侵害情報の収集:ビデオやICレコーダーの証拠能力
民事裁判においては、当事者が自白した事実及び顕著な事実以外の事項については、証拠により証明しなければならず(民訴法179条)、的確に証拠を提出できるかどうかによって訴訟の勝敗が決せられると言っても過言ではありません。そこで、ビデオが、訴訟においてどのように扱われるのかという点が争点になります。
民事訴訟法における立法例として、証拠として提出すべきものには一定の制限が課す考え方(法定証拠主義)もありますが、日本の民事訴訟では、「自由心証主義」(民事訴訟法247条)が採用されています。原則として何を証拠として提出することもできます。(証拠方法の無制限)
民事訴訟法第247条では、①証拠方法の無制限と②証明力の自由評価とを内容としています。
相手方に無断で撮影した映像や、録音したテープなどは法的に証拠とはならない、という声をよく聞きますが、これらに証拠能力があるというのは、①証拠方法の無制限の適用であり、最高裁の判例は、自由心証主義に照らして当然のことを言っているのです。
その上で、提出された証拠に証拠価値を認めるかどうか、証明力をどう評価するかについては、すべて裁判官の自由な判断に委ねるとされています。ですので、ビデオであっても、証拠能力は認められ、裁判所に証拠として提出することができることになります。
ビデオや録音も証拠となりますが、録音した会話全体の音声データを提出した上で、全部を書き起こした「反訳書」を書面として裁判所に提出する方法が一般的に取られます。育成者権の侵害の相談する場合には、あらかじめ重要な部分は書き起こした書面を作成しておくと話がスムーズに進められます。
無断で撮影する隠し撮りや録音は、相手方の人格権を侵害する恐れがあるので、いわゆる違法収集証拠と呼ばれる場合もあります。ただ、この違法収集証拠の証拠能力については、民事では一般的に認められているケースが多いようです。
いじめやDVなどで悩まされている方が、その証拠となるように相手に無断で録画・録音を行ったものにおいては法的に十分証拠となりえます。相手の家に不法に侵入して盗聴器を設置して録音した場合など、犯罪行為を伴って採取された証拠については、証拠能力が認められないことは多いにありえます。要するに、反社会的な方法で著しく人権を侵害するかたちで取得した証拠については証拠能力は否定されることもありえる、ということなのです。
民事なら、基本証拠に制限なしとされていますが、悪質な方法で撮影録音されたものであれば採用されないこともあります。悪質性については、盗撮であっても、公道など他者に見られる場所での姿を撮る程度であれば排除されることはないでしょう。他者に見られることを想定しないプライベートな空間での盗撮ならば、排除される可能性があります。
ビデオ撮影の際の注意事項
撮影したビデオが、主張するとおりの日時に撮られたものかを立証するためには、ビデオの撮影日時を残すと共に、撮影当日の新聞等を撮影しておきましょう。また、撮影は途中で中断することなく、最後まで通して撮影しておきましょう。撮影日時が不明だとか、都合の良い部分だけを撮影している等の反論を防ぐ為にも重要となります。育成者権の侵害の場合には、植物を外部で生産している事が多いので、録音の際に風の音などの影響を受けます。その為に、1つの機器に頼らず、ビデオとICレコーダー等を併用し、会話の不明瞭な部分を補う事も考えたほうが良い場合が有ります。
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どういう機種が撮影にむいているのでしょうか?
SONYのハンディカムシリーズには、オプション品としてワイヤレスマイクホンがあります。このワイヤレスマイクは、無線(Bluetooth)により、マイクとレシーバーの間(最大100m)で会話をしながらの撮影や、撮影の指示の伝達などが行えます。公道に撮影者がいて、圃場の様子撮影するような場合に活躍します。