常緑キリンソウ袋方式が「ガイアの夜明け」で取りあげられました!

9月1日(金)夜10時放送の「ガイアの夜明け」にて紹介されました!
常緑キリンソウ ガイアの夜明けで紹介
ガイアの夜明け取材風景
常緑キリンソウ ガイアの夜明けで紹介
常緑キリンソウ袋方式設置の様子

U-NEXTでも見逃し配信中

ガイアの夜明け 自然災害に立ち向かう! ~大地震・豪雨…命を守る最前線~

「常緑キリンソウ袋方式®で、川崎市はるひ野小中学校様の屋上緑化を補修施工しました!その様子が9/1(金)放送のテレビ東京系列「ガイアの夜明け」で取り上げられました!

雑草繁茂しない・流出しない・飛散しないの「3ない」で、メンテナンスフリーに近い「屋上緑化革命®」が紹介されました。

常緑キリンソウ袋方式 VS 従来型システム
雑草繁茂・流出・飛散実験を是非ご覧下さい。

常緑キリンソウ袋方式の特徴が良く分かります。

これまでのシステムと全く違う「屋上緑化革命」

その実力は、従来型システムと比べて一目瞭然! 是非、下記動画でお確かめ下さい。

常緑キリンソウ袋方式
マンガで分かる屋上緑化システム

常緑キリンソウ袋方式の特徴をマンガで分かりやすく解説。是非ご覧ください。

常緑キリンソウ袋方式:失敗しない屋上緑化システムの専用サイトが公開

常緑キリンソウ袋方式:失敗しない屋上緑化システム専用サイトが公開

失敗しない屋上緑化システム常緑キリンソウ袋方式
  1. 屋上緑化で失敗する原因
    (1)雑草問題
    (2)土壌の流出問題
    (3)薄層緑化で使用する植物選定のポイント
  2. 工法選定のポイント
  3. 失敗しない屋上緑化システムの特徴
  4. 常緑キリンソウ袋方式施工事例

下記サイトにてご紹介しております。

屋上緑化失敗の原因・屋上緑化の問題点

屋上緑化失敗の原因・屋上緑化の問題点

雑草に負けてしまいました

 

土壌が流出飛散しました
  1. 雑草問題
  2. 土壌の流出問題・土壌の飛散問題

YouTubeにて実験動画公開中!(画像クリック)

下記にて屋上緑化の失敗の原因・問題点をご紹介しております。

これまでの屋上緑化システムには雑草問題・土壌の流出飛散の問題がありました。
これらの問題を解決したのが、「常緑キリンソウ袋方式」です。

種苗法とは、植物の品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的に定められた法律です。いわゆる植物特許を保護する為の法律です。
守らないと下記罰則(種苗法の罰則規定)を科せられる場合があります。

【種苗法の罰則規定(育成者権侵害罪の罰則)】
個人の場合:10年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金又はこれらの併科
法人の場合:3億円以下の罰金

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PDF版をご覧になる場合には、以下のPDFアイコンをクリックして下さい。

種苗法解説概略PDF

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STOP THE 種苗法違反 その時あなたは?

過去の事例 「つや姫事件」

山形県産ブランド米「つや姫」の種もみを無断販売 → 種苗法違反で逮捕

●違法とは知らなかった●つや姫の種もみ5袋(2万9千円)を販売、販売期間3か月間

以下のPDFをご覧ください。

つや姫事件の新聞記事や、確認すべきことなどの重要事項についての説明が有ります。

画像クリックで拡大されます。

種苗法条文

 

1.第一章 総則(第一条〜第二条)  
1-1 総則(第一条〜第二条)
         目的:第一条
         定義等:第二条


2.第二章 品種登録制度(第三条〜第五十七条)                              
1-1 第一節 品種登録及び品種登録出願(第三条〜第五条)
       第三条:品種登録の要件
      第四条:品種登録の要件
      第五条:品種登録出願

1-2 第一節 品種登録及び品種登録出願(第六条〜第九条)
      第六条:出願料
      第七条:出願者の名義の変更
      第八条:職務育成品種
      第九条:先願

1-3 第一節 品種登録及び品種登録出願(第十条〜第十二条)
      第十条:外国人の権利の享有
      第十一条:優先権
      第十二条:品種登録出願の補正

2-1 第二節 出願公表(第十三条〜第十四条)
        第十三条:出願公表
        第十四条:出願公表の効果等

3-1 第三節 審査(第十五条〜第十八条)
        第十五条:出願品種の審査
        第十六条:名称の変更命令
        第十七条:品種登録出願の拒絶
        第十八条:品種登録

4-1 第四節 育成者権(第十九条〜第二十一条)
        第十九条:育成者権の発生及び存続期間
        第二十条:育成者権の効力
        第二十一条:育成者権の効力が及ばない範囲

4-2 第四節 育成者権(第二十二条〜第二十七条)
        第二十二条:名称を使用する義務等
        第二十三条:共有に係る育成者権
        第二十四条:法人が解散した場合等における育成者権の消滅
        第二十五条:専用利用権
        第二十六条:通常利用権
        第二十七条:先育成による通常利用権

4-3 第四節 育成者権(第二十八条〜第三十二条)
        第二十八条:裁定
        第二十九条:通常利用権の移転等
        第三十条:質権
        第三十一条:育成者権等の放棄
        第三十二条:登録の効果

5-1 第五節 権利侵害(第三十三条〜第三十七条)
        第三十三条:差止請求権
        第三十四条:損害の額の推定等
        第三十五条:過失の推定
        第三十六条:具体的態様の明示義務
        第三十七条:書類の提出等

5-2 第五節 権利侵害(第三十八条〜第四十一条)
        第三十八条:損害計算のための鑑定
        第三十九条:相当な損害額の認定
        第四十条:秘密保持命令
        第四十一条:秘密保持命令の取消し

5-3 第五節 権利侵害(第四十二条〜第四十四条)
        第四十二条:訴訟記録の閲覧等の請求の通知等
        第四十三条:当事者尋問等の公開停止
        第四十四条:信用回復の措置

6-1 第六節 品種登録の維持及び取消し(第四十五条〜第四十八条)
        第四十五条:登録料
        第四十六条:利害関係人による登録料の納付
        第四十七条:登録品種の調査
        第四十八条:登録品種の名称の変更

6-2 第六節 品種登録の維持及び取消し(第四十九条)
        第四十九条:品種登録の取消し

7-1 第七節 雑則(第五十条〜第五十三条)
        第五十条:在外者の裁判籍
        第五十一条:品種登録についての審査請求の特則
        第五十二条:品種登録簿への登録等
        第五十三条:証明等の請求

7-2 第七節 雑則(第五十四条〜第五十七条)
        第五十四条:手数料
        第五十五条:品種登録表示
        第五十六条:虚偽表示の禁止
        第五十七条:条約の効力


3.第三章 指定種苗(第五十八条〜第六十六条)    
1-1 指定種苗(第五十八条〜第六十一条)
      第五十八条:種苗業者の届出
      第五十九条:指定種苗についての表示
      第六十条:指定種苗についての命令
      第六十一条:指定種苗の生産等に関する基準

1-2 指定種苗(第六十二条〜第六十六条)
      第六十二条:指定種苗の集取
      第六十三条:研究機構等による指定種苗の集取
      第六十四条:研究機構等に対する命令
      第六十五条:報告の徴収等
      第六十六条:都道府県が処理する事務等


4.第四章 罰則(第六十七条〜第七十五条)  
1-1 罰則(第六十七条〜第七十五条)
      第六十七条:侵害の罪
      第六十八条:詐欺の行為の罪
      第六十九条:虚偽表示の罪
      第七十条:秘密保持命令違反の罪
      第七十一条:虚偽の表示をした指定種苗の販売等の罪
      第七十二条:虚偽届出等の罪
      第七十三条:両罰規定
      第七十四条:命令違反に対する過料
      第七十五条:名称使用義務等の違反に対する過料

種苗法関連リンク集

 

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品種保護対策に関して よく寄せられる質問1

 

よく寄せられる質問(農研機構・種苗管理センターHPからの抜粋)
侵害状況記録の作成について


問1
登録品種が無断で増殖され、販売されている情報をつかみました。店頭で販売している侵害品について侵害行為の証拠を作りたいのですが、どのように対応すればよいのでしょうか。

