとして、ウニが挙げられます。ナメクジよりはいいかもしれませんが、ウニというのも微妙ですね。どこにも人間との共通性が見出だせない気がしますが、人間とウニを分けているのは、残り3割のDNAなのです。

 

【生物学上の分類】

生物学上の分類では、界、門、綱、目、科、属、種と分類されており、界は大きな分類、種に近づくほど小さなグループに分類されています。農林水産省の判断では、『品種登録制度における登録の単位は「種」よりも小さい集団である「品種」である』としています。

 

【DNA解析の現状】

現在DNA鑑定は、実社会においていろいろなニーズにこたえることを期待されています。 しかし、それに応えているのは、ほぼ技術が成熟している「人」に関する領域のみで、その他の分野においては、学術的な成果を誇っているにすぎません。

一般には、DNA解析できる植物の種類はほんの一部であるとの知識は無く、人間と同様にDNA鑑定が出来るとの認識だと思われます。つまり、分析機関が行ったDNA解析試験の結果は、どういう方法での解析結果なのかを見極めないといけません。DNA解析結果が100%〜99%一致したという事で品種が特定できたわけではないからです。

 

【植物におけるDNA解析の現状】

独立行政法人種苗管理センターのホームページより
現在、国として植物のDNA分析で品種が特定できる物は稲、いちご、大麦など51種類で、これまではキリンソウは含まれていませんでした。

 

【分析機関の見解】

「私共の実施するDNA塩基配列解析試験では,品種ではなく,種までの識別を目的とした試験です。検体が複数の生物種と高い相同性を示す場合は,それらが共通する分類群(属,科など)までのご報告となります。品種の識別を行う場合は,特定の遺伝子領域の塩基配列から判断する方法より,DNAマーカーを用いた方法が一般的です。私共の実施するDNA塩基配列解析試験は品種登録制度と直接関係を有する試験ではございません。

 

【日本 DNA データバンク(DDBJ)の見解】

塩基配列の一致で種を同定する事は不可能で、一般に 生物学的な種の分類・同定は総合的な視点からなされるべきです。塩基配列の類似度は、あくまで、分類の一助であり、分類の絶対的指標ではありません。研究者は 採集地、生育のための条件、形態、生化学的性質なども含めた総合的な判断で、種を同定したり、新種を提唱したりしています。」

 

【SSRマーカーの開発その1】

財団法人 食品分析開発センターSUNATECのホームページより
植物分野においては、この数年の間、イネゲノムを始め、数々の植物を対象としたゲノム解析研究が精力的に推進されたため、連鎖地図の作成のために開発されたSSRマーカーが多数報告されており、今後、これらのゲノム情報(バイオインフォマティクス)を積極的に活用した品種判別に係るDNAマーカーの研究開発は加速化するものと思われます。

 

【SSRマーカーの開発その2】

平成20年3月 独立行政法人 種苗管理センター「DNA品種識別技術の妥当性確認のためのガイドライン SSRを中心として」 よりDNA品種識別技術の中で最も代表的なSSR法。SSRマーカーは信頼度も高く、共有性の遺伝形式を示すという特徴があります。これらの特徴から、様々な動植物において、親子鑑定や品種識別の手法として利用されています。

 

これまでキリンソウは研究者も少なく、品種識別マーカーが無く品種判定は出来ない状態でした。SSR マーカーを用いると品種識別能力は非常に高くなりますが、SSR マーカーのプライマーの設計に費用と労力がかかる欠点ありました。そこでフジタパラダイスパークでは、鳥取大学と共同で、農林水産省の「品種保護に向けたDNA品種識別技術実用化事業」で補助金を利用し、品種識別に利用可能な多型を示すSSRマーカー、STSマーカーを開発いたしました。現在、鳥取大学では、キリンソウの品種特定が可能となっています。(キリンソウの品種特定が可能なのは鳥取大学のみです。)

 


画像クリックで拡大されます。

DNA解析の精度

 

DNA解析試験に関する報告書については、必ず下記の点を確認しましょう。
【確認事項2】

1.DNA分析方法 塩基配列解析試験なのかSSR法による分析なのか。
2.分析機関に、「品種までの特定が可能なのか?」 問い合わせを行いましょう。

*特に2番目は重要な問題です。必ず、分析機関に問い合わせを行いましょう。

 

 

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常緑キリンソウの違法増殖品にご注意ください!!

常緑キリンソウの違法増殖品にご注意ください!!

 
最近、「常緑キリンソウ」を違法に増殖したもの(種苗法違反)が、出回っていることが確認されています。
「常緑キリンソウ」をご使用の際には、正規の販売代理店でお買い求めいただきますようお願い申し上げます。

 
常緑キリンソウで屋上緑化-屋上緑化偽装問題種苗法違反.jpg屋上緑化常緑キリンソウ正規品.jpg

 
 
 
 

 

平素は、弊社「常緑キリンソウ」(トットリフジタ:品種登録番号15866号)をご愛用いただき、誠にありがとうございます。

「常緑キリンソウ」(トットリフジタ:品種登録番号15866号)は種苗法で保護された品種登録品です。
種苗法に基づく品種保護制度とは、植物の新品種を育成した者に対して知的財産権である育成者権を付与し、これを保護する制度です。品種登録品は、植物特許で種苗法により保護されています。違法行為につきましては、非常に厳しい罰則規定があります。

「常緑キリンソウ」をご使用の際には、正規の販売代理店でお買い求めいただきますようお願い申し上げます。 

 

 

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常緑キリンソウ:販売・価格 常緑キリンソウ正規取扱店(公式サイト)

常緑キリンソウ:販売・価格 常緑キリンソウ正規取扱店

 

常緑キリンソウの販売・価格・工法につきましてお気軽にお問合せ下さい。「常緑キリンソウ」をご使用の際には、正規の販売代理店でお買い求めいただきますようお願い申し上げます。正規取扱店の詳細は、下記「植物における品種登録は財産です」PDFをご覧ください。

 

画像クリックで拡大します。

正規取扱店表正規取扱店裏

PDF版をご覧になる場合には、以下のPDFアイコンをクリックして下さい。

常緑キリンソウ正規取扱店一覧 「植物における品種登録は財産です。」

 

 

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種苗法とは

種苗法とは、植物の品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的に定められた法律です。いわゆる植物特許を保護する為の法律です。
守らないと下記罰則(種苗法の罰則規定)を科せられる場合があります。

【種苗法の罰則規定(育成者権侵害罪の罰則)】
個人の場合:10年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金又はこれらの併科
法人の場合:3億円以下の罰金

 

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種苗法概略1種苗法概略2

PDF版をご覧になる場合には、以下のPDFアイコンをクリックして下さい。

種苗法解説概略

 

 

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農林省資料1農林省資料2

 

PDF版をご覧になる場合には、以下のPDFアイコンをクリックして下さい。

農林水産省資料(登録品種の種苗は適正に利用しましょう)

 

 

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STOP THE 種苗法違反 その時あなたは?

STOP THE 種苗法違反 その時あなたは?

 

過去の事例 「つや姫事件」

山形県産ブランド米「つや姫」の種もみを無断販売 → 種苗法違反で逮捕

●違法とは知らなかった
●つや姫の種もみ5袋(2万9千円)を販売、販売期間3か月間

以下のPDFをご覧ください。

つや姫事件の新聞記事や、確認すべきことなどの重要事項についての説明が有ります。

 

画像クリックで拡大されます。

STOP1面STOP2面

 PDF版をご覧になる場合には、以下のPDFアイコンをクリックして下さい。

STOP THE 種苗法違反 その時あなたは? 

