5-1 第五節 権利侵害(第三十三条〜第三十七条)
(差止請求権)
第三十三条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
(損害の額の推定等)
第三十四条 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した種苗、収穫物又は加工品を譲渡したときは、その譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた額を超えない限度において、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を育成者権者又は専用利用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額と推定する。
3 育成者権者又は専用利用権者は、故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、その登録品種等の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、育成者権又は専用利用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
(過失の推定)
第三十五条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。
(具体的態様の明示義務)
第三十六条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、育成者権者又は専用利用権者が侵害の行為を組成したものとして主張する種苗、収穫物又は加工品の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。
(書類の提出等)
第三十七条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害の行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
3 裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
4 前三項の規定は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟における当該侵害の行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
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