答え
店頭で販売されている侵害品を入手し侵害行為の証拠にするためには、入手の経路、日時、数量、金額等を客観的に証明する必要があります。さらに、入手した侵害疑義物品は利害関係者ではない第三者に預けるのが一番確実な方法です。
種苗管理センターでは品種保護Gメンを平成21年度からは全国7ヶ所(北海道、青森県、茨城県、長野県、岡山県、長崎県、沖縄県)に配置し、このような場合に依頼者とともに侵害行為の現場に行き、入手の経路、日時、数量、金額等を客観的に記録する侵害状況記録書を作成するサービスを行っています。また、入手した侵害疑義物品を預かる寄託も実施しています。さらに、入手した侵害疑義物品が切花の場合には挿木による種苗の生産も行っています。これらは有料サービスです。詳しくは品種保護対策課にお問合せ下さい。



問2
違法な栽培をしている農家についての情報が寄せられました。権利者が直接その農家へ確認に行くと拒絶されるおそれがあるので、品種保護Gメンに調査してもらえますか。

答え
品種保護Gメンには物品の押収や調査を強制する権限はありませんので、依頼により品種保護Gメンが単独で農家等侵害場所を調査することは行っていません。
 したがって、権利者は侵害疑義物品を商品として購入する等により入手したり、相手側が納得して同意した上で現場の調査や事情を聴取することになります。その際、品種保護Gメンは、権利者が侵害疑義物品を入手したり侵害状況を確認する現場に立会い、その状況を客観的に記録することによって侵害を証明する資料を作成することになります。



品種類似性試験について

問3
品種類似性試験(DNA分析を除く。)を依頼したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

答え
品種類似性試験依頼書及び試験に供する登録品種と比較品種の種苗等を提出してください。ただし、品種類似性試験を依頼するためには次のような条件があります。1.試験を依頼する理由が育成者権の侵害に係るものでなければなりません。2.試験の依頼者は育成者権者、専用利用権者若しくはその代理人又は育成者権侵害を訴えられた者若しくはその恐れがある者でなければなりません。試験は有料サービスです。詳しくは品種保護対策課にお問合せ下さい。


問4
品種類似性試験の特性比較と比較栽培とは何が違うのですか。

答え
特性比較は、依頼者が提出した品種と登録品種の植物体の特性を目視及び計測により比較調査しますので、簡易・迅速に類似性の程度について客観的資料を得ることができます。ただし、栽培条件の違いにより、特性の発現が異なる場合が多く、期待した結論が得られないことがあります。
比較栽培は、依頼者が提出した種苗を栽培試験と同一の方法で栽培し特性を比較調査しますので、信頼性の高い結論が得られます。ただし、侵害品からの植物体の再生が困難な場合があるほか、栽培適期が限られ、試験に長期間を要します。
両者はそれぞれ長所と短所がありますので、特性比較と比較栽培を組み合わせることでそれぞれの結果を有効に活用することができます。



問5
DNA分析による品種類似性試験を依頼したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

答え
種苗管理センターでDNA分析が実施可能な植物(品種)は、いちご、おうとう、白いんげんまめ、茶、日本なし、小豆、ひまわり、とうもろこし、カーネーション、りんご、パインアップル及びばれいしょの登録品種、いぐさの「ひのみどり」に限定されます。また、稲、白いんげんまめ、小豆、いぐさ等については他の検査機関等が実施しています。
当センターのDNA分析を希望される場合は、品種類似性試験依頼書及び試料(通常、いちご及びおうとうの果実は30個、白いんげん豆の子実は30粒、いぐさの茎は30本、苗は10株)を提出してください。提出された試料から無作為に抽出したサンプルを分析します。ただし、品種類似性試験を依頼するためには次のような条件があります。1.試験を依頼する理由が育成者権の侵害に係るものでなければなりません。2.試験の依頼者は育成者権者、専用利用権者又はその代理人若しくは育成者権侵害を訴えられた者又はその恐れがある者でなければなりません。試験は有料サービスです。詳しくは品種保護対策課にお問合せ下さい。



品種の利用について

問6
種苗法第2条第5項に「譲渡の申出」がありますが、育成者権者の許諾を得ない他人が、インターネットのサイトで登録品種の名称を表示し、種苗の譲渡の申出をした場合について質問します。

1.育成者権者の許諾を得ない他人が、インターネットのサイトに登録品種の名称を表示し、種苗の譲渡の申出をする行為は、それだけで育成者権の侵害になるのでしょうか。


答え
育成者権の侵害に該当することになると考えられます。

ア. 「譲渡の申出」(種苗法第2条第5項)が利用行為に含まれているのは、「譲渡の申出」は、それ自体では育成者権者に実質的な不利益を与えるものではありませんが、実質的不利益を与える「譲渡」の前提行為であり、「申出」がされれば「譲渡」がされるおそれが高いことを踏まえて、定型的に「申出」にも育成者権の効力を及ぼすことが相当と考えられたためと考えられます。そうしますと、登録品種の名称を表示して、種苗の譲渡の申出をする行為は、当該登録品種の種苗についての「譲渡の申出」に該当することになると考えられます。 よって、育成者権者の許諾を得ない他人が、「譲渡の申出」を行った場合は、育成者権の侵害に該当することになると考えられます。

イ.登録品種の名称Aを表示し、実際には登録品種Aではなく種苗Bを無断販売する行為について
申出において譲渡の対象として表示された品種名称と、実際に譲渡の対象として考えている品種とが異なる場合には、表示された品種が譲渡されるおそれはなく、その育成者権者は実質的な不利益を被らないことになります。 このような場合にまで、育成者権の効力を及ぼす必要性は低いように思われます。したがって、そのような場合は、そもそも表示された品種の譲渡の申出に該当しない、 又は譲渡の申出には該当するが育成者権の効力を及ぼすことは信義則に反する(刑事事件においては、刑事責任を問うほどの違法性がない)と解される可能性があります。
よって、例えば、インターネットのサイト上に、登録品種「A」の種苗を譲渡する旨の記載がされていたとしても、その申出人が実際に譲渡しようと考えている種苗が「A」ではなく「B」であったような場合には、「A」の譲渡の申出に該当しない、又は「A」の譲渡の申出には該当するが「A」の育成者権の効力を及ぼすのは信義則に反する(違法性がない)として、「A」の育成者権の効力が及ばないとされる可能性があると考えられます。

ウ.譲渡の申出をしたが、譲渡される可能性がなかった場合
譲渡の申出をしたが、譲渡される可能性がなかったような場合も、イと同様に解される可能性があります。
もっとも、登録品種「A」の種苗を譲渡するつもりで、登録品種「A」の名称を使用して、譲渡の申出を行ったけれども、譲渡の申出の時点では申出人の手元に「A」の種苗がないような場合については、当該時点で手元にないということだけでは、 必ずしも譲渡の可能性がないとはいえないのではないかと思われます。その時点で手元になくとも、その後に第三者から「A」の種苗を取得などして、譲渡できる可能性があり得ますので、そのような場合であれば、育成者権の効力が及ぶと解すべきと考えられます。
このように解しますと、イ及びウのような場合には「A」の育成者権の効力が及ばないことになりますが、種苗法第22条2項、不正競争防止法又は刑法等により対応することが可能と思われます。

2.1が侵害であるとした場合、育成者権者側の侵害の立証は、譲渡の申出をしたという広告の証拠だけで十分でしょうか。 それとも、譲渡の申出をした者が持っている種苗が登録品種であることを立証する必要があるのでしょうか。


答え
1のイの記載のとおり、譲渡の申出の対象である種苗がその育成者権者が権利を有する登録品種でなかった場合、育成者権の効力が及ばない可能性があります。
この点、1のイの例で「A」について譲渡の申出がないと解するのであれば、育成者権者が譲渡対象が「A」であることについてまで立証する責任を負うと考えられます。他方、「A」についての譲渡の申出はあるが信義則違反であると解するのであれば、被告が譲渡の対象が「A」ではないことを立証する責任を負います。
そして、前者のように解するとしても、その登録品種の名称「A」を使用して譲渡の申出をしているとの事実は、その譲渡の申出の対象となっている種苗が登録品種「A」であることをうかがわせる有力な事実になると思われます。また、民事訴訟になった場合、譲渡の申出人は、その申出の対象が登録品種であることを否認する場合には、そのことについて具体的に明らかにしなければならないことになります(種苗法第36条)。よって、育成者権者がその登録品種の名称を使用して譲渡の申出をした事実を立証したにもかかわらず、申出人が相当な理由なくそれが当該登録品種ではないことについて具体的に明らかにしない場合には、その譲渡の申出の対象は当該登録品種であると裁判所に認定される可能性があると考えられます。