 

 

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種苗法条文

1.第一章 総則(第一条〜第二条)
  1-1 総則(第一条〜第二条)
         目的:第一条
         定義等:第二条

2.第二章 品種登録制度(第三条〜第五十七条)
  1-1 第一節 品種登録及び品種登録出願(第三条〜第五条)
       第三条:品種登録の要件
      第四条:品種登録の要件
      第五条:品種登録出願

  1-2 第一節 品種登録及び品種登録出願(第六条〜第九条)
      第六条:出願料
      第七条:出願者の名義の変更
      第八条:職務育成品種
      第九条:先願

  1-3 第一節 品種登録及び品種登録出願(第十条〜第十二条)
      第十条:外国人の権利の享有
      第十一条:優先権
      第十二条:品種登録出願の補正

  2-1 第二節 出願公表(第十三条〜第十四条)
        第十三条:出願公表
        第十四条:出願公表の効果等

  3-1 第三節 審査(第十五条〜第十八条)
        第十五条:出願品種の審査
        第十六条:名称の変更命令
        第十七条:品種登録出願の拒絶
        第十八条:品種登録

  4-1 第四節 育成者権(第十九条〜第二十一条)
        第十九条:育成者権の発生及び存続期間
        第二十条:育成者権の効力
        第二十一条:育成者権の効力が及ばない範囲

  4-2 第四節 育成者権(第二十二条〜第二十七条)
        第二十二条:名称を使用する義務等
        第二十三条:共有に係る育成者権
        第二十四条:法人が解散した場合等における育成者権の消滅
        第二十五条:専用利用権
        第二十六条:通常利用権
        第二十七条:先育成による通常利用権

  4-3 第四節 育成者権(第二十八条〜第三十二条)
        第二十八条:裁定
        第二十九条:通常利用権の移転等
        第三十条:質権
        第三十一条:育成者権等の放棄
        第三十二条:登録の効果

  5-1 第五節 権利侵害(第三十三条〜第三十七条)
        第三十三条:差止請求権
        第三十四条:損害の額の推定等
        第三十五条:過失の推定
        第三十六条:具体的態様の明示義務
        第三十七条:書類の提出等

  5-2 第五節 権利侵害(第三十八条〜第四十一条)
        第三十八条:損害計算のための鑑定
        第三十九条:相当な損害額の認定
        第四十条:秘密保持命令
        第四十一条:秘密保持命令の取消し

  5-3 第五節 権利侵害(第四十二条〜第四十四条)
        第四十二条:訴訟記録の閲覧等の請求の通知等
        第四十三条:当事者尋問等の公開停止
        第四十四条:信用回復の措置

  6-1 第六節 品種登録の維持及び取消し(第四十五条〜第四十八条)
        第四十五条:登録料
        第四十六条:利害関係人による登録料の納付
        第四十七条:登録品種の調査
        第四十八条:登録品種の名称の変更

  6-2 第六節 品種登録の維持及び取消し(第四十九条)
        第四十九条:品種登録の取消し

  7-1 第七節 雑則(第五十条〜第五十三条)
        第五十条:在外者の裁判籍
        第五十一条:品種登録についての審査請求の特則
        第五十二条:品種登録簿への登録等
        第五十三条:証明等の請求

  7-2 第七節 雑則(第五十四条〜第五十七条)
        第五十四条:手数料
        第五十五条:品種登録表示
        第五十六条:虚偽表示の禁止
        第五十七条:条約の効力

3.第三章 指定種苗(第五十八条〜第六十六条)
  1-1 指定種苗(第五十八条〜第六十一条)
      第五十八条:種苗業者の届出
      第五十九条:指定種苗についての表示
      第六十条:指定種苗についての命令
      第六十一条:指定種苗の生産等に関する基準

  1-2 指定種苗(第六十二条〜第六十六条)
      第六十二条:指定種苗の集取
      第六十三条:研究機構等による指定種苗の集取
      第六十四条:研究機構等に対する命令
      第六十五条:報告の徴収等
      第六十六条:都道府県が処理する事務等

4.第四章 罰則(第六十七条〜第七十五条)
  1-1 罰則(第六十七条〜第七十五条)
      第六十七条:侵害の罪
      第六十八条:詐欺の行為の罪
      第六十九条:虚偽表示の罪
      第七十条:秘密保持命令違反の罪
      第七十一条:虚偽の表示をした指定種苗の販売等の罪
      第七十二条:虚偽届出等の罪
      第七十三条:両罰規定
      第七十四条:命令違反に対する過料
      第七十五条:名称使用義務等の違反に対する過料

種苗法関連リンク集

 

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品種保護対策に関して よく寄せられる質問1

よく寄せられる質問(農研機構・種苗管理センターHPからの抜粋)
侵害状況記録の作成について


問1
登録品種が無断で増殖され、販売されている情報をつかみました。店頭で販売している侵害品について侵害行為の証拠を作りたいのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。

答え
店頭で販売されている侵害品を入手し侵害行為の証拠にするためには、入手の経路、日時、数量、金額等を客観的に証明する必要があります。さらに、入手した侵害疑義物品は利害関係者ではない第三者に預けるのが一番確実な方法です。
種苗管理センターでは品種保護Gメンを平成21年度からは全国7ヶ所(北海道、青森県、茨城県、長野県、岡山県、長崎県、沖縄県)に配置し、このような場合に依頼者とともに侵害行為の現場に行き、入手の経路、日時、数量、金額等を客観的に記録する侵害状況記録書を作成するサービスを行っています。また、入手した侵害疑義物品を預かる寄託も実施しています。さらに、入手した侵害疑義物品が切花の場合には挿木による種苗の生産も行っています。これらは有料サービスです。詳しくは品種保護対策課にお問合せ下さい。


問2
違法な栽培をしている農家についての情報が寄せられました。権利者が直接その農家へ確認に行くと拒絶されるおそれがあるので、品種保護Gメンに調査してもらえますか。

答え
品種保護Gメンには物品の押収や調査を強制する権限はありませんので、依頼により品種保護Gメンが単独で農家等侵害場所を調査することは行っていません。
 したがって、権利者は侵害疑義物品を商品として購入する等により入手したり、相手側が納得して同意した上で現場の調査や事情を聴取することになります。その際、品種保護Gメンは、権利者が侵害疑義物品を入手したり侵害状況を確認する現場に立会い、その状況を客観的に記録することによって侵害を証明する資料を作成することになります。


品種類似性試験について

問3
品種類似性試験(DNA分析を除く。)を依頼したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

答え
品種類似性試験依頼書及び試験に供する登録品種と比較品種の種苗等を提出してください。ただし、品種類似性試験を依頼するためには次のような条件があります。1.試験を依頼する理由が育成者権の侵害に係るものでなければなりません。2.試験の依頼者は育成者権者、専用利用権者若しくはその代理人又は育成者権侵害を訴えられた者若しくはその恐れがある者でなければなりません。試験は有料サービスです。詳しくは品種保護対策課にお問合せ下さい。


問4
品種類似性試験の特性比較と比較栽培とは何が違うのですか。

答え
特性比較は、依頼者が提出した品種と登録品種の植物体の特性を目視及び計測により比較調査しますので、簡易・迅速に類似性の程度について客観的資料を得ることができます。ただし、栽培条件の違いにより、特性の発現が異なる場合が多く、期待した結論が得られないことがあります。
比較栽培は、依頼者が提出した種苗を栽培試験と同一の方法で栽培し特性を比較調査しますので、信頼性の高い結論が得られます。ただし、侵害品からの植物体の再生が困難な場合があるほか、栽培適期が限られ、試験に長期間を要します。
両者はそれぞれ長所と短所がありますので、特性比較と比較栽培を組み合わせることでそれぞれの結果を有効に活用することができます。


問5
DNA分析による品種類似性試験を依頼したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

答え
種苗管理センターでDNA分析が実施可能な植物(品種)は、いちご、おうとう、白いんげんまめ、茶、日本なし、小豆、ひまわり、とうもろこし、カーネーション、りんご、パインアップル及びばれいしょの登録品種、いぐさの「ひのみどり」に限定されます。また、稲、白いんげんまめ、小豆、いぐさ等については他の検査機関等が実施しています。
当センターのDNA分析を希望される場合は、品種類似性試験依頼書及び試料(通常、いちご及びおうとうの果実は30個、白いんげん豆の子実は30粒、いぐさの茎は30本、苗は10株)を提出してください。提出された試料から無作為に抽出したサンプルを分析します。ただし、品種類似性試験を依頼するためには次のような条件があります。1.試験を依頼する理由が育成者権の侵害に係るものでなければなりません。2.試験の依頼者は育成者権者、専用利用権者又はその代理人若しくは育成者権侵害を訴えられた者又はその恐れがある者でなければなりません。試験は有料サービスです。詳しくは品種保護対策課にお問合せ下さい。


品種の利用について

問6
種苗法第2条第5項に「譲渡の申出」がありますが、育成者権者の許諾を得ない他人が、インターネットのサイトで登録品種の名称を表示し、種苗の譲渡の申出をした場合について質問します。

1.育成者権者の許諾を得ない他人が、インターネットのサイトに登録品種の名称を表示し、種苗の譲渡の申出をする行為は、それだけで育成者権の侵害になるのでしょうか。

答え
育成者権の侵害に該当することになると考えられます。

ア. 「譲渡の申出」(種苗法第2条第5項)が利用行為に含まれているのは、「譲渡の申出」は、それ自体では育成者権者に実質的な不利益を与えるものではありませんが、実質的不利益を与える「譲渡」の前提行為であり、「申出」がされれば「譲渡」がされるおそれが高いことを踏まえて、定型的に「申出」にも育成者権の効力を及ぼすことが相当と考えられたためと考えられます。そうしますと、登録品種の名称を表示して、種苗の譲渡の申出をする行為は、当該登録品種の種苗についての「譲渡の申出」に該当することになると考えられます。 よって、育成者権者の許諾を得ない他人が、「譲渡の申出」を行った場合は、育成者権の侵害に該当することになると考えられます。

