刑事裁判の流れ(公判の流れ)
「公判」とは、「刑事訴訟」(刑事裁判)において、裁判所、検察官、被告人(弁護人)が訴訟行為を行うために法廷で行われる手続をいいます。裁判(公判)でどのようなことを行うのかフローに沿って見て行きたいと思います。
平成26年度司法統計によれば,平成26年における「裁判を受けた人が有罪になる割合」は97%。「実体判決を受けた人が有罪になる割合」は99%程度となります。日本の刑事事件では、通常、捜査段階において慎重な捜査が行われ、決定的証拠の有無、被告人の証言の信用性、被告人の自白の信用性などを慎重に吟味した結果、裁判をするかどうかを判断しています。そして、検察において確実に有罪にできるとの結論とならない限り起訴されません。つまり、刑事裁判は慎重な操作により、プロの捜査官から見て有罪であることが間違いないと判断された場合に実施される手続であり、それ故、有罪率が極めて高いのです。(出典:刑事事件弁護士ナビ)
①人定質問
裁判官が被告人に氏名、生年月日、本籍、住所を質問して、被告人が起訴された本人であるかどうかの確認をします。
②検察官の起訴状朗読
検察官が起訴状を朗読して、被告人が、いつ、どこで、どんな犯罪を行ったとして起訴されているかを確認します。
③黙秘権の告知
裁判官が被告人に黙秘権などの権利の説明をします。被告人は陳述を拒むことができることや、被告人が陳述したことは被告人に有利であると不利であることを問わず証拠となることなどを説明します。
④罪状認否
被告人・弁護人に対して、起訴状に書かれた事実に間違いがないか(被告人が実際に起訴状に書かれている犯罪をしたかどうか)意見を求めます。
⑤検察官の冒頭陳述
検察官が、今から証拠によって証明しようとする事実(検察官の視点から事件を見た検察側のストーリー)を明らかにして、起訴状よりも詳しく陳述します。被告人・弁護人も冒頭陳述を行ってよく、行う義務がある事件もあります。
⑥証拠調べ・証人尋問
証拠には、証拠物(犯行に使った凶器など)、証拠書類(供述調書や鑑定書など)、証人(被害者本人や目撃者や専門家など)の3種類があります。裁判所は、証拠調べ請求の相手側(検察官が請求した場合には被告人・弁護人、弁護人が請求した場合には検察官)の意見を聞いたうえで、証拠として取り調べるかを決定します。証拠として取り調べると決まったら、証拠調べを行います。証拠物を展示したり、証拠書類を朗読したり、証人を尋問したりします。刑事裁判は「証人尋問」を中心にして進められます。一般的な内容で無い場合には、その道の専門家や鑑定人による証人自問が続き、裁判が長くなる事があります。
⑦被告人質問
刑事裁判は「証人尋問」を中心にして進められますが、そんな証拠調べの最後になるのは、被告人本人に対して行う「被告人質問」です。「人定質問」や「罪状認否」では、裁判官の問いかけに被告人が答える機会がありました。しかしそれ以降の証拠調べでは、被告人は法廷にはいるものの、発言する機会は皆無です。そんな被告人に対して、事件に関する質問を直接し、被告人自身も法廷で発言できるのが「被告人質問」です。もっとも被告人質問も他の証人と同様、自由に話せるわけではなく、あくまで弁護人や検察官、あるいは裁判官の質問に対して答えるという形式で行われます。通常の証人尋問と被告人質問には大きな違いがあります。
それは、
◆被告人には黙秘権がある。
◆被告人は嘘をついても偽証罪には問われない。
という点です。
証人は、嘘をつくと最悪の場合「偽証罪」として、後日、証人本人が刑事処分を受けることになります。これは証人が質問を受ける前に「嘘偽りなく、真実を申し述べることを誓います」という「宣誓」をしているからです。
ところが被告人は、被告人質問を受ける前に宣誓をしません。これは被告人は法廷内で嘘をついても、偽証罪の対象にはならないということを意味します。もともと日本の刑事手続きは、“被告人(被疑者)は嘘をつく可能性がある”という前提で行われています。罪を少しでも軽くするために、被告人が嘘をつく事を“自己防衛権”のひとつと認めているのは、日本の司法の特徴だとも言えるでしょう。
また通常は「罪状認否」の前に裁判官から、「被告人には黙秘権があります。言いたくないことは言わなくても構いません」という“黙秘権の告知”があります。つまり法廷内でも被告人の黙秘権は有効だという事です。
とはいえ、黙秘権告知の後に裁判官は、「この法廷で被告人の話したことは、全て証拠となりますので注意してください」と言います。実際に裁判官は法廷内における被告人の言動をすべて審理の材料にします。嘘がバレれば、当然裁判官の心証は悪くなり、判決の内容に影響するわけです。
特に被告人質問は刑事裁判の山場です。
弁護側の証人尋問、被告人質問が終了すると、審理はほぼ終了です。
⑧検察官の論告・求刑
まず検察官が、証拠に基づいて検察側のストーリーを述べ、事実や法律の適用について意見を述べます。これを論告といいます。そして、「被告人には、懲役〇〇年を求刑します」として、どれくらいの刑に処するのかが相当か意見を述べます。これを求刑といいます。
⑨弁護人の最終弁論
検察官同様、弁護人も証拠に基づいて弁護人側のストーリーを述べ、事実や法律の適用について意見を述べます。有罪を争わない場合には、求刑が重すぎるとか、執行猶予にすべきであるとの意見を述べます。
⑩被告人最終陳述
審理の一番最後には、被告人が再び証言台に立ちます。裁判官から、「これで審理を終えますが、最後に何か言いたいことはありますか」と質問されます。被告人に、言い残したことや、一番伝えたいことを話す最後のチャンスを与えるためのものです。被告人の陳述が終わると、判決の言い渡し日時を裁判官が指定し、その日は終了します。
⑪判決言渡し
指定された判決公判で、裁判官から、判決の結論と理由が宣告され、第一審は終了となります。内容に応じ、控訴するかどうかを検討することになりますが、控訴をしないのであれば、そこで刑事裁判は終わりです。控訴する場合には、控訴の手続きを行い、高等裁判所で第二審が実施されることになります。
→常緑キリンソウに関する重要なお知らせ:種苗法TOPに戻る
→種苗法・品種育成者権とは→種苗法違反事件の事例・育成者権侵害の事例につて
→種苗法条例TOPへ→種苗法用語集TOPへ
→常緑キリンソウ(常緑キリン草・常緑麒麟草)の特徴TOPへ
→常緑キリンソウ袋方式・FTMバック・緑の夢袋プロジェクTOPへ
→常緑キリンソウ施工事例TOPへ
→屋上緑化・セダム緑化・壁面緑化・法面緑化の常緑キリンソウ.com TOPに戻る