3.育成者権者の承諾を得ない他人が、登録品種の種苗を用意しないまま、登録品種の名称を表示し、 種苗の譲渡の申出をする行為は育成者権の侵害になるのでしょうか。


答え
1のウの記載のとおり、譲渡の申出の時点で種苗を用意していなかったとしても、侵害となり得ると思われます。


問7
卸売市場において、育成者権侵害の可能性のある商品を取り扱うことに問題はあるのでしょうか。本来市場が有するのは集荷・分荷の役割です。卸売手数料をとるものの、原則的に生産者からの「委託」を受けて行われる卸売市場での売買は「仲介」といった意味合いが強く、商品の所有権は売手(委託者)から買手に移行するだけです。 そこで、育成者権の侵害品を卸売市場が取り扱った場合について質問します。

1.通常の競りなどで行われる取引のために、育成者権の侵害品を卸売市場のバックヤードに保管する行為は、種苗法第2条第5項の「これらの行為をする目的をもって保管する行為」に該当するのでしょうか。


答え
「譲渡」とは、有償無償を問わず、種苗等の所有権を移転する行為をいうと解されています(農林水産省生産局知的財産課編著「最新逐条解説種苗法」(以下、「最新逐条解説種苗法」という。)12頁)。 質問欄に記載のとおり、商品の所有権が売主である委託者から買主に直接移転するのであれば、上記の「譲渡」の定義からすると、卸売業者から買主に対して商品の「譲渡」があったといえず、売主から買主に対して商品の「譲渡」があったということになると思われます。
そうすると、本件では、保管者と譲渡者とが異なることになりますが、一般に、譲渡等をする者と保管者が異なることも想定されますので、他人がする譲渡等のために保管する行為に対し育成者権が及ばないと解するのは、育成者権保護の観点からは相当でないと考えられます。また、譲渡等をしようとする者が自ら保管する場合と、第三者が他者のする譲渡のために保管する場合とで、育成者権が受ける影響に変わりがあるとは考えられず、前者に効力が及ぶのに後者に効力が及ばないとする理由もないように思われます。
よって、卸売業者がバックヤードに保管する行為は、「これらの行為をする目的をもって保管する行為」に該当すると考えられます。

2.1が該当するとした場合、その行為者は卸売市場となり、卸売市場が育成者権の侵害を行ったことになるのでしょうか。それとも行為者は他者になるのでしょうか。


答え
保管行為を行っているのは卸売業者ですので、卸売業者が育成者権侵害を行ったことになると考えられます。また、委託した売主も、共同で侵害行為を行ったと評価される可能性があります。


問8
登録品種Xについて、小売店CでXの育成者権侵害と思われる切花が売られていました。Xの育成者権者Aは、その切花を出荷している農家Bがわかっており、BがXの種苗を無断増殖して切花を生産していることを知っていた場合について質問します。

1.Cが販売していたのはXの収穫物です。この収穫物にXの育成者権の効力は及びますか。


答え
育成者権の効力は、「品種」の利用に及びます(種苗法第21条第1項)。「品種」には、種苗だけではなく、収穫物も含まれますが(同法第2条第5項)、収穫物の利用に対して育成者権を行使できるのは、種苗の段階で権利を行使する適当な機会がなかった場合に限られます(同項第2号かっこ書き)。 このことは、育成者権の段階的行使の原則(カスケイド原則)といわれています。

2.BがXの種苗を無断増殖し、生産した切花をCに出荷していることをAが知っていた場合は、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」があったことになりますか。


答え
種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」とは、種苗の段階において、育成者権者が登録品種を利用している第三者との間で許諾契約を締結することなどができる状況をいいます。 例えば、育成者権者において、当該第三者が登録品種を利用している事実を知っており、かつ、育成者権者が許諾により権利行使することが法的に可能であった場合には、「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」があったことになります。
したがって、育成者権者であるAが、Bによる登録品種Xの無断増殖の事実をいつの時点で知ったかによって、「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会」があったか否かが分かれます。

3.Bが昨シーズンからXの種苗を無断増殖し、生産した切花を出荷していたことをAが知っていた場合は、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」に該当しますか。


答え
Aは、Bにより登録品種Xの利用が昨シーズンから行われていたことを知っていたので、少なくとも今シーズンにおいては、Bとの間で許諾契約を締結する機会があったと考えられます。 このため、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」には該当しないと考えられます。

4.BがXの種苗を無断増殖し、生産した切花を出荷していたことを数日前にAが知った場合は、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」に該当しますか。


答え
AはBによる登録品種Xの利用を数日前に知りましたが、その時点では既に収穫物の段階であり、種苗の段階においてBとの間で許諾契約を締結する機会はなかったと考えられます。 このため、種苗法第2条第5項第2号かっこ書きの「(種苗の段階で)権利を行使する適当な機会がなかった場合」に該当すると考えられます。   

5.AはCに対して切花の販売の差止を請求できますか。


答え
切花に対して育成者権の効力が及ぶ場合(その切花に係る種苗の段階においてBとの間で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合)には、Aは、Cに対し、種苗法第33条第1項の規定に基づき、切花の販売の差止を請求できます。

6.AはCに対して切花の販売に係る損害賠償を請求できますか。


答え
切花に対して育成者権の効力が及ぶ場合(その切花に係る種苗の段階においてBとの間で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合)には、Aは、Cに対し、民法第709条の規定に基づき、切花の販売に係る損害賠償を請求できます。
なお、AがBに対し損害賠償を請求した場合には、その請求に係る切花の販売についてCに対して損害賠償を請求することはできないとされています。



仮保護について

問9
出願品種Yについて、小売店FでYと思われる切花が売られていました。その切花を出荷している農家がわからなかったため、 出願者DはFに対して警告を行いました。後に、当該切花を出荷していた農家Eが判明したのでEに対しても警告を行った場合について質問します。

1.Fが販売していたのはYの収穫物です。出願品種の収穫物の販売に対して警告できますか。


答え
種苗法第14条第1項の規定に基づく補償金支払請求は、出願品種の収穫物の利用者に対しても行うことができます。ただし、補償金支払請求権についてもカスケイド原則(問8の1参照)が適用されると考えられるため、種苗の段階で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に限られます。

2.Fは警告後もYの切花を販売していました。後に、当該切花を出荷していた農家がEであると判明しましたが、その後のFの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になりますか。


答え
出願品種にもカスケイド原則が適用されると考えられるため、出願品種の収穫物に対する補償金支払請求は、種苗の段階で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に限られます。
DはEを知っていますが、出願品種の種苗の利用の事実を知ったのがいつの時点であったかによって、種苗の段階で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に該当するか否かが分かれます。

3.警告後にFが販売した切花について、農家がEであると判明した当該シーズンの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になりますか。


答え
DがEによる出願品種の種苗の利用を知ったのは収穫物の段階であり、種苗の段階においてEとの間で許諾契約を締結する機会はなかったと考えられます。Eによる出願品種の種苗の利用が判明した当該シーズンの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になります。

4.警告後にFが販売した切花について、農家がEであると判明した翌シーズンの切花の販売行為は補償金支払請求の対象になりますか。


答え
Dは、Eによる出願品種の種苗の利用を知っていますので、翌シーズンの種苗の段階においてEとの間で許諾契約を締結する機会があったと考えられます。そのため翌シーズンは補償金支払請求の対象にはならないと考えられます。

5.DがEとFに対して警告を発していた場合、警告後にFが販売した切花について、補償金の支払を請求できますか。


答え
Yの品種登録後に、Dは、Fに対し、種苗法第14条第1項の規定に基づき、切花の販売に係る補償金の支払を請求できます。ただし、その切花に係る種苗の段階においてEとの間で許諾契約を締結する適当な機会がなかった場合に限られます。
なお、DがEに補償金の支払を請求した場合は、その請求に係る切花の販売についてFに補償金の支払を請求することはできないとされています。