イ.登録品種の名称Aを表示し、実際には登録品種Aではなく種苗Bを無断販売する行為について
申出において譲渡の対象として表示された品種名称と、実際に譲渡の対象として考えている品種とが異なる場合には、表示された品種が譲渡されるおそれはなく、その育成者権者は実質的な不利益を被らないことになります。 このような場合にまで、育成者権の効力を及ぼす必要性は低いように思われます。したがって、そのような場合は、そもそも表示された品種の譲渡の申出に該当しない、 又は譲渡の申出には該当するが育成者権の効力を及ぼすことは信義則に反する(刑事事件においては、刑事責任を問うほどの違法性がない)と解される可能性があります。
よって、例えば、インターネットのサイト上に、登録品種「A」の種苗を譲渡する旨の記載がされていたとしても、その申出人が実際に譲渡しようと考えている種苗が「A」ではなく「B」であったような場合には、「A」の譲渡の申出に該当しない、又は「A」の譲渡の申出には該当するが「A」の育成者権の効力を及ぼすのは信義則に反する(違法性がない)として、「A」の育成者権の効力が及ばないとされる可能性があると考えられます。

ウ.譲渡の申出をしたが、譲渡される可能性がなかった場合
譲渡の申出をしたが、譲渡される可能性がなかったような場合も、イと同様に解される可能性があります。
もっとも、登録品種「A」の種苗を譲渡するつもりで、登録品種「A」の名称を使用して、譲渡の申出を行ったけれども、譲渡の申出の時点では申出人の手元に「A」の種苗がないような場合については、当該時点で手元にないということだけでは、 必ずしも譲渡の可能性がないとはいえないのではないかと思われます。その時点で手元になくとも、その後に第三者から「A」の種苗を取得などして、譲渡できる可能性があり得ますので、そのような場合であれば、育成者権の効力が及ぶと解すべきと考えられます。
このように解しますと、イ及びウのような場合には「A」の育成者権の効力が及ばないことになりますが、種苗法第22条2項、不正競争防止法又は刑法等により対応することが可能と思われます。

2.1が侵害であるとした場合、育成者権者側の侵害の立証は、譲渡の申出をしたという広告の証拠だけで十分でしょうか。 それとも、譲渡の申出をした者が持っている種苗が登録品種であることを立証する必要があるのでしょうか。

答え
1のイの記載のとおり、譲渡の申出の対象である種苗がその育成者権者が権利を有する登録品種でなかった場合、育成者権の効力が及ばない可能性があります。
この点、1のイの例で「A」について譲渡の申出がないと解するのであれば、育成者権者が譲渡対象が「A」であることについてまで立証する責任を負うと考えられます。他方、「A」についての譲渡の申出はあるが信義則違反であると解するのであれば、被告が譲渡の対象が「A」ではないことを立証する責任を負います。
そして、前者のように解するとしても、その登録品種の名称「A」を使用して譲渡の申出をしているとの事実は、その譲渡の申出の対象となっている種苗が登録品種「A」であることをうかがわせる有力な事実になると思われます。また、民事訴訟になった場合、譲渡の申出人は、その申出の対象が登録品種であることを否認する場合には、そのことについて具体的に明らかにしなければならないことになります(種苗法第36条)。よって、育成者権者がその登録品種の名称を使用して譲渡の申出をした事実を立証したにもかかわらず、申出人が相当な理由なくそれが当該登録品種ではないことについて具体的に明らかにしない場合には、その譲渡の申出の対象は当該登録品種であると裁判所に認定される可能性があると考えられます。

3.育成者権者の承諾を得ない他人が、登録品種の種苗を用意しないまま、登録品種の名称を表示し、 種苗の譲渡の申出をする行為は育成者権の侵害になるのでしょうか。

答え
1のウの記載のとおり、譲渡の申出の時点で種苗を用意していなかったとしても、侵害となり得ると思われます。


問7
卸売市場において、育成者権侵害の可能性のある商品を取り扱うことに問題はあるのでしょうか。本来市場が有するのは集荷・分荷の役割です。卸売手数料をとるものの、原則的に生産者からの「委託」を受けて行われる卸売市場での売買は「仲介」といった意味合いが強く、商品の所有権は売手(委託者)から買手に移行するだけです。 そこで、育成者権の侵害品を卸売市場が取り扱った場合について質問します。

1.通常の競りなどで行われる取引のために、育成者権の侵害品を卸売市場のバックヤードに保管する行為は、種苗法第2条第5項の「これらの行為をする目的をもって保管する行為」に該当するのでしょうか。

答え
「譲渡」とは、有償無償を問わず、種苗等の所有権を移転する行為をいうと解されています(農林水産省生産局知的財産課編著「最新逐条解説種苗法」(以下、「最新逐条解説種苗法」という。)12頁)。 質問欄に記載のとおり、商品の所有権が売主である委託者から買主に直接移転するのであれば、上記の「譲渡」の定義からすると、卸売業者から買主に対して商品の「譲渡」があったといえず、売主から買主に対して商品の「譲渡」があったということになると思われます。
そうすると、本件では、保管者と譲渡者とが異なることになりますが、一般に、譲渡等をする者と保管者が異なることも想定されますので、他人がする譲渡等のために保管する行為に対し育成者権が及ばないと解するのは、育成者権保護の観点からは相当でないと考えられます。また、譲渡等をしようとする者が自ら保管する場合と、第三者が他者のする譲渡のために保管する場合とで、育成者権が受ける影響に変わりがあるとは考えられず、前者に効力が及ぶのに後者に効力が及ばないとする理由もないように思われます。
よって、卸売業者がバックヤードに保管する行為は、「これらの行為をする目的をもって保管する行為」に該当すると考えられます。

2.1が該当するとした場合、その行為者は卸売市場となり、卸売市場が育成者権の侵害を行ったことになるのでしょうか。それとも行為者は他者になるのでしょうか。

答え
保管行為を行っているのは卸売業者ですので、卸売業者が育成者権侵害を行ったことになると考えられます。また、委託した売主も、共同で侵害行為を行ったと評価される可能性があります。


問8
登録品種Xについて、小売店CでXの育成者権侵害と思われる切花が売られていました。Xの育成者権者Aは、その切花を出荷している農家Bがわかっており、BがXの種苗を無断増殖して切花を生産していることを知っていた場合について質問します。

1.Cが販売していたのはXの収穫物です。この収穫物にXの育成者権の効力は及びますか。

答え
育成者権の効力は、「品種」の利用に及びます(種苗法第21条第1項)。「品種」には、種苗だけではなく、収穫物も含まれますが(同法第2条第5項)、収穫物の利用に対して育成者権を行使できるのは、種苗の段階で権利を行使する適当な機会がなかった場合に限られます(同項第2号かっこ書き)。 このことは、育成者権の段階的行使の原則(カスケイド原則)といわれています。

2.BがXの種苗を無断増殖し、生産した切花をCに出荷していることをAが知っていた場合は、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」があったことになりますか。

答え
種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」とは、種苗の段階において、育成者権者が登録品種を利用している第三者との間で許諾契約を締結することなどができる状況をいいます。 例えば、育成者権者において、当該第三者が登録品種を利用している事実を知っており、かつ、育成者権者が許諾により権利行使することが法的に可能であった場合には、「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」があったことになります。
したがって、育成者権者であるAが、Bによる登録品種Xの無断増殖の事実をいつの時点で知ったかによって、「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」があったか否かが分かれます。

3.Bが昨シーズンからXの種苗を無断増殖し、生産した切花を出荷していたことをAが知っていた場合は、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」に該当しますか。

答え
Aは、Bにより登録品種Xの利用が昨シーズンから行われていたことを知っていたので、少なくとも今シーズンにおいては、Bとの間で許諾契約を締結する機会があったと考えられます。 このため、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」には該当しないと考えられます。

4.BがXの種苗を無断増殖し、生産した切花を出荷していたことを数日前にAが知った場合は、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」に該当しますか。

答え
AはBによる登録品種Xの利用を数日前に知りましたが、その時点では既に収穫物の段階であり、種苗の段階においてBとの間で許諾契約を締結する機会はなかったと考えられます。 このため、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」に該当すると考えられます。   

5.AはCに対して切花の販売の差止を請求できますか。

答え
切花に対して育成者権の効力が及ぶ場合(その切花に係る種苗の段階においてBとの間で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合)には、Aは、Cに対し、種苗法第33条第1項の規定に基づき、切花の販売の差止を請求できます。

