控訴の流れ(刑事裁判)
控訴とは
控訴は第1審の判決に対する不服申し立てのことであり、上告とは第2審の判決に対する不服申し立てのことです。一般的な、刑事事件の裁判では簡易裁判所か地方裁判所で行われますので、控訴したときの第2審は高等裁判所で新たに裁判が開かれます。刑事事件の場合は、判決に対して、被告人・弁護士側と検察官側の両者が上訴権の放棄を申し出れば、14日の経過がなくてもその時点で判決が確定します。
控訴の方法
控訴の申立
控訴したいときは、その意思を示す「控訴申立書」を提出します。控訴申立書は、書類上は高等裁判所を宛先にした上で、1審の裁判所に提出します。控訴申立書には控訴の理由は書く必要がありません。とりあえず「控訴(または上告)します」という書類を提出するだけです。
これは、判決が言い渡された日の翌日から14日以内に申立てしなければいけません。
控訴趣意書の提出
「控訴申立書」はあくまでも控訴しますという意思を示しただけで、どのような理由で控訴をしたいのかは書いてありません。そこで、控訴申立書を提出すると、今度はどのような理由で控訴をするのかを説明した書面の提出を求められます。この書面を「控訴趣旨書(こうそしゅいしょ)」といいます。控訴を申立てから約2カ月後程度の日を「控訴趣意書」の提出日と指定されますので、その日までに提出しなければなりません。
控訴の要件(控訴理由)控訴は原判決の誤りに対する不服申立手続ですから,原判決に誤りがあること,すなわち控訴理由を主張しなければなりません。どんな場合にも控訴ができるわけではなく、法律で控訴できる場合が定められています。控訴については、刑事訴訟法377条から382条に規定する理由がなければなりません(刑事訴訟法384条)。控訴理由の主なものは、事実誤認、理由不備、量刑不当、訴訟手続の法令違反、法令適用の誤りなどです。
控訴棄却の決定もし判決から14日間を過ぎてしまってから控訴の申立てをしたときや、指定された日までに「控訴趣意書」を提出しなかった場合、その他控訴を申し立てる方法が明らかに間違っている場合などには、裁判が開かれないで「控訴を認めない」との判断(決定)がされ、第一審の裁判がそのまま確定してしまいます。これを「控訴棄却(こうそききゃく)の決定」といいます。
控訴審での裁判
控訴の申し立ての手続に問題がなかった場合には、高等裁判所で控訴審が開かれます。控訴審は、原則として第一審で判決が下されたプロセスに誤りがないかをチェックするもので、第一審のような裁判を一からやり直すというものではありません。刑事事件の控訴審では、新たに証拠を取り調べることは原則して行われず、1審で取り調べた証拠のみに基づき判断を行います(最判昭和46年3月24日)。これを事後審といい、新たな証拠を提出することができる続審制をとる民事訴訟とは異なります。取り調べ請求をしなかったことにやむを得ない事情がある場合しか、提出できないことになっています。事実誤認の主張の場合、新たな証拠を請求できて、裁判所にそれに意味があると説得できれば、その証拠の取り調べということになります。刑事裁判における控訴審は、第1ラウンド(第一審)に続く第2ラウンドをやるのではなく、第1ラウンドの判定が正しかったかどうかをリングの外で再検討するものです。民事裁判の控訴審が続審とされ、第2ラウンドに突入するのとは大きく異なります。このため、第一審の判決理由を根底から覆すような新証拠を提出できない場合、控訴審はたった1回であっと言う間に結審し、次回の判決公判で控訴はあっさり棄却されてしまいます。
裁判の開始
被告人の方に対する「人定質問」や、検察官による「起訴状朗読」などは行われません。まず、控訴を申し立てた側が、事前に提出している控訴趣意書の内容を法廷で述べます。相手方は、控訴趣意書で述べられた主張に対する意見を述べます。
事実の取調べ
裁判所は、控訴趣意書に書いてあることがらについて、証拠を調べなければなりません。これには、請求して調べてもらう場合と、裁判所が自分の判断で調べる場合があります(もっとも、請求する場合は、第一審で取り調べることができなかった理由が説明できなければなりません)。
被告の出席
控訴審では、第一審と違い、法廷に行かなくても裁判が開かれます。
控訴審での結果控訴審裁判所における審理の結果、控訴審判決は大きく控訴棄却判決と原判決破棄判決に分かれます。控訴棄却判決とは、第1審の判決がそのまま維持される判決です。破棄判決とは、第1審の判決が誤っていたとしてこれを破棄する判決です。破棄判決は、事件を1審裁判所に差し戻す破棄差戻し判決と、控訴審裁判所が自ら判決主文を言い渡す破棄自判判決に分かれます。被告人の方のみが控訴をした場合は、裁判所は被告人の方に対して、第一審よりも重い刑を与えたりしてはいけません。したがって、被告人の方が控訴したが、検察官の側から控訴がなかった場合、第一審の判決よりも重い判決が控訴審で言い渡されることはありません。逆に、検察官が控訴した場合には、第一審の判決が破棄されて、その後に第一審より重い判決が言い渡されてしまうおそれがあります。平成24年の司法統計(上訴審における訴訟事件の概況P.209)によれば、控訴棄却が 71.7%、破棄自判が 8.6%、控訴取下げが18.9%、破棄差戻・移送が0.2%、となっています。
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