問10
種苗法における仮保護の期間と具体的な保護内容について教えて下さい。

答え
種苗法第14条に「出願公表の効果等」として「出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告したときは、その警告後品種登録前にその出願品種、当該出願品種と特性により明確に区別されない品種又は当該出願品種が品種登録された場合に第20条第2項各号に該当することとなる品種を業として利用した者に対し、その出願品種が品種登録を受けた場合にその利用に対しうけるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公表に係る出願品種(当該出願品種と特性により明確に区別されない品種及び当該出願品種が品種登録された場合に同項各号に該当することとなる品種を含む。以下この条において同じ。)であることを知って品種登録前にその出願品種を業として利用した者に対しては、同様とする。」とあります。
これがいわゆる「仮保護」に関する規定です。したがって、仮保護の期間は、出願公表された日から品種登録された日の前日までになります。また、具体的な保護内容は、警告後に業として出願品種等を利用した者に対して、その出願品種が登録された場合の利用料に相当する補償金請求をすることを認めることによって出願品種等の無断利用を防止することです。 なお、同条第2項に「前項の規定による請求権は、品種登録があった後でなければ、行使することができない。」とありますので、ご留意下さい。



問11
仮保護期間中の出願品種の利用について警告を行い、相手側が出願品種の種苗等を廃棄したと仮定します。その後、審査の結果、当該出願品種が登録されなかったために相手側から当該種苗の廃棄等で被った損害賠償を請求された場合、出願者はこの損害について賠償責任があるのでしょうか。

答え
種苗法第14条第1項は、「出願者は、出願公表があった後に出願品種の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、・・・補償金の支払いを請求することができる」と規定しており、登録前の出願者が、出願品種を業として利用する者に対し、補償金支払請求のため、警告することを許容しているといえます。
このように、登録前の出願者による警告は、法律により許容された行為であるといえることから、その警告が相当なものである限り、たとえ出願品種が審査の結果登録されなかったとしても、不法行為とはならないと考えられます。
よって、出願者の警告が法の趣旨目的に沿った相当なものである限り、出願品種が審査の結果登録されず、警告を受けた者がその警告により損害を被ったとしても、出願者は警告を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)は負わないものと思われます。
他方、出願者の警告が相当性を欠く場合、その警告は不法行為となり、出願者は出願品種の利用者に対し不法行為責任を負う可能性があります。例えば、出願品種が登録要件を欠くものであり、出願者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易に知り得たといえるのに、あえてその利用者に対して警告をしたような場合などは、当該警告は相当性を欠き不法行為となる可能性があると思われます。また、虚偽の事実を記載した書面による警告なども、相当性を欠くものと思われます。



「業として」の解釈について

問12
種苗法第20条第1項に、「育成者権者は、品種登録を受けている品種及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。」とありますが、「業として」とは具体的にどのような意味ですか。

答え
種苗法第20条第1項の「業として」とは、個人的あるいは家庭的な利用を除く全ての行為を指します。ここでの解釈では、営利目的の有無は問いません。また、反復継続する必要もなく、ただ一回の利用であっても「業として」と判断されることがあります。


問13
「種苗法第4条第2項に、「品種登録は、・・・・・・・さかのぼった日前に、それぞれ業として譲渡されていた場合には、受けることができない。」とありますが、「業として」とは具体的にどのような意味ですか。

答え
種苗法第4条第2項の「業として」の譲渡とは、反復若しくは継続の意思を持って譲渡することと解釈されており、20条の解釈とは少し異なります。営利目的の有無を問わないのは20条と同じです。 なお、継続の意思を持って行う譲渡には、一回の譲渡も含まれます。


品種登録について

問14
花きにおいて、花の部分に区別性がみられなくても、葉や茎などに区別性がみられれば、新品種として登録することは可能ですか。

答え
出願品種の審査は、それぞれの種類の特性表(農林水産省食料産業局知的財産課(以下、「知的財産課」という。)ホームページ「審査基準・特性表」の項目参照)の重要な形質について、日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確な違いがあれば「区別性」の要件を満たします。したがって、花の部分以外の特性において他と明確な違いがあれば登録されることとなります。ただし、登録されるためには区別性の他に、均一性、安定性、名称の適切性、未譲渡性の要件を満たす必要があります。


問15
出願にあたり、複数の人が同じ品種を出願しようとした場合、一番先に出願した人に権利が与えられるということですが、品種登録をしようとする場合、すでに同じものが出願されているかどうかを知ることはできるでしょうか。また、それはどのような手続きをとればよいのでしょうか。

答え
ご質問にありますように同時期に同一又は明確な区別性のない品種の育成が進んでいたような場合には、先願の品種が品種登録を受けることができます(先願主義)。 すでに同じものが出願されているかどうかを知るためには、「農林水産省品種登録ホームページ」の検索システムである「品種登録データ検索」(下記のURLを参照)等を利用してで出願公表された品種及び品種登録された品種を検索することができます。しかしながら、このホームページに掲載されている個々の品種特性情報は情報量に限りがあるため、さらに詳しくお知りになりたければ、出願公表中の品種であれば願書の閲覧・謄写が、登録品種であれば品種登録簿(特性値が記載されています)の閲覧・謄写が可能です。その手続きについては同課のホームページにてご確認いただくか、知的財産課の窓口(同課の種苗室(登録チーム:03-3502-8111(農林水産省大代表)))にお問合わせ下さい。
[参考]
農林水産省品種登録ホームページ
品種登録データ検索



問16
大豆の在来種について品種登録したいという要望があります。品種登録することが可能か教えて下さい。

答え
大豆の在来品種を品種登録したいとのことですが、在来品種は公知の品種であり、昔から流通しているものですので、品種登録の要件のうち未譲渡性に抵触し、品種登録はできません。
なお、当該在来品種を育種材料に用いて交配等を行い、在来品種と特性において明確に区別できる品種(系統)を育成すれば、それを品種登録出願することは可能です。また、品種登録の要件に「未譲渡性」がありますので、出願日より1年をさかのぼった日前に当該品種の種苗及び収穫物を日本国内で譲渡していないことが必要です。



問17
未譲渡性の要件の例外とされている「試験若しくは研究のための譲渡」に「新品種の育成のための譲渡」は含まれるでしょうか。

答え
ご質問の趣旨は、未譲渡性の要件の例外を定めた種苗法第4条第2項ただし書には「試験若しくは研究」とあるのに対して、育成者権の効力が及ばない範囲を定めた種苗法第21条第1項第1号には「新品種の育成その他の試験又は研究」と書かれているため、「新品種の育成」が「試験若しくは研究」に含まれるか否かをおたずねになったものと思います。
お答えとしては、以下の3点の理由から、種苗法第21条第1項第1号の「新品種の育成」は、「試験又は研究」に包含され、種苗法第4条第2項ただし書の「試験若しくは研究」についても、「新品種の育成」が含まれると解釈できます。

1.法律の条文の用字用語のルール上、「その他」という文言と、「その他の」という文言は使い分けられています。「その他」は、「その他」の前にある字句と後ろにある字句とが並列の関係にある場合に用いられます。他方、「その他の」は、「その他の」の前にある字句が、後にある字句の例示として、その一部を成している場合に用いられます。このルールからすると、種苗法第21条第1項第1号は、「その他の」と規定されていることから、前にある字句である「新品種の育成」は、後ろにある字句である「試験又は研究」の例示として、その一部を成している(「新品種の育成」は「試験又は研究」に包含される)ものということができます。

2.また、最新逐条解説種苗法101頁には、「試験研究目的の具体例としては、1新品種の育成のための交配に用いるために登録品種の種苗を増殖すること、・・・などが挙げられる」と記載されており、同書も「新品種の育成」は「試験又は研究」の例示と解しているものと考えられます。他方、「新品種の育成」を「試験又は研究」の例示と解することによる不都合はないと思われます。

3.種苗法第4条第2項ただし書は、ある出願品種が日本国内において1年(外国においては4年又は6年)より前に譲渡されたとしても、試験研究目的で譲渡された場合は、流通を目的としたものではなく流通範囲が限定されていること、円滑な品種の育成等を図る要請があることから、例外的に許容されることとしたものです(「最新逐条解説種苗法」35頁)。このような同条の趣旨は、新品種育成のための試験研究の場合でも該当すると思われます。これに加え、同条ただし書きの「試験若しくは研究」に新品種の育成の場合を除く旨の規定もなく、新品種の育成の場合を除かなければ不都合を生じるとも思われないことからすると、新品種の育成のための試験研究を、同条項の「試験若しくは研究」から除外して考える理由はないように思われます。