6.AはCに対して切花の販売に係る損害賠償を請求できますか。

答え
切花に対して育成者権の効力が及ぶ場合(その切花に係る種苗の段階においてBとの間で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合)には、Aは、Cに対し、民法第709条の規定に基づき、切花の販売に係る損害賠償を請求できます。
なお、AがBに対し損害賠償を請求した場合には、その請求に係る切花の販売についてCに対して損害賠償を請求することはできないとされています。


仮保護について

問9
出願品種Yについて、小売店FでYと思われる切花が売られていました。その切花を出荷している農家がわからなかったため、 出願者DはFに対して警告を行いました。後に、当該切花を出荷していた農家Eが判明したのでEに対しても警告を行った場合について質問します。

1.Fが販売していたのはYの収穫物です。出願品種の収穫物の販売に対して警告できますか。

答え
種苗法第14条第1項の規定に基づく補償金支払請求は、出願品種の収穫物の利用者に対しても行うことができます。ただし、補償金支払請求権についてもカスケイド原則(問8の1参照)が適用されると考えられるため、種苗の段階で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に限られます。

2.Fは警告後もYの切花を販売していました。後に、当該切花を出荷していた農家がEであると判明しましたが、その後のFの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になりますか。

答え
出願品種にもカスケイド原則が適用されると考えられるため、出願品種の収穫物に対する補償金支払請求は、種苗の段階で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に限られます。
DはEを知っていますが、出願品種の種苗の利用の事実を知ったのがいつの時点であったかによって、種苗の段階で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に該当するか否かが分かれます。

3.警告後にFが販売した切花について、農家がEであると判明した当該シーズンの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になりますか。

答え
DがEによる出願品種の種苗の利用を知ったのは収穫物の段階であり、種苗の段階においてEとの間で許諾契約を締結する機会はなかったと考えられます。Eによる出願品種の種苗の利用が判明した当該シーズンの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になります。

4.警告後にFが販売した切花について、農家がEであると判明した翌シーズンの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になりますか。

答え
Dは、Eによる出願品種の種苗の利用を知っていますので、翌シーズンの種苗の段階においてEとの間で許諾契約を締結する機会があったと考えられます。そのため翌シーズンは補償金支払請求の対象にはならないと考えられます。

5.DがEとFに対して警告を発していた場合、警告後にFが販売した切花について、補償金の支払を請求できますか。

答え
Yの品種登録後に、Dは、Fに対し、種苗法第14条第1項の規定に基づき、切花の販売に係る補償金の支払を請求できます。ただし、その切花に係る種苗の段階においてEとの間で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に限られます。
なお、DがEに補償金の支払を請求した場合は、その請求に係る切花の販売についてFに補償金の支払を請求することはできないとされています。


問10
種苗法における仮保護の期間と具体的な保護内容について教えて下さい。

答え
種苗法第14条に「出願公表の効果等」として「出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告したときは、その警告後品種登録前にその出願品種、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種又は当該出願品種が品種登録された場合に第20条第2項各号に該当することとなる品種を業として利用した者に対し、その出願品種が品種登録を受けた場合にその利用に対しうけるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公表に係る出願品種(当該出願品種と特性により明確に区別されない品種及び当該出願品種が品種登録された場合に同項各号に該当することとなる品種を含む。以下この条において同じ。)であることを知って品種登録前にその出願品種を業として利用した者に対しては、同様とする。」とあります。
これがいわゆる「仮保護」に関する規定です。したがって、仮保護の期間は、出願公表された日から品種登録された日の前日までになります。また、具体的な保護内容は、警告後に業として出願品種等を利用した者に対して、その出願品種が登録された場合の利用料に相当する補償金請求をすることを認めることによって出願品種等の無断利用を防止することです。 なお、同条第2項に「前項の規定による請求権は、品種登録があった後でなければ、行使することができない。」とありますので、ご留意下さい。


問11
仮保護期間中の出願品種の利用について警告を行い、相手側が出願品種の種苗等を廃棄したと仮定します。その後、審査の結果、当該出願品種が登録されなかったために相手側から当該種苗の廃棄等で被った損害賠償を請求された場合、出願者はこの損害について賠償責任があるのでしょうか。

答え
種苗法第14条第1項は、「出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、・・・補償金の支払いを請求することができる」と規定しており、登録前の出願者が、出願品種を業として利用する者に対し、補償金支払請求のため、警告することを許容しているといえます。
このように、登録前の出願者による警告は、法律により許容された行為であるといえることから、その警告が相当なものである限り、たとえ出願品種が審査の結果登録されなかったとしても、不法行為とはならないと考えられます。
よって、出願者の警告が法の趣旨目的に沿った相当なものである限り、出願品種が審査の結果登録されず、警告を受けた者がその警告により損害を被ったとしても、出願者は警告を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)は負わないものと思われます。
他方、出願者の警告が相当性を欠く場合、その警告は不法行為となり、出願者は出願品種の利用者に対し不法行為責任を負う可能性があります。例えば、出願品種が登録要件を欠くものであり、出願者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易に知り得たといえるのに、あえてその利用者に対して警告をしたような場合などは、当該警告は相当性を欠き不法行為となる可能性があると思われます。また、虚偽の事実を記載した書面による警告なども、相当性を欠くものと思われます。


「業として」の解釈について

問12
種苗法第20条第1項に、「育成者権者は、品種登録を受けている品種及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。」とありますが、「業として」とは具体的にどのような意味ですか。

答え
種苗法第20条第1項の「業として」とは、個人的あるいは家庭的な利用を除く全ての行為を指します。ここでの解釈では、営利目的の有無は問いません。また、反復継続する必要もなく、ただ一回の利用であっても「業として」と判断されることがあります。


問13
「種苗法第4条第2項に、「品種登録は、・・・・・・・さかのぼった日前に、それぞれ業として譲渡されていた場合には、受けることができない。」とありますが、「業として」とは具体的にどのような意味ですか。

答え
種苗法第4条第2項の「業として」の譲渡とは、反復若しくは継続の意思を持って譲渡することと解釈されており、20条の解釈とは少し異なります。営利目的の有無を問わないのは20条と同じです。 なお、継続の意思を持って行う譲渡には、一回の譲渡も含まれます。


品種登録について

問14
花きにおいて、花の部分に区別性がみられなくても、葉や茎などに区別性がみられれば、新品種として登録することは可能ですか。

答え
出願品種の審査は、それぞれの種類の特性表(農林水産省食料産業局知的財産課(以下、「知的財産課」という。)ホームページ「審査基準・特性表」の項目参照)の重要な形質について、日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確な違いがあれば「区別性」の要件を満たします。したがって、花の部分以外の特性において他と明確な違いがあれば登録されることとなります。ただし、登録されるためには区別性の他に、均一性、安定性、名称の適切性、未譲渡性の要件を満たす必要があります。


問15
出願にあたり、複数の人が同じ品種を出願しようとした場合、一番先に出願した人に権利が与えられるということですが、品種登録をしようとする場合、すでに同じものが出願されているかどうかを知ることはできるでしょうか。また、それはどのような手続きをとればよいのでしょうか。

答え
ご質問にありますように同時期に同一又は明確な区別性のない品種の育成が進んでいたような場合には、先願の品種が品種登録を受けることができます(先願主義)。 すでに同じものが出願されているかどうかを知るためには、「農林水産省品種登録ホームページ」の検索システムである「品種登録データ検索」(下記のURLを参照)等を利用してで出願公表された品種及び品種登録された品種を検索することができます。しかしながら、このホームページに掲載されている個々の品種特性情報は情報量に限りがあるため、さらに詳しくお知りになりたければ、出願公表中の品種であれば願書の閲覧・謄写が、登録品種であれば品種登録簿(特性値が記載されています)の閲覧・謄写が可能です。その手続きについては同課のホームページにてご確認いただくか、知的財産課の窓口(同課の種苗室(登録チーム:03-3502-8111(農林水産省大代表)))にお問合わせ下さい。
[参考]
農林水産省品種登録ホームページ
品種登録データ検索


問16
大豆の在来種について品種登録したいという要望があります。品種登録することが可能か教えて下さい。

答え
大豆の在来品種を品種登録したいとのことですが、在来品種は公知の品種であり、昔から流通しているものですので、品種登録の要件のうち未譲渡性に抵触し、品種登録はできません。
なお、当該在来品種を育種材料に用いて交配等を行い、在来品種と特性において明確に区別できる品種(系統)を育成すれば、それを品種登録出願することは可能です。また、品種登録の要件に「未譲渡性」がありますので、出願日より1年をさかのぼった日前に当該品種の種苗及び収穫物を日本国内で譲渡していないことが必要です。