登録品種の育種への利用について

問18
新しい品種を育成する場合、登録品種を片親として利用することは可能と思いますが、親としての利用が許されない場合というのはあるのでしょうか。

答え
種苗法では登録品種を育種素材として利用する場合には育成者権者の許諾が不要であると規定しており(種苗法第21条第1項第1号)、利用が許されない場合はないとされています。
ただし、変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成した場合(従属品種)やその品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる場合(交雑品種)には、当該登録品種の育成者権の効力がそれらの品種にまで及ぶとされています(種苗法第20条第2項)。



農業者の自家増殖

問19
観植物の鉢物について、農家が登録品種100鉢の苗を買い、それを1000鉢に増殖して販売することはできますか。

答え
農業者の自家増殖は、種苗法第21条第2項で、「農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第2項各号に掲げる品種(以下[登録品種等]と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営においてさらに種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、そのさらに用いた種苗及びこれを用いて得た収穫物には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。」と規定されています。したがって、購入した苗から挿し穂(挿し穂を収穫物とみなす)を採り、挿し木により増殖した植物を収穫物として販売することは可能です。また、増殖できる数量にも特に制限はありませんし、増殖を繰り返し行うこともできます。ただし、注意点が3つあります。
1つ目は、最初に入手する種苗については、育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された正規のものでなければなりません。ホームセンター等で売られているものは種苗ではなく収穫物として販売されていることが多いので注意が必要です。
2つ目は、自家増殖が認められない種類があることです。種苗法施行規則第16条で自家増殖が認められない種類が指定されています(現在82種類)。バラやカーネーションは自家増殖が認められません。
3つ目は、種苗の入手に際する契約において自家増殖禁止の合意をしているかどうかです。契約中に自家増殖禁止の条項があれば、自家増殖は契約違反になりますし、育成者権侵害にもなります。



問20
種子繁殖性の観賞植物について、農家が登録品種の種子を買い、それを基に自家採種によって得た種子から育てた植物を販売することはできますか。

答え
種子繁殖性の観賞植物の品種を自家採種によって増殖する行為も農業者の自家増殖の範囲内であると解釈されています。この場合の注意点も問19と同じです。


問21
農家が登録品種の苗を買い、それを業者に委託して増殖することを考えています。生産された種苗はすべて引き取り、外部へ流出することはありません。この場合、農業者の自家増殖の範疇といえるのでしょうか。

答え
業者に委託して種苗を増殖する行為は農業者の自家増殖とは認められません。農業者の自家増殖は、種苗を用いて得た収穫物を自己の農業経営において種苗として利用することであり、外部の業者に種苗の増殖を委託することはできません。


問22
種苗法において自家増殖が制限されている栄養繁殖植物に属さない登録品種の種苗を以下のように用いた場合には育成者権の侵害になりますか。

1.農家が隣の家から種を分けてもらい栽培し,直売所で販売している場合


答え
隣の家から分けてもらった種子が、隣の家が正規に入手(育成者権者等の権利者若しくは権利者の許諾を得た種苗会社又は卸・小売業者等適正な流通経路から入手)したそのものの種子である場合は、権利が消尽した種子であるので、権利侵害にはなりません。
しかしながら、その種子が隣の家で増殖した種子であった場合は、その種子は権利が消尽しておらず、その種子を利用する行為は権利侵害となります。なお、隣の家の行為(種苗を増殖して第三者に譲渡)ついても権利侵害となります。 

2.農家が食用として販売されている豆を自分の畑にまき,収穫物を得て販売している場合


答え
食用として販売されている豆を種子に転用し、収穫物を得て販売することは、法律上認められた自家増殖ではなく、許諾を受けずに種苗を利用したこととなり、権利侵害に当たります。 

3.生産組合や集落営農組織が種子を購入し,それを増殖して組合員に配布する場合


答え
生産組合等が農業生産法人(農地法第2条第3項に規定する農業生産法人)である場合は、自家増殖となり権利侵害にはなりませんが、農業生産法人でない場合、正規に種子を入手したとしても、当該種子を増殖・配布する行為については権利侵害となります。


問23
海外では自家増殖に対してもロイヤリティが発生すると聞きましたが、日本においては、自家増殖については利用権が発生しないと考えてよいのでしょうか。

答え
いわゆる自家増殖については各国の法律での取扱いに違いがあります。我が国の種苗法では、農業者個人又は農業生産法人が最初に育成者権者より譲渡された種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は及ばないこととなっています。ただし、省令で定めた種類(現在82種類)の栄養繁殖植物や契約で別段の定めをした場合には、こうした自家増殖にも育成者権の効力が及びますので注意して下さい。


問24
農業者の自家増殖によって造成した登録品種の果樹園の貸渡し、譲渡及び相続について教えてください。

1.当該果樹園を貸し渡すことはできますか。


答え
果樹の成木は収穫物に該当すると考えられますので(最新逐条解説種苗法107頁)、農業者の自家増殖によって作られた果樹の成木を貸し渡す行為については、種苗法第21条第2項「・・・育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。・・・」によって、改めて育成者権者の許諾を得る必要はなく、当該果樹園は適法に貸し渡すことができます。

2.当該果樹園を借り受けた者が収穫した果実を販売することはできますか。


答え
農業者の自家増殖は、種苗から収穫物を得ることを反復継続して行っている農業者が、従前からの慣行として、収穫物の一部を自己の農業経営における次期作用の種苗として使用し、次期作においてこれを栽培して収穫物を得ていたことから、例外的に育成者権の効力を及ぼさないとしているものです。このことは、収穫物を種苗として用いる行為のみならず、その種苗を用いて収穫物を得る行為についても、自己の農業経営において行われることが想定されていると考えられます。
したがって、条文上は必ずしも明確ではありませんが、自己の農業経営ではないところで得られた収穫物については、育成者権が及ぶと解される可能性がありますので、当該果樹園の借受人が育成者権者に無断で果実を生産し、販売等を行うことは、育成者権の侵害になる可能性があると思われます。
もっとも、当該果樹園の借受人の農業経営が貸渡人の農業経営と同視できるような場合(農業により得られる経済的利益が基本的に貸渡人に帰属し、借受人は貸渡人の補助的な位置づけにすぎないような場合など)は、自己の農業経営において収穫物を得たと考えることができると思われます。

3.当該果樹園を譲渡することはできますか。


答え
1と同じ理由で当該果樹園は適法に譲渡することができます。 

4.農業者の自家増殖によって造成された登録品種の果樹園を譲り受けた者が収穫した果実を販売することはできますか。


答え
2と同じ理由で、当該果樹園を譲り受けた者が育成者権者に無断で果実を生産し、販売等を行うことは育成者権の侵害になる可能性があると思われます。
ただし、農業経営を包括的に譲渡した場合(農場全体を売却したような場合)、これを譲り受けた者の農業経営が、譲渡人の「自己の農業経営」に該当し、継続して適法に果実を生産し販売することが可能と解釈される余地があります。
なお、いずれにせよ育成者権者の許諾を受けることが安全と思われます。 

5.当該果樹園を相続した者が収穫した果実を販売することはできますか。


答え
当該果樹園を相続した者が、そこから得られた収穫物を販売する行為は、民法第896条により、相続人は育成者権に関する一切の権利を承継しているので、改めて育成者権者の許諾を得なくとも適法に行えると考えられます。
しかし、相続人が「農業を営む者」でなかった場合は、改めて育成者権者の許諾を得る必要があります。
「農業を営む者」は、種苗法施行令第5条で、「農業を営む個人」又は農地法第2条第3項に規定する「農業生産法人」とされています。このうち「農業を営む個人」の定義は明確ではありませんが、反復継続の意思を持って農業を行う者であれば、「農業を営む個人」に該当すると解されますので、誰でもその意思をもって農業を行うのであれば「農業を営む個人」になり、実質的には問題はないと考えられます。

 

    

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品種保護対策に関して よく寄せられる質問2

 

よく寄せられる質問(農研機構・種苗管理センターHPからの抜粋)
侵権利消尽について


問25
県が育成した登録品種について、県が個々の農家と通常利用権の許諾契約を結び、登録品種の栽培は県内限定、種苗の自家増殖の禁止、種苗の他者への譲渡禁止の内容を契約に盛り込んでいました。 また、県は契約農家以外には登録品種の種苗を一切販売していませんでした。このとき、契約農家の1人が県から譲渡された種苗をそのまま他県の農家に譲渡した場合について質問します。

1.他県の農家が譲り受けた登録品種の種苗は、育成者権が消尽した種苗に該当するのでしょうか。


答え
育成者権者の行為等により登録品種等の種苗が譲渡されたときは、権利消尽により、当該種苗の利用には育成者権の効力が及ばないことになります(種苗法第21条第4項)。同項は、種苗等が育成者権者等によって譲渡された場合、その種苗等に係る育成者権は既に行使され、その目的を達したといえること、流通の過程においていちいち許諾が必要とすると円滑な流通が阻害されることから、権利が消尽する旨を規定しています(最新逐条解説種苗法110頁)。
それでは、育成者権者が譲渡禁止特約を付けて種苗を譲渡した場合であっても、同項に基づき権利は消尽すると解すべきでしょうか。これについては、法律で明示されておりませんし、逐条解説等の種苗法関連書籍にも該当部分はありません。
しかし、特許法においては、権利消尽についての明文の規定はありませんが、解釈によっては権利消尽が認められています。そして、特許法では、権利者の意思で権利消尽を否定することはできないと解されており、当事者間で譲渡禁止の契約をしたとしても、 権利消尽自体は生じると解されています。例えば、特許権者が特許製品を販売するに当たり、譲受人が第三者に譲渡することを禁止する契約を締結した場合に、譲受人が契約に違反して第三者に譲渡したときは、譲受人は債務不履行責任を負うが、第三者は権利消尽を主張できると解されています(中山信弘「特許法」372頁、中山信弘・小泉直樹編「新・注解特許法」上巻1026頁)。
種苗法に戻って、育成者権者は、譲渡禁止特約を付したとしても、譲渡により育成者権を行使して目的を達したということができると考えられます。したがって、種苗を譲渡した場合には、たとえ譲受人との間で譲渡禁止特約を締結したとしても、当該種苗については権利は消尽すると解すべきと思われます。 

2.登録品種の種苗を譲り受けた他県の農家は、当該登録品種を業として利用できるのでしょうか。


答え
前述の通り、上記他県の農家は当該種苗については権利が消尽していると主張できると考えられますので、その種苗を業として利用したとしても、育成者権侵害とはならないと思われます。
育成者権者である県としては、契約農家に対し、契約違反を理由とした責任を追及することになると思われます。

3.他県の農家が当該登録品種を業として利用したとき、県は他県の農家に対して当該登録品種の種苗及び収穫物の廃棄を請求できるのでしょうか。


答え
前述のように権利が消尽していると解した場合には、廃棄請求をすることはできないことになります。


先育成について

問26
「登録品種を育成した者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種を育成した」ことを証明する方法を教えて下さい。

答え
ある品種(A')の先育成を証明するためには、1登録品種(A)と先育成を主張する品種(A')が同一であること又は特性により明確に区別されないことを証明し、2品種(A')の育成の年月日が登録品種(A)の育成の年月日より先であったことを証明する必要があります。
1を証明するためにはAとA'を同一条件で栽培し、両品種の特性を調査し、その特性を比較する方法(比較栽培による品種類似性試験)があります。2を証明するためには、A'が育成された年月日を何らかの形で記録することになりますが、品種が育成された年月日を証明することは一般に難しいと思いますので、先育成の証明を考えるよりも可能であればA'を品種登録し権利を主張する方がより簡単で確実であると思います。



問27
証明する手段の一つとして、育成した新品種を種苗管理センターに「寄託」することによって育成時期を証明することが可能かどうか教えて下さい。

答え
育成した新品種を当センターに寄託されてもその育成時期を証明することはできませんが、寄託することにより、寄託開始通知書で当該品種が寄託開始日以前に存在していたことを証明することができます。
なお、寄託期間中(原則として1年更新で最長3年間)は、寄託物(植物体)の返却を請求することで当該寄託物に寄託証明書を付して比較試験等に利用することができます。



問28
「登録品種を育成した者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者は、その登録品種に係る育成者権について通常利用権を有する」の条文の解釈について、先育成者は品種登録していなくても、通常利用権があると解釈してよいのかどうか教えて下さい。

答え
ある登録品種(A)について、当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者(先育成者)にはAの通常利用権があり、先育成者は品種登録をする必要はないと解されています。なお、通常利用権を有するのは先育成をした人に限定され、その他の人は育成者権者の許諾を得て登録品種を利用することになります。


従属品種について

問29
登録品種を購入し、そこから生じた枝変わり品種は、従属品種と見なされるのでしょうか。品種登録はできますか。

答え
「従属品種」とは、変異体の選抜(枝変わり等)、戻し交雑、遺伝子組換え、細胞融合の方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種(親となる登録品種に主として由来し、そのわずかな特性を変更して育成された品種)をいいます。例えば、親品種の耐病性のみ高めた品種などが従属品種に該当すると考えられますが、従属品種に当たるか否かの判断については、一律の基準はなく、個々の品種ごとに判断されることになります。登録品種を利用して上記の方法で育成された全ての品種が登録品種の従属品種となるわけではありません。従属品種は、「特性により当該登録品種と明確に区別できる品種」ですので、品種登録は可能です。


問30
登録品種を利用して育成した従属品種には元となる親品種の権利が及びますか?また、その親品種の育成者権が及ぶ範囲はその従属品種の子や孫さらにそれ以降の何世代までなのでしょうか。それともその新形質に対してなのでしょうか。

答え
従属品種が品種登録された場合、元の登録品種の育成者権が存続する間は、従属品種を利用するには、従属品種の育成者権者の許諾に加え、元の登録品種の育成者権者の許諾も得る必要があります。
また、図に示された従属品種-1を利用して主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて従属品種-2が育成された場合、従属品種-1の権利者は、従属品種-2に対して権利を行使することはできませんが、原品種Aの権利者は、従属品種-2の利用に関して権利を行使することができます。同様にそれ以降の世代においても、原品種と従属関係にある場合には、原品種の権利者は原品種の権利期間内において従属品種の利用に関して権利を行使することができます。
なお、育成者権は形質にではなく品種に与えられるものです。新形質に育成者権の効力が及ぶということはありません。



問31
私は登録品種(以下「原品種」という。)の変異体を選抜し新品種Xを育成しました。私はXを利用したいと思い、原品種の育成者権者Aに相談したところ、Aは、Xが原品種の従属品種であることを認めましたが、Xの利用を認めず、原品種を利用するように主張しました。 Xが原品種の従属品種であることは私も認識しており、このことを争う意思はありません。このため、Xを利用するにはAの許諾が必要ですが、Aは許諾しないといっています。私は、Xの方が品質が良いので何とかして利用したいと思っています。どうしたらXを利用することができますか。

答え
登録品種の従属品種を利用する者は、登録品種(原品種)の育成者権者から利用の許諾を得る必要があります(種苗法第20条第2項第1号)。原品種の育成者権者から従属品種の利用の許諾を得られなかった場合には、種苗法第28条に規定する裁定という制度を利用することが考えられます。
本件において、裁定が行われるためには、次の要件を満たす必要があります。

1.Xについて品種登録を受けること
2.Xについて当該品種登録から2年間利用できなかったこと
3.原品種の育成者権者であるAに対してXの利用許諾の協議を行い、それが不成立となったこと

これらの要件を満たした場合には、種苗法第28条第2項の規定に基づき農林水産大臣に裁定を申請することができます。それが認められますとXの通常利用権の設定を受けることでXの利用が可能になるものと考えられます。
なお、Xについて品種登録せずに品種登録を受けている原品種の利用について裁定を申請することも考えられますが、この場合は原品種が流通していれば、「登録品種等の利用が継続して2年以上日本国内において適当にされていないとき」の要件を満たさないことになり、裁定による通常利用権は認められません。



育成者権について

問32
イチゴの登録品種の果実から種子を採種し、その種子を利用した実生苗に採種元の登録品種名をつけて販売する行為は種苗法違反となりますか。

答え
イチゴのような栄養繁殖性植物の場合であっても、その果実から採種した種子を用いて栽培した際に、その植物体が当該登録品種の特性と明確に区別できない場合には育成者権を侵害していると考えられます。
また、特性が明確に区別された場合には育成者権侵害とはなりませんが、当該実生苗に登録品種名を付して販売している場合には、種苗法第22条2項(名称を使用する義務等)違反に該当することになります。なお、同条文に違反した者は、10万円以下の過料となります(種苗法第75条)。