問17
未譲渡性の要件の例外とされている「試験若しくは研究のための譲渡」に「新品種の育成のための譲渡」は含まれるでしょうか。

答え
ご質問の趣旨は、未譲渡性の要件の例外を定めた種苗法第4条第2項ただし書には「試験若しくは研究」とあるのに対して、育成者権の効力が及ばない範囲を定めた種苗法第21条第1項第1号には「新品種の育成その他の試験又は研究」と書かれているため、「新品種の育成」が「試験若しくは研究」に含まれるか否かをおたずねになったものと思います。
お答えとしては、以下の3点の理由から、種苗法第21条第1項第1号の「新品種の育成」は、「試験又は研究」に包含され、種苗法第4条第2項ただし書の「試験若しくは研究」についても、「新品種の育成」が含まれると解釈できます。

1.法律の条文の用字用語のルール上、「その他」という文言と、「その他の」という文言は使い分けられています。「その他」は、「その他」の前にある字句と後ろにある字句とが並列の関係にある場合に用いられます。他方、「その他の」は、「その他の」の前にある字句が、後にある字句の例示として、その一部を成している場合に用いられます。このルールからすると、種苗法第21条第1項第1号は、「その他の」と規定されていることから、前にある字句である「新品種の育成」は、後ろにある字句である「試験又は研究」の例示として、その一部を成している(「新品種の育成」は「試験又は研究」に包含される)ものということができます。

2.また、最新逐条解説種苗法101頁には、「試験研究目的の具体例としては、1新品種の育成のための交配に用いるために登録品種の種苗を増殖すること、・・・などが挙げられる」と記載されており、同書も「新品種の育成」は「試験又は研究」の例示と解しているものと考えられます。他方、「新品種の育成」を「試験又は研究」の例示と解することによる不都合はないと思われます。

3.種苗法第4条第2項ただし書は、ある出願品種が日本国内において1年(外国においては4年又は6年)より前に譲渡されたとしても、試験研究目的で譲渡された場合は、流通を目的としたものではなく流通範囲が限定されていること、円滑な品種の育成等を図る要請があることから、例外的に許容されることとしたものです(「最新逐条解説種苗法」35頁)。このような同条の趣旨は、新品種育成のための試験研究の場合でも該当すると思われます。これに加え、同条ただし書きの「試験若しくは研究」に新品種の育成の場合を除く旨の規定もなく、新品種の育成の場合を除かなければ不都合を生じるとも思われないことからすると、新品種の育成のための試験研究を、同条項の「試験若しくは研究」から除外して考える理由はないように思われます。


登録品種の育種への利用について

問18
新しい品種を育成する場合、登録品種を片親として利用することは可能と思いますが、親としての利用が許されない場合というのはあるのでしょうか。

答え
種苗法では登録品種を育種素材として利用する場合には育成者権者の許諾が不要であると規定しており(種苗法第21条第1項第1号)、利用が許されない場合はないとされています。
ただし、変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成した場合(従属品種)やその品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる場合(交雑品種)には、当該登録品種の育成者権の効力がそれらの品種にまで及ぶとされています(種苗法第20条第2項)。


農業者の自家増殖

問19
観植物の鉢物について、農家が登録品種100鉢の苗を買い、それを1000鉢に増殖して販売することはできますか。

答え
農業者の自家増殖は、種苗法第21条第2項で、「農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第2項各号に掲げる品種(以下[登録品種等]と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営においてさらに種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、そのさらに用いた種苗及びこれを用いて得た収穫物には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。」と規定されています。したがって、購入した苗から挿し穂(挿し穂を収穫物とみなす)を採り、挿し木により増殖した植物を収穫物として販売することは可能です。また、増殖できる数量にも特に制限はありませんし、増殖を繰り返し行うこともできます。ただし、注意点が3つあります。
1つ目は、最初に入手する種苗については、育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された正規のものでなければなりません。ホームセンター等で売られているものは種苗ではなく収穫物として販売されていることが多いので注意が必要です。
2つ目は、自家増殖が認められない種類があることです。種苗法施行規則第16条で自家増殖が認められない種類が指定されています(現在82種類)。バラやカーネーションは自家増殖が認められません。
3つ目は、種苗の入手に際する契約において自家増殖禁止の合意をしているかどうかです。契約中に自家増殖禁止の条項があれば、自家増殖は契約違反になりますし、育成者権侵害にもなります。


問20
種子繁殖性の観賞植物について、農家が登録品種の種子を買い、それを基に自家採種によって得た種子から育てた植物を販売することはできますか。

答え
種子繁殖性の観賞植物の品種を自家採種によって増殖する行為も農業者の自家増殖の範囲内であると解釈されています。この場合の注意点も問19と同じです。


問21
農家が登録品種の苗を買い、それを業者に委託して増殖することを考えています。生産された種苗はすべて引き取り、外部へ流出することはありません。この場合、農業者の自家増殖の範疇といえるのでしょうか。

答え
業者に委託して種苗を増殖する行為は農業者の自家増殖とは認められません。農業者の自家増殖は、種苗を用いて得た収穫物を自己の農業経営において種苗として利用することであり、外部の業者に種苗の増殖を委託することはできません。


問22
種苗法において自家増殖が制限されている栄養繁殖植物に属さない登録品種の種苗を以下のように用いた場合には育成者権の侵害になりますか。

1.農家が隣の家から種を分けてもらい栽培し,直売所で販売している場合

答え
隣の家から分けてもらった種子が、隣の家が正規に入手(育成者権者等の権利者若しくは権利者の許諾を得た種苗会社又は卸・小売業者等適正な流通経路から入手)したそのものの種子である場合は、権利が消尽した種子であるので、権利侵害にはなりません。
しかしながら、その種子が隣の家で増殖した種子であった場合は、その種子は権利が消尽しておらず、その種子を利用する行為は権利侵害となります。なお、隣の家の行為(種苗を増殖して第三者に譲渡)ついても権利侵害となります。 

2.農家が食用として販売されている豆を自分の畑にまき,収穫物を得て販売している場合

答え
食用として販売されている豆を種子に転用し、収穫物を得て販売することは、法律上認められた自家増殖ではなく、許諾を受けずに種苗を利用したこととなり、権利侵害に当たります。 

3.生産組合や集落営農組織が種子を購入し,それを増殖して組合員に配布する場合

答え
生産組合等が農業生産法人(農地法第2条第3項に規定する農業生産法人)である場合は、自家増殖となり権利侵害にはなりませんが、農業生産法人でない場合、正規に種子を入手したとしても、当該種子を増殖・配布する行為については権利侵害となります。


問23
海外では自家増殖に対してもロイヤリティが発生すると聞きましたが、日本においては、自家増殖については利用権が発生しないと考えてよいのでしょうか。

答え
いわゆる自家増殖については各国の法律での取扱いに違いがあります。我が国の種苗法では、農業者個人又は農業生産法人が最初に育成者権者より譲渡された種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は及ばないこととなっています。ただし、省令で定めた種類(現在82種類)の栄養繁殖植物や契約で別段の定めをした場合には、こうした自家増殖にも育成者権の効力が及びますので注意して下さい。


問24
農業者の自家増殖によって造成した登録品種の果樹園の貸渡し、譲渡及び相続について教えてください。

1.当該果樹園を貸し渡すことはできますか。

答え
果樹の成木は収穫物に該当すると考えられますので(最新逐条解説種苗法107頁)、農業者の自家増殖によって作られた果樹の成木を貸し渡す行為については、種苗法第21条第2項「・・・育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。・・・」によって、改めて育成者権者の許諾を得る必要はなく、当該果樹園は適法に貸し渡すことができます。

2.当該果樹園を借り受けた者が収穫した果実を販売することはできますか。

答え
農業者の自家増殖は、種苗から収穫物を得ることを反復継続して行っている農業者が、従前からの慣行として、収穫物の一部を自己の農業経営における次期作用の種苗として使用し、次期作においてこれを栽培して収穫物を得ていたことから、例外的に育成者権の効力を及ぼさないとしているものです。このことは、収穫物を種苗として用いる行為のみならず、その種苗を用いて収穫物を得る行為についても、自己の農業経営において行われることが想定されていると考えられます。
したがって、条文上は必ずしも明確ではありませんが、自己の農業経営ではないところで得られた収穫物については、育成者権が及ぶと解される可能性がありますので、当該果樹園の借受人が育成者権者に無断で果実を生産し、販売等を行うことは、育成者権の侵害になる可能性があると思われます。
もっとも、当該果樹園の借受人の農業経営が貸渡人の農業経営と同視できるような場合(農業により得られる経済的利益が基本的に貸渡人に帰属し、借受人は貸渡人の補助的な位置づけにすぎないような場合など)は、自己の農業経営において収穫物を得たと考えることができると思われます。

3.当該果樹園を譲渡することはできますか。

答え
1と同じ理由で当該果樹園は適法に譲渡することができます。 

4.農業者の自家増殖によって造成された登録品種の果樹園を譲り受けた者が収穫した果実を販売することはできますか。

答え
2と同じ理由で、当該果樹園を譲り受けた者が育成者権者に無断で果実を生産し、販売等を行うことは育成者権の侵害になる可能性があると思われます。
ただし、農業経営を包括的に譲渡した場合(農場全体を売却したような場合)、これを譲り受けた者の農業経営が、譲渡人の「自己の農業経営」に該当し、継続して適法に果実を生産し販売することが可能と解釈される余地があります。
なお、いずれにせよ育成者権者の許諾を受けることが安全と思われます。 

5.当該果樹園を相続した者が収穫した果実を販売することはできますか。

答え
当該果樹園を相続した者が、そこから得られた収穫物を販売する行為は、民法第896条により、相続人は育成者権に関する一切の権利を承継しているので、改めて育成者権者の許諾を得なくとも適法に行えると考えられます。
しかし、相続人が「農業を営む者」でなかった場合は、改めて育成者権者の許諾を得る必要があります。
「農業を営む者」は、種苗法施行令第5条で、「農業を営む個人」又は農地法第2条第3項に規定する「農業生産法人」とされています。このうち「農業を営む個人」の定義は明確ではありませんが、反復継続の意思を持って農業を行う者であれば、「農業を営む個人」に該当すると解されますので、誰でもその意思をもって農業を行うのであれば「農業を営む個人」になり、実質的には問題はないと考えられます。

 

    
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品種保護対策に関して よく寄せられる質問2

よく寄せられる質問(農研機構・種苗管理センターHPからの抜粋)
侵権利消尽について

問25
県が育成した登録品種について、県が個々の農家と通常利用権の許諾契約を結び、登録品種の栽培は県内限定、種苗の自家増殖の禁止、種苗の他者への譲渡禁止の内容を契約に盛り込んでいました。 また、県は契約農家以外には登録品種の種苗を一切販売していませんでした。このとき、契約農家の1人が県から譲渡された種苗をそのまま他県の農家に譲渡した場合について質問します。

1.他県の農家が譲り受けた登録品種の種苗は、育成者権が消尽した種苗に該当するのでしょうか。

答え
育成者権者の行為等により登録品種等の種苗が譲渡されたときは、権利消尽により、当該種苗の利用には育成者権の効力が及ばないことになります(種苗法第21条第4項)。同項は、種苗等が育成者権者等によって譲渡された場合、その種苗等に係る育成者権は既に行使され、その目的を達したといえること、流通の過程においていちいち許諾が必要とすると円滑な流通が阻害されることから、権利が消尽する旨を規定しています(最新逐条解説種苗法110頁)。
それでは、育成者権者が譲渡禁止特約を付けて種苗を譲渡した場合であっても、同項に基づき権利は消尽すると解すべきでしょうか。これについては、法律で明示されておりませんし、逐条解説等の種苗法関連書籍にも該当部分はありません。
しかし、特許法においては、権利消尽についての明文の規定はありませんが、解釈によっては権利消尽が認められています。そして、特許法では、権利者の意思で権利消尽を否定することはできないと解されており、当事者間で譲渡禁止の契約をしたとしても、 権利消尽自体は生じると解されています。例えば、特許権者が特許製品を販売するに当たり、譲受人が第三者に譲渡することを禁止する契約を締結した場合に、譲受人が契約に違反して第三者に譲渡したときは、譲受人は債務不履行責任を負うが、第三者は権利消尽を主張できると解されています(中山信弘「特許法」372頁、中山信弘・小泉直樹編「新・注解特許法」上巻1026頁)。
種苗法に戻って、育成者権者は、譲渡禁止特約を付したとしても、譲渡により育成者権を行使して目的を達したということができると考えられます。したがって、種苗を譲渡した場合には、たとえ譲受人との間で譲渡禁止特約を締結したとしても、当該種苗については権利は消尽すると解すべきと思われます。 

2.登録品種の種苗を譲り受けた他県の農家は、当該登録品種を業として利用できるのでしょうか。

答え
前述の通り、上記他県の農家は当該種苗については権利が消尽していると主張できると考えられますので、その種苗を業として利用したとしても、育成者権侵害とはならないと思われます。
育成者権者である県としては、契約農家に対し、契約違反を理由とした責任を追及することになると思われます。

3.他県の農家が当該登録品種を業として利用したとき、県は他県の農家に対して当該登録品種の種苗及び収穫物の廃棄を請求できるのでしょうか。

答え
前述のように権利が消尽していると解した場合には、廃棄請求をすることはできないことになります。


先育成について

問26
「登録品種を育成した者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種を育成した」ことを証明する方法を教えて下さい。

答え
ある品種(A')の先育成を証明するためには、1登録品種(A)と先育成を主張する品種(A')が同一であること又は特性により明確に区別されないことを証明し、2品種(A')の育成の年月日が登録品種(A)の育成の年月日より先であったことを証明する必要があります。
1を証明するためにはAとA'を同一条件で栽培し、両品種の特性を調査し、その特性を比較する方法(比較栽培による品種類似性試験)があります。2を証明するためには、A'が育成された年月日を何らかの形で記録することになりますが、品種が育成された年月日を証明することは一般に難しいと思いますので、先育成の証明を考えるよりも可能であればA'を品種登録し権利を主張する方がより簡単で確実であると思います。


問27
証明する手段の一つとして、育成した新品種を種苗管理センターに「寄託」することによって育成時期を証明することが可能かどうか教えて下さい。

答え
育成した新品種を当センターに寄託されてもその育成時期を証明することはできませんが、寄託することにより、寄託開始通知書で当該品種が寄託開始日以前に存在していたことを証明することができます。
なお、寄託期間中(原則として1年更新で最長3年間)は、寄託物(植物体)の返却を請求することで当該寄託物に寄託証明書を付して比較試験等に利用することができます。


問28
「登録品種を育成した者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者は、その登録品種に係る育成者権について通常利用権を有する」の条文の解釈について、先育成者は品種登録していなくても、通常利用権があると解釈してよいのかどうか教えて下さい。

答え
ある登録品種(A)について、当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者(先育成者)にはAの通常利用権があり、先育成者は品種登録をする必要はないと解されています。なお、通常利用権を有するのは先育成をした人に限定され、その他の人は育成者権者の許諾を得て登録品種を利用することになります。


従属品種について

問29
登録品種を購入し、そこから生じた枝変わり品種は、従属品種と見なされるのでしょうか。品種登録はできますか。

答え
「従属品種」とは、変異体の選抜(枝変わり等)、戻し交雑、遺伝子組換え、細胞融合の方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種(親となる登録品種に主として由来し、そのわずかな特性を変更して育成された品種)をいいます。例えば、親品種の耐病性のみ高めた品種などが従属品種に該当すると考えられますが、従属品種に当たるか否かの判断については、一律の基準はなく、個々の品種ごとに判断されることになります。登録品種を利用して上記の方法で育成された全ての品種が登録品種の従属品種となるわけではありません。従属品種は、「特性により当該登録品種と明確に区別できる品種」ですので、品種登録は可能です。


問30
登録品種を利用して育成した従属品種には元となる親品種の権利が及びますか?また、その親品種の育成者権が及ぶ範囲はその従属品種の子や孫さらにそれ以降の何世代までなのでしょうか。それともその新形質に対してなのでしょうか。

答え
従属品種が品種登録された場合、元の登録品種の育成者権が存続する間は、従属品種を利用するには、従属品種の育成者権者の許諾に加え、元の登録品種の育成者権者の許諾も得る必要があります。
また、図に示された従属品種-1を利用して主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて従属品種-2が育成された場合、従属品種-1の権利者は、従属品種-2に対して権利を行使することはできませんが、原品種Aの権利者は、従属品種-2の利用に関して権利を行使することができます。同様にそれ以降の世代においても、原品種と従属関係にある場合には、原品種の権利者は原品種の権利期間内において従属品種の利用に関して権利を行使することができます。
なお、育成者権は形質にではなく品種に与えられるものです。新形質に育成者権の効力が及ぶということはありません。


問31
私は登録品種(以下「原品種」という。)の変異体を選抜し新品種Xを育成しました。私はXを利用したいと思い、原品種の育成者権者Aに相談したところ、Aは、Xが原品種の従属品種であることを認めましたが、Xの利用を認めず、原品種を利用するように主張しました。 Xが原品種の従属品種であることは私も認識しており、このことを争う意思はありません。このため、Xを利用するにはAの許諾が必要ですが、Aは許諾しないといっています。私は、Xの方が品質が良いので何とかして利用したいと思っています。どうしたらXを利用することができますか。

答え
登録品種の従属品種を利用する者は、登録品種(原品種)の育成者権者から利用の許諾を得る必要があります(種苗法第20条第2項第1号)。原品種の育成者権者から従属品種の利用の許諾を得られなかった場合には、種苗法第28条に規定する裁定という制度を利用することが考えられます。
本件において、裁定が行われるためには、次の要件を満たす必要があります。