[参考]
 種苗法
(名称を使用する義務等)
第22条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第48条第2項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。



問33
果樹の苗木生産において、登録品種の果実から採取した種子の実生苗を台木として利用する場合には育成者権の侵害となりますか。

答え
栄養繁殖性植物の登録品種の果実から得られた種子由来の個体は、他家受粉等により遺伝的形質が分離することが考えられ、親品種と異なる形質を持つ様々な個体が出現することが予想されます。そのような個体の利用には育成者権の効力は及ばないと思われます。
ただし、種苗法第20条第1項では「登録品種と特性により明確に区別されない品種」にも育成者権の効力が及ぶとされています。そのため、実生個体のうち親品種と明確に区別できない個体を利用する場合には、権利者の許諾を得る必要があります。
登録品種の実生苗の利用にはこのようなリスクがあるので、登録品種の実生を使わなければならない特別の理由がなければ、登録されていない品種の実生を台木に利用することが最良であると思われます。



問34
登録品種の胡蝶蘭を登録者からラン展で購入しました。ファレノプシスは農家の自家増殖にあたり権利者の許諾を必要とする栄養繁殖植物のリストに入ってないので、メリクロン増殖を行う場合には自家増殖として育成者権を侵害しないのではないでしょうか。

答え
いわゆる農業者の自家増殖にあたり権利者の許諾を必要とする栄養繁殖植物のリストに入っていない植物については、原則として育成者権の効力が及びませんが、メリクロン増殖のように、通常の農家等における栽培過程を離れ、専用施設等において別途の作業過程を経て増殖する場合は、自家増殖に該当しません。そのため、権利侵害に該当します。


問35
育成者権者に無断で増殖した登録品種の種苗をネットオークションで販売することは法律違反だと思いますが、以下の場合にはどのように解釈できますか。

1.オークションの参加者が許諾のことは知らずに登録品種の種苗を購入することも法律違反となるでしょうか。


答え
育成者権者は品種登録を受けている品種を業として利用する権利を専有していますが、種苗の場合、「利用」とは、種苗の生産、調整、譲渡の申出、譲渡、輸出、輸入、これらの行為をする目的の保管を指します。種苗を譲り受けることは利用に当たりませんので、インターネットオークションにおいて、一般の方が利用に許諾が必要であることを知らずに登録品種の種苗を購入する行為は種苗法違反には当たらないと考えられます。ただし、購入後に、当該種苗を育成者権者に無断で業として利用する行為は、育成者権侵害(種苗法違反)に当たる可能性があります(この場合の「業として」とは、問12にあるように個人的な利用又は家庭的な利用とはいえない場合をいいます(営利目的の有無を問わず、反復継続するものである必要もありません。))。 

2.上記の種苗を用いて、自宅で種苗を増殖して趣味で園芸を行っている場合、育成者権の侵害に当たるのでしょうか


答え
個人の趣味による栽培であれば、業としての利用には該当しないと解されますが、栽培した品種を他人に渡した場合などは、育成者権の侵害に当たる可能性があります。

[参考]
種苗法
(定義等)
第2条(中略)
5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
〜以下略〜



問36
知らないうちに育成者権の侵害品を取り扱ってしまった場合、取り扱った流通業者は罪を問われるのでしょうか。また、侵害品と知らずに購入した者についてはどうなるのでしょうか。

答え
育成者権の侵害は、種苗法第35条に過失の推定の規定があり、これによって育成者権を侵害した者は、その行為について過失があったものと推定されますので、知らないうちに侵害品を取り扱ってしまった場合においても、過失がなかったことを立証しない限り、その過失責任を問われます。なお、罰則は故意の場合に限り適用されます。
一般に種苗を扱う流通業者の方は種苗に関する専門知識を有しておられますので、取り扱い品種が侵害品でないことを確かめることができると考えられますし、そうした注意義務があるということです。
次に、侵害品とは知らずに購入する行為は育成者権の侵害にはなりません。しかし、購入後の利用行為については侵害の対象となります。
なお、種苗法第2条第5項に育成者権の効力が及ぶ品種の利用についての規定があり、登録品種の種苗、収穫物等について、どういう行為に育成者権の効力が及ぶかが明確に決められています。

(参考1) 種苗法
(定義等)
第2条 〜中略〜
5 この法律において品種について「利用」とは、次に掲げる行為をいう。
一 その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
二 その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)
三 その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為(育成者権者又は専用利用権者が前二号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る。)

(過失の推定)
第35条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。

(参考2)
1 育成者権の侵害
育成者権者は、登録品種(これと特性により明確に区別されない品種を含む。以下同じ。)を業として利用する権利を専有します(種苗法第20条第1項)。
したがって、育成者権者の許諾なく、登録品種を業として利用する行為が、育成者権を侵害する行為となります。
2 故意・過失の有無とその効果の差異
(1)育成者権の侵害行為が行われた(又はそのおそれがある)場合、育成者権者は、侵害者の故意・過失を問わず(=無過失であっても)、侵害者に対して、侵害の停止又は予防を請求することができます(種苗法第33条第1項)。
(2)侵害者に故意・過失がある場合、育成者権者は、侵害者に対して、損害賠償を請求することができます(民法第709条)。この場合、原則に従えば、育成者権者が、「侵害者に故意又は過失があること」を立証しなければなりませんが、種苗法第35条は、侵害者の過失を推定しています。
したがって、侵害者は、自身の無過失を立証しない限り、損害賠償責任を免れることはできません。
(3)さらに、侵害者に過失に止まらず故意がある場合は、刑事責任を問われます(個人について種苗法第67条、法人について同法第73条)。種苗法上、故意についての推定規定は存在しないので、原則どおり、侵害について故意があったことを立証する必要があります。



問37
登録品種の収穫物を海外に輸出する場合、どのような点に注意しなければならないでしょうか。

答え
当該収穫物が種苗に転用できないものであれば外国に輸出する際に育成者権者の許諾を受ける必要はありません。しかし、種苗に転用される可能性がある植物体(収穫物)を、当該登録品種について品種の育成に関する保護を認めていない国に輸出する場合は、種苗法第21条第4項ただし書きに当たり、育成者権者の許諾を受けなければならない可能性があります。
例えば八百屋、スーパー等の店頭において販売され、食用に供されるばれいしょ、あずき、かんしょ等を、保護制度が認められていない外国に、食用以外の目的で輸出しようとした場合は、種苗法第21条第4項ただし書きに当たり、育成者権者の許諾を受ける必要があります。
また、保護制度が認められている国への食用以外(種苗として用いる)の目的での輸出は規制されていませんが、輸出先国において当該種苗が無断で増殖され、その増殖された種苗を用いて得られた収穫物を無断で日本に逆輸入する行為については、育成者権の侵害になると解すべきと考えられます(最新逐条解説種苗法113頁参照。)。したがって、このような輸出行為を行うに際しては、輸出後の取扱いについても注意が必要となります。なお、種苗法第22条第1項における登録品種名称の表示義務は、種苗についてだけですので、収穫物、加工品についての表示義務はありません。

[参考]
種苗法
(育成者権の効力が及ばない範囲)
第21条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。
〜中略〜
4 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は第一項各号に掲げる行為により登録品種等の種苗、収穫物又は加工品が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない。ただし、当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。
(名称を使用する義務等)
第22条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第48条第二項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。
2 〜以下略〜



問38
登録品種の稲の種籾を海外に輸出する際の種苗法上の注意点を教えて下さい。

答え
稲の種籾(種苗)を輸出する場合、その品種が登録品種であるか否かについては、「農林水産省品種登録ホームページ」の検索システムである「品種登録データ検索」(下記のURLを参照)等を利用して確認することができます。
農林水産省品種登録ホームページ
品種登録データ検索
その品種が登録品種である場合、適法に購入した種苗自体を輸出することは原則として適法です。ただし、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国(植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)に沿った品種保護制度がない国や、品種保護制度があってもその品種が属する植物種類(本件では稲)について品種保護を行っていない国)に輸出する場合は、育成者権者の承諾を得なければ、種苗法に違反することとなります。
また、種苗自体を適法に購入した場合であっても、これを増殖したものを輸出するときは、同様に育成者権者の承諾を得る必要があります。したがって、増殖したものを承諾を得ずに輸出した場合には、やはり種苗法に違反することとなります(以上について、種苗法第21条第4項を参照。)。
いずれにしても、トラブルを未然に防止するという観点からは、輸出の際は育成者権者の承諾を得ることが望ましいと考えられます。