1.Xについて品種登録を受けること
2.Xについて当該品種登録から2年間利用できなかったこと
3.原品種の育成者権者であるAに対してXの利用許諾の協議を行い、それが不成立となったこと

これらの要件を満たした場合には、種苗法第28条第2項の規定に基づき農林水産大臣に裁定を申請することができます。それが認められますとXの通常利用権の設定を受けることでXの利用が可能になるものと考えられます。
なお、Xについて品種登録せずに品種登録を受けている原品種の利用について裁定を申請することも考えられますが、この場合は原品種が流通していれば、「登録品種等の利用が継続して2年以上日本国内において適当にされていないとき」の要件を満たさないことになり、裁定による通常利用権は認められません。


育成者権について

問32
イチゴの登録品種の果実から種子を採種し、その種子を利用した実生苗に採種元の登録品種名をつけて販売する行為は種苗法違反となりますか。

答え
イチゴのような栄養繁殖性植物の場合であっても、その果実から採種した種子を用いて栽培した際に、その植物体が当該登録品種の特性と明確に区別できない場合には育成者権を侵害していると考えられます。
また、特性が明確に区別された場合には育成者権侵害とはなりませんが、当該実生苗に登録品種名を付して販売している場合には、種苗法第22条2項(名称を使用する義務等)違反に該当することになります。なお、同条文に違反した者は、10万円以下の過料となります(種苗法第75条)。

[参考]
 種苗法
(名称を使用する義務等)
第22条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第48条第2項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。


問33
果樹の苗木生産において、登録品種の果実から採取した種子の実生苗を台木として利用する場合には育成者権の侵害となりますか。

答え
栄養繁殖性植物の登録品種の果実から得られた種子由来の個体は、他家受粉等により遺伝的形質が分離することが考えられ、親品種と異なる形質を持つ様々な個体が出現することが予想されます。そのような個体の利用には育成者権の効力は及ばないと思われます。
ただし、種苗法第20条第1項では「登録品種と特性により明確に区別されない品種」にも育成者権の効力が及ぶとされています。そのため、実生個体のうち親品種と明確に区別できない個体を利用する場合には、権利者の許諾を得る必要があります。
登録品種の実生苗の利用にはこのようなリスクがあるので、登録品種の実生を使わなければならない特別の理由がなければ、登録されていない品種の実生を台木に利用することが最良であると思われます。


問34
登録品種の胡蝶蘭を登録者からラン展で購入しました。ファレノプシスは農家の自家増殖にあたり権利者の許諾を必要とする栄養繁殖植物のリストに入ってないので、メリクロン増殖を行う場合には自家増殖として育成者権を侵害しないのではないでしょうか。

答え
いわゆる農業者の自家増殖にあたり権利者の許諾を必要とする栄養繁殖植物のリストに入っていない植物については、原則として育成者権の効力が及びませんが、メリクロン増殖のように、通常の農家等における栽培過程を離れ、専用施設等において別途の作業過程を経て増殖する場合は、自家増殖に該当しません。そのため、権利侵害に該当します。


問35
育成者権者に無断で増殖した登録品種の種苗をネットオークションで販売することは法律違反だと思いますが、以下の場合にはどのように解釈できますか。

1.オークションの参加者が許諾のことは知らずに登録品種の種苗を購入することも法律違反となるでしょうか。

答え
育成者権者は品種登録を受けている品種を業として利用する権利を専有していますが、種苗の場合、「利用」とは、種苗の生産、調整、譲渡の申出、譲渡、輸出、輸入、これらの行為をする目的の保管を指します。種苗を譲り受けることは利用に当たりませんので、インターネットオークションにおいて、一般の方が利用に許諾が必要であることを知らずに登録品種の種苗を購入する行為は種苗法違反には当たらないと考えられます。ただし、購入後に、当該種苗を育成者権者に無断で業として利用する行為は、育成者権侵害(種苗法違反)に当たる可能性があります(この場合の「業として」とは、問12にあるように個人的な利用又は家庭的な利用とはいえない場合をいいます(営利目的の有無を問わず、反復継続するものである必要もありません。))。 

2.上記の種苗を用いて、自宅で種苗を増殖して趣味で園芸を行っている場合、育成者権の侵害に当たるのでしょうか

答え
個人の趣味による栽培であれば、業としての利用には該当しないと解されますが、栽培した品種を他人に渡した場合などは、育成者権の侵害に当たる可能性があります。

[参考]
種苗法
(定義等)
第2条(中略)
5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
〜以下略〜


問36
知らないうちに育成者権の侵害品を取り扱ってしまった場合、取り扱った流通業者は罪を問われるのでしょうか。また、侵害品と知らずに購入した者についてはどうなるのでしょうか。

答え
育成者権の侵害は、種苗法第35条に過失の推定の規定があり、これによって育成者権を侵害した者は、その行為について過失があったものと推定されますので、知らないうちに侵害品を取り扱ってしまった場合においても、過失がなかったことを立証しない限り、その過失責任を問われます。なお、罰則は故意の場合に限り適用されます。
一般に種苗を扱う流通業者の方は種苗に関する専門知識を有しておられますので、取り扱い品種が侵害品でないことを確かめることができると考えられますし、そうした注意義務があるということです。
次に、侵害品とは知らずに購入する行為は育成者権の侵害にはなりません。しかし、購入後の利用行為については侵害の対象となります。
なお、種苗法第2条第5項に育成者権の効力が及ぶ品種の利用についての規定があり、登録品種の種苗、収穫物等について、どういう行為に育成者権の効力が及ぶかが明確に決められています。

(参考1) 種苗法
(定義等)
第2条 〜中略〜
5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
三 その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前二号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)

(過失の推定)
第35条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。

(参考2)
1 育成者権の侵害
育成者権者は、登録品種(これと特性により明確に区別されない品種を含む。以下同じ。)を業として利用する権利を専有します(種苗法第20条第1項)。
したがって、育成者権者の許諾なく、登録品種を業として利用する行為が、育成者権を侵害する行為となります。
2 故意・過失の有無とその効果の差異
(1)育成者権の侵害行為が行われた(又はそのおそれがある)場合、育成者権者は、侵害者の故意・過失を問わず(=無過失であっても)、侵害者に対して、侵害の停止又は予防を請求することができます(種苗法第33条第1項)。
(2)侵害者に故意・過失がある場合、育成者権者は、侵害者に対して、損害賠償を請求することができます(民法第709条)。この場合、原則に従えば、育成者権者が、「侵害者に故意又は過失があること」を立証しなければなりませんが、種苗法第35条は、侵害者の過失を推定しています。
したがって、侵害者は、自身の無過失を立証しない限り、損害賠償責任を免れることはできません。
(3)さらに、侵害者に過失に止まらず故意がある場合は、刑事責任を問われます(個人について種苗法第67条、法人について同法第73条)。種苗法上、故意についての推定規定は存在しないので、原則どおり、侵害について故意があったことを立証する必要があります。


問37
登録品種の収穫物を海外に輸出する場合、どのような点に注意しなければならないでしょうか。

答え
当該収穫物が種苗に転用できないものであれば外国に輸出する際に育成者権者の許諾を受ける必要はありません。しかし、種苗に転用される可能性がある植物体(収穫物)を、当該登録品種について品種の育成に関する保護を認めていない国に輸出する場合は、種苗法第21条第4項ただし書きに当たり、育成者権者の許諾を受けなければならない可能性があります。
例えば八百屋、スーパー等の店頭において販売され、食用に供されるばれいしょ、あずき、かんしょ等を、保護制度が認められていない外国に、食用以外の目的で輸出しようとした場合は、種苗法第21条第4項ただし書きに当たり、育成者権者の許諾を受ける必要があります。
また、保護制度が認められている国への食用以外(種苗として用いる)の目的での輸出は規制されていませんが、輸出先国において当該種苗が無断で増殖され、その増殖された種苗を用いて得られた収穫物を無断で日本に逆輸入する行為については、育成者権の侵害になると解すべきと考えられます(最新逐条解説種苗法113頁参照。)。したがって、このような輸出行為を行うに際しては、輸出後の取扱いについても注意が必要となります。なお、種苗法第22条第1項における登録品種名称の表示義務は、種苗についてだけですので、収穫物、加工品についての表示義務はありません。

[参考]
種苗法
(育成者権の効力が及ばない範囲)
第21条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
〜中略〜
4 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は第一項各号に掲げる行為により登録品種等の種苗、収穫物又は加工品が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない。ただし、当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。
(名称を使用する義務等)
第22条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第48条第二項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 〜以下略〜