問39
農家がホームセンターでラベルや表示がない花の苗を購入し、これを増殖した苗を販売したところ、当該花の品種の育成者権者から侵害行為であるとの警告を受けました。自分が購入した花の苗には、何も表示されていなかったので、登録品種とは思わず増殖・販売したのですが、それでも育成者権を侵害することとなるのでしょうか。

答え
育成者権を侵害することとなります(なお、登録品種の種苗に当該登録品種の名称を使用せずに販売した者は、種苗法第22条第1項に違反し、同法第75条により10万円以下の過料に処せられます。)。
種苗法第20条第1項には、「育成者権者は、品種登録を受けている品種...及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。...」と規定されています。したがって、育成者権者以外の第三者が上記の登録品種等を業として利用(増殖・販売等)した場合、「登録品種であることを知らなかったとしても」、育成者権を侵害することとなります。 この場合、育成者権者は、知らなかったことについての過失の有無を問わず、当該登録品種の種苗の廃棄等を請求することができ(種苗法第33条)、知らなかったことに過失があるときは、民法709条に基づき、損害の賠償を請求することができます。
この点に関し、民法709条には、「(故意又は)過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されていますが、この損害賠償請求の要件の一つである「過失」の立証責任は、種苗法第35条によって、育成者権を侵害した者に転換されています(育成者権を侵害した者が、自身に過失がなかったことを立証できなければ、損害賠償責任を負うこととなります。)。
これは、業として種苗等を販売する者は、取り扱う種苗等に育成者権が及ぶか否かについて専門的知識を有している場合が多く、種苗等を利用するに際しては育成者権の効力が及ぶか否かを調査・確認することが期待しても酷ではなく、むしろ権利者の保護を徹底すべき(最新逐条解説種苗法150頁参照)という観点から設けられた規定です。このため、業として種苗等を販売する者は、種苗を購入する際には、登録品種であるか否かについて、細心の注意を払うことが要求されることになります。
なお、このような育成者権の侵害を未然に防止するため、種苗法第55条及び同法施行規則第21条の2に規定されているとおり、登録品種の種苗を業として譲渡する者が、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装に、「登録品種」又は「品種登録第○○○○○号」と、当該種苗が品種登録されている旨の表示を付するよう努めることが望ましいと考えられます。



問40
育成者権を有する品種が権利者の知らない間に海外へ持ち出され、増殖されている場合には、育成者権者としてどのような対応が可能ですか。

答え
海外に持ち出された品種が増殖されている国で育成者権を有していれば、その国の品種保護に関する法律に基づいて、差し止め、損害賠償等を行うことが可能ですが、その国で育成者権を有していない場合は、対応することは困難です。
しかしながら、その国から登録品種の種苗、収穫物、加工品が日本に輸入される可能性がある場合には、関税法による輸入差止申立を行うことが可能です。その申立てが認められるには、以下のようないくつかの要件が必要です。

1.侵害の事実があること。
2.侵害を受けていることを疎明できること(DNA鑑定書等)。
3.税関の係官が外観から侵害疑義品であることを識別できること。

差止め申立て手続きの詳細については、税関のホームページを参照して下さい。 なお、過去に関税法に基づいた輸入差止めの申立てがあった事例としては、いぐさ「ひのみどり」とおうとう「紅秀峰」があります。 日本国内において育成者権を有していれば、海外で不法に増殖して日本に輸入された登録品種の種苗等を差し止めることは可能です。侵害品を証拠として入手する場合には、品種保護Gメンが協力することができます。

[参考]
関税法
(輸入してはならない貨物)
第69条の十一 次に掲げる貨物は、輸入してはならない。
一 〜 八 略
九 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品
十 略
〜 中略 〜
(輸入してはならない貨物に係る申立て手続等)
第69条の十三 特許権者、実用新案権者、意匠権者、商標権者、著作権者、著作隣接権者若しくは育成者権者又は不正競争差止請求権者は、自己の特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権若しくは育成者権又は営業上の利益を侵害すると認める貨物に関し、政令で定めるところにより、いずれかの税関長に対し、その侵害の事実を疎明するために必要な証拠を提出し、当該貨物がこの章に定めるところに従い輸入されようとする場合は当該貨物について当該税関長(以下この条及び次条において「申立先税関長」という。)又は他の税関長が認定手続を執るべきことを申し立てることができる。
〜 以下略 〜



問41
登録品種の種苗(種苗は正規品で問題はなく、自家増殖禁止の契約もない)を購入した農家Aが、種苗を自家増殖して収穫物の生産・販売をする傍ら、余った種苗を販売していました。

1.種苗法第33条第1項に基づくAに対する侵害行為の差し止め請求により、侵害を予防するため種苗の販売のみならず、収穫物の生産行為を差し止めできるでしょうか。


答え
種苗法第33条第1項に基づき差し止めできる行為はAの種苗の販売行為だけです。Aの収穫物の生産行為を差し止めることはできません。

2.種苗法第33条第1項に基づき、Aに対して侵害行為の差し止め請求を行った場合、その時点ですでに収穫していた収穫物の販売についても差し止めはできるでしょうか。


答え
Aの収穫物の生産行為は侵害行為ではありません。したがってAが既に収穫していた収穫物の販売を差し止めることはできません。

3.種苗法第33条第2項に基づくAに対する侵害の行為を組成した種苗の廃棄の請求により、Aが所有する登録品種の種苗(収穫物生産用の定植株を含む)の全てを廃棄させることができるでしょうか。


答え
種苗法第33条第2項に基づき、販売を目的にしてAが生産した種苗は廃棄請求できますが、その他の種苗については廃棄請求できません。

4.種苗法第33条第2項に基づき、を組成した種苗の廃棄の請求を行った時、その時点でAがすでに収穫していた収穫物生産用の収穫物を廃棄させることはできるでしょうか。


答え
種苗法第33条第2項に基づき廃棄請求できるのは販売を目的にしてAが生産した種苗だけであり、Aが収穫していた収穫物を廃棄請求させることはできません。


品種登録表示について

問42
種苗法第55条で、「登録品種の種苗を業として譲渡する者は、農林水産省令で定めるところにより、その譲渡する登録品種の種苗又は種苗の包装にその種苗が登録品種に係る旨の表示(以下「品種登録表示」という。)を付するように努めなければならない」とあります。 これは罰則のない努力義務であると聞いていますが、努力義務とはどういうことかよくわかりません。仮に品種登録表示をしなかった場合に権利者が不利益を被ることがあるのでしょうか。

答え
登録品種の種苗を譲渡する者は、農林水産省令(種苗法施行規則第21条の2)で定めるところにより、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録に係る旨の表示(「品種登録表示」)を付する義務を負いますが(種苗法第55条)、当該義務はいわゆる努力義務であり、当該義務に違反したことを理由として罰則などの制裁を受けることはありません。
しかし、同条の規定する品種登録表示は、これにより当該種苗が登録品種であるか否かを第三者が容易に識別できるようにして、第三者が登録品種と知らずに当該品種を利用し、育成者権が侵害されることを防ぐためのものであり(最新逐条解説種苗法196頁)、登録品種の種苗を譲渡する育成者権者が品種登録表示を怠った結果、第三者が当該品種を登録品種と知らずに利用し、育成者権を侵害されるという不利益を被る可能性が高まるといえます。また、育成者権者が、登録品種を無断で利用する第三者に対し、育成者権侵害を理由として、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起したとしても、品種登録表示を怠ったことを理由の一つとして、第三者に育成者権侵害についての故意又は過失がないと裁判所に判断される可能性があります。さらに、第三者に過失があると判断されたとしても、品種登録表示を怠ったことは育成者権者の落ち度であるとして、過失相殺(民法第722条第2項)されて損害賠償額が減額される可能性もあります。
以上のとおり、種苗法第55条の品種登録表示を怠ったとしても、それを理由として制裁を受けることはありませんが、上記のような不利益を被る可能性はあるといえます。

 


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