問38
登録品種の稲の種籾を海外に輸出する際の種苗法上の注意点を教えて下さい。

答え
稲の種籾(種苗)を輸出する場合、その品種が登録品種であるか否かについては、「農林水産省品種登録ホームページ」の検索システムである「品種登録データ検索」(下記のURLを参照)等を利用して確認することができます。
農林水産省品種登録ホームページ
品種登録データ検索
その品種が登録品種である場合、適法に購入した種苗自体を輸出することは原則として適法です。ただし、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国(植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)に沿った品種保護制度がない国や、品種保護制度があってもその品種が属する植物種類(本件では稲)について品種保護を行っていない国)に輸出する場合は、育成者権者の承諾を得なければ、種苗法に違反することとなります。
また、種苗自体を適法に購入した場合であっても、これを増殖したものを輸出するときは、同様に育成者権者の承諾を得る必要があります。したがって、増殖したものを承諾を得ずに輸出した場合には、やはり種苗法に違反することとなります(以上について、種苗法第21条第4項を参照。)。
いずれにしても、トラブルを未然に防止するという観点からは、輸出の際は育成者権者の承諾を得ることが望ましいと考えられます。


問39
農家がホームセンターでラベルや表示がない花の苗を購入し、これを増殖した苗を販売したところ、当該花の品種の育成者権者から侵害行為であるとの警告を受けました。自分が購入した花の苗には、何も表示されていなかったので、登録品種とは思わず増殖・販売したのですが、それでも育成者権を侵害することとなるのでしょうか。

答え
育成者権を侵害することとなります(なお、登録品種の種苗に当該登録品種の名称を使用せずに販売した者は、種苗法第22条第1項に違反し、同法第75条により10万円以下の過料に処せられます。)。
種苗法第20条第1項には、「育成者権者は、品種登録を受けている品種...及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。...」と規定されています。したがって、育成者権者以外の第三者が上記の登録品種等を業として利用(増殖・販売等)した場合、「登録品種であることを知らなかったとしても」、育成者権を侵害することとなります。 この場合、育成者権者は、知らなかったことについての過失の有無を問わず、当該登録品種の種苗の廃棄等を請求することができ(種苗法第33条)、知らなかったことに過失があるときは、民法709条に基づき、損害の賠償を請求することができます。
この点に関し、民法709条には、「(故意又は)過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されていますが、この損害賠償請求の要件の一つである「過失」の立証責任は、種苗法第35条によって、育成者権を侵害した者に転換されています(育成者権を侵害した者が、自身に過失がなかったことを立証できなければ、損害賠償責任を負うこととなります。)。
これは、業として種苗等を販売する者は、取り扱う種苗等に育成者権が及ぶか否かについて専門的知識を有している場合が多く、種苗等を利用するに際しては育成者権の効力が及ぶか否かを調査・確認することが期待しても酷ではなく、むしろ権利者の保護を徹底すべき(最新逐条解説種苗法150頁参照)という観点から設けられた規定です。このため、業として種苗等を販売する者は、種苗を購入する際には、登録品種であるか否かについて、細心の注意を払うことが要求されることになります。
なお、このような育成者権の侵害を未然に防止するため、種苗法第55条及び同法施行規則第21条の2に規定されているとおり、登録品種の種苗を業として譲渡する者が、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装に、「登録品種」又は「品種登録第○○○○○号」と、当該種苗が品種登録されている旨の表示を付するよう努めることが望ましいと考えられます。


問40
育成者権を有する品種が権利者の知らない間に海外へ持ち出され、増殖されている場合には、育成者権者としてどのような対応が可能ですか。

答え
海外に持ち出された品種が増殖されている国で育成者権を有していれば、その国の品種保護に関する法律に基づいて、差し止め、損害賠償等を行うことが可能ですが、その国で育成者権を有していない場合は、対応することは困難です。
しかしながら、その国から登録品種の種苗、収穫物、加工品が日本に輸入される可能性がある場合には、関税法による輸入差止申立を行うことが可能です。その申立てが認められるには、以下のようないくつかの要件が必要です。

1.侵害の事実があること。
2.侵害を受けていることを疎明できること(DNA鑑定書等)。
3.税関の係官が外観から侵害疑義品であることを識別できること。

差止め申立て手続きの詳細については、税関のホームページを参照して下さい。 なお、過去に関税法に基づいた輸入差止めの申立てがあった事例としては、いぐさ「ひのみどり」とおうとう「紅秀峰」があります。 日本国内において育成者権を有していれば、海外で不法に増殖して日本に輸入された登録品種の種苗等を差し止めることは可能です。侵害品を証拠として入手する場合には、品種保護Gメンが協力することができます。

[参考]
関税法
(輸入してはならない貨物)
第69条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一 〜 八 略
九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
十 略
〜 中略 〜
(輸入してはならない貨物に係る申立て手続等)
第69条の十三 特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者は、自己の特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権若しくは育成者権又は営業上の利益を侵害すると認める貨物に関し、政令で定めるところにより、いずれかの税関長に対し、その侵害の事実を疎明するために必要な証拠を提出し、当該貨物がこの章に定めるところに従い輸入されようとする場合は当該貨物について当該税関長(以下この条及び次条において「申立先税関長」という。)又は他の税関長が認定手続を執るべきことを申し立てることができる。
〜 以下略 〜


問41
登録品種の種苗(種苗は正規品で問題はなく、自家増殖禁止の契約もない)を購入した農家Aが、種苗を自家増殖して収穫物の生産・販売をする傍ら、余った種苗を販売していました。

1.種苗法第33条第1項に基づくAに対する侵害行為の差し止め請求により、侵害を予防するため種苗の販売のみならず、収穫物の生産行為を差し止めできるでしょうか。

答え
種苗法第33条第1項に基づき差し止めできる行為はAの種苗の販売行為だけです。Aの収穫物の生産行為を差し止めることはできません。

2.種苗法第33条第1項に基づき、Aに対して侵害行為の差し止め請求を行った場合、その時点ですでに収穫していた収穫物の販売についても差し止めはできるでしょうか。

答え
Aの収穫物の生産行為は侵害行為ではありません。したがってAが既に収穫していた収穫物の販売を差し止めることはできません。

3.種苗法第33条第2項に基づくAに対する侵害の行為を組成した種苗の廃棄の請求により、Aが所有する登録品種の種苗(収穫物生産用の定植株を含む)の全てを廃棄させることができるでしょうか。

答え
種苗法第33条第2項に基づき、販売を目的にしてAが生産した種苗は廃棄請求できますが、その他の種苗については廃棄請求できません。

4.種苗法第33条第2項に基づき、を組成した種苗の廃棄の請求を行った時、その時点でAがすでに収穫していた収穫物生産用の収穫物を廃棄させることはできるでしょうか。

答え
種苗法第33条第2項に基づき廃棄請求できるのは販売を目的にしてAが生産した種苗だけであり、Aが収穫していた収穫物を廃棄請求させることはできません。


品種登録表示について

問42
種苗法第55条で、「登録品種の種苗を業として譲渡する者は、農林水産省令で定めるところにより、その譲渡する登録品種の種苗又は種苗の包装にその種苗が登録品種に係る旨の表示(以下「品種登録表示」という。)を付するように努めなければならない」とあります。 これは罰則のない努力義務であると聞いていますが、努力義務とはどういうことかよくわかりません。仮に品種登録表示をしなかった場合に権利者が不利益を被ることがあるのでしょうか。

答え
登録品種の種苗を譲渡する者は、農林水産省令(種苗法施行規則第21条の2)で定めるところにより、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録に係る旨の表示(「品種登録表示」)を付する義務を負いますが(種苗法第55条)、当該義務はいわゆる努力義務であり、当該義務に違反したことを理由として罰則などの制裁を受けることはありません。
しかし、同条の規定する品種登録表示は、これにより当該種苗が登録品種であるか否かを第三者が容易に識別できるようにして、第三者が登録品種と知らずに当該品種を利用し、育成者権が侵害されることを防ぐためのものであり(最新逐条解説種苗法196頁)、登録品種の種苗を譲渡する育成者権者が品種登録表示を怠った結果、第三者が当該品種を登録品種と知らずに利用し、育成者権を侵害されるという不利益を被る可能性が高まるといえます。また、育成者権者が、登録品種を無断で利用する第三者に対し、育成者権侵害を理由として、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起したとしても、品種登録表示を怠ったことを理由の一つとして、第三者に育成者権侵害についての故意又は過失がないと裁判所に判断される可能性があります。さらに、第三者に過失があると判断されたとしても、品種登録表示を怠ったことは育成者権者の落ち度であるとして、過失相殺(民法第722条第2項)されて損害賠償額が減額される可能性もあります。
以上のとおり、種苗法第55条の品種登録表示を怠ったとしても、それを理由として制裁を受けることはありませんが、上記のような不利益を被る可能性はあるといえます。

 